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ワンピースカードゲームをやらない理由がない件について

0.最初に

お久しぶりです。カードランドです。
前のnoteからだいぶ期間が空いてしまいました。
その原因は…

もはや言うまでもないですが、当店でも半端なく売れております。

近年の新規TCGは、もはや予約してない人は手に入れられないというレベルで人気が爆発することが多いです。
「発売してから買えば良いや」ぐらいの認識だと、発売後どこも品薄で買えないことも増えてきています。

再販まで気長に待てる人はそれでも良いと思いますが、気になっている人は予約を推奨します!
現状予約なしの方は入手難民になる可能性が非常に高いです。

この記事を見て少しでも興味が出た方は、お近くの専門店までダッシュしましょう!

上記記事より抜粋

去年5月の記事です。
ヒットするとは思ってましたが、その想定すらも遥かに上回る売れ行きで、まさか再販分ですら満足に買えない日々が続くとは思ってもみませんでした。
多分去年一年で一生分の「ワンピース」という単語を聞いたような気がします。

この記事では、ワンピースカードゲームのゲームとしてのクオリティが高すぎる件と、TCGプレイヤーであるならばやらない理由がない点を、メタゲームの解説と共にお伝えする記事です。
この記事を読んで、少しでも興味を持っていただければ幸いです。

※こちらの記事は"TCGプレイヤー"向けの記事となります。TCGの用語等が出てきますので、TCG未経験者には読み辛いと思います。予めご了承ください。

1.ワンピースカードの何が凄かったのか?

まず大前提として

・原作が最終章突入&劇場版アニメの大ヒットにより、作品自体の熱量が凄まじかった

この要素が半分を占めているとは思います。
特に8月公開の「ONE PIECE FILM RED」公開以降、本格的にパックの品薄が始まり、スタートデッキも品切れが続出していました。

しかし、それだけではこの空前絶後のワンピカードブームはなし得なかったと思います。
それを語る上での重要なファクターとして、ここ近年の傾向として「本格派TCG」が求められていたという背景があります。

TCGの歴史はもうすぐ30年を迎えます。
その分、TCGユーザーの経歴も長くなっており、20年選手も少なくなくなっています。
近年ではユーザー全体の年齢層も上がってきており、それによってTCGに求めている要素も各々変わっていっているように感じます。

今TCGの世界に足りてない物を求めるユーザーへの訴求はできるのではないかと思っています。

上記記事より抜粋

去年、同じく大ヒットした『シャドウバース エボルヴ』の記事でも書いた通り、TCG歴が長い人の比率は年々上昇しております。
それを象徴するかのように、去年の新規タイトルは『シャドウバース エボルヴ』と『ワンピースカードゲーム』、この本格派TCG達の2強だったと言っても差し支えはないでしょう。

その上で、『ワンピースカードゲーム』がいかにTCGとしての魅力が詰まっていたのかを解説いたします。

2.近年稀に見る異次元のメタゲーム推移

『ワンピースカードゲーム』の説明をする前に今のメタゲームの状況を理解する必要があります。

こちらは2弾「頂上決戦」が発売されて3週間ほど経過したタイミングでの大阪大会の結果となります。
見ての通り、1位と2位は形は違えど、「赤単ゾロ」という他のTCGでいう「速攻型」のデッキが入賞しました。

「環境初期は速攻が強い」という定説は『ワンピースカードゲーム』でも当てはまりました。

続いてこちらは、大阪大会より2週間ほど経過した福岡大会でのBEST32の分布となります。
やはり「赤単ゾロ」が11人という数が目立ちます。
最大勢力ということもあり、やはりこのまま優勝…ではありませんでした。

優勝は1弾環境ではTier1であったものの、2弾環境では数を減らしていた「緑単キッド」でした。
2位は「赤単ゾロ」に次ぐ勢力を誇っていた「緑単錦えもん」なのでここは順当だと思います。

このように、「赤単ゾロ」の優勝から、メタゲームが回り始めました。
近年のTCGは、昔のTCGと比べてユーザーの情報発信が早い上に数も多く、強いデッキが判明しやすいため、メタゲームがすぐに固まってしまうことが多いです。
しかし、2弾の発売から一か月以上が経過しても、ワンピースカードゲームのメタゲームの推移は止まる気配がありません。

12/24 愛知大会

続いてこちらは、福岡大会より2週間ほど経過した愛知大会でのBEST32の分布となります。
大阪大会で1位2位を決めた「赤単ゾロ」が大きく勢力を落とし、第二勢力であった「緑単錦えもん」が第一勢力に上り詰めました。
そして、過去2大会では影も形も見えなかった「赤単白ひげ」というデッキが急激に勢力を拡大しました。
福岡大会ではBEST32に1人すら入っていないデッキでしたが、その2週間の間にユーザー間で研究が進み、隠れたダークホースとして愛知大会で猛威を振るいました。
2弾発売から一か月半以上経っているにも関わらず、新しいタイプのデッキが上がってくるというのは、近年のTCGでは割と異質なのではないかと思います。

そしてもう一つ目を見張るのは、BEST32の中に10個ものデッキタイプが存在すること、これもメタゲームが早期に定まりやすく、上位のデッキが固定しやすい近年のTCGではなかなか見られないことです。

そして優勝は、使用者が1人の「青単イワンコフ」でした。
使用者の少ないデッキが優勝したこともさることながら、過去3大会のデッキタイプ、色共にバラけるという珍しい結果となりました。

1/8 宮城大会
1/14 東京大会

そして宮城大会、東京大会が立て続けに開催されました。
宮城大会は愛知大会とほぼ同じような分布となっておりますが、その後の東京大会は更にメタゲームが推移していきます。

まず「赤単白ひげ」が大きく数を落としております。
要因としては、愛知大会から時間が経ち、ユーザー間で「赤単白ひげ」に対する対策が進んだことが要因と思われます。
リーダーを無理に殴るのではなくリソースを稼ぐ、リーダーではなくマルコを執拗に攻撃する。
その他各々がそれぞれの白ひげ対策法を実践した結果、大きく数を減らしたのだと思います。

そしてもう一つ特筆すべき点は、大きく数を落としていた「赤単ゾロ」の復権です。
要因としては、ユーザー間での「赤単ゾロ」に対する対策が減った。ガードが下がったことが要因と思われます。

使用率1位の「緑単錦えもん」でいうと、「X・ドレーク」の採用枚数は3枚が2枚と多少落ちるぐらいでしたが、「雷ぞう」の採用枚数は大きく減少していたと思います。
「雷ぞう」は環境初期では4枚採用しているリストが多く、「赤単ゾロ」に対してリソースを稼ぎやすいこのカードは非常に強力なカードでした。
しかし、「赤単ゾロ」が少なくなり、「赤単白ひげ」が多くなってきた頃から、「雷ぞう」は環境で活躍する場面が減少していきました。
その為、多くの「緑単錦えもん」が4枚から枚数を減らしていました。東京BEST32の中では非採用のリストも見受けられました。

このように、2弾環境の総括としては、大阪(11月)の「赤単ゾロ」で始まり、東京(1月)の「赤単ゾロ」で終わるといった形となりました。
2弾「頂上決戦」が発売して二か月以上経ちましたが、その期間でここまでメタゲームが推移したTCGは初めて見ました。
2月に3弾の発売が控えておりますが、それまでは各々が「赤単ゾロ」へのガードを上げて、また数を減らすような推移になるのかもしれません。

繰り返しになりますが、たった二か月でここまでの環境推移を起こしたTCGは、近年のSNS情報過多時代の状況から考えると、本当に異質だと思います。
下手をすると「新商品が出て翌週には最強デッキが判明し、そこから環境が一切動かない」といった事も近年ではそこまで珍しくありません。

大情報過多時代と言える現在で、ここまで濃厚なメタゲームを楽しめたのは、カードゲームを嗜むものとしては幸せな二か月間でした。

3.異常なまでのデッキの組みやすさ

ここまでは環境面で『ワンピースカードゲーム』が、カードゲームとしていかに優れているのかの解説をしました。
しかし、『ワンピースカードゲーム』を始める上で、大きな障害が1つあります。

「TCGとして優れているのはわかるが、パック買えないよ!」

そうです、現状再販分ですら満足に買えない日々が続いております。
メーカー様は一生懸命頑張って生産していますが、追い付いていないのが現状だと思います。

しかし、パックが買えないと言っても、遊べないわけではありません。
むしろ、現状は「手段さえ拘らなければ安く遊べる」部類であるとも思います。

まず「赤単白ひげ」、このデッキはレアリティさえ拘らなければ5000円もあればお釣りがくるレベルで安く組むことが可能です。

2弾環境の中心「緑単錦えもん」も、レアリティに拘らなければ1万4000円程度で組むことが可能です。
一見高いように見えますが、一般的なTCGの環境デッキと比べると、むしろ安い部類に入ると思います。

このように、シングルカードで揃えるという選択をすれば、大体のデッキが1万円前後(半分ぐらいが1万円以下)で組むことが可能です。
繰り返しになりますが、近年のTCGの環境デッキの相場と比べるとだいぶお安くなっていると思います。

4.持ってるカードで長く遊べそうなゲーム性

昨今、TCGで遊んでいく過程で問題になっているのは、ゲーム全体のカードパワーの上昇が早く、持っているデッキやカードが時代遅れになり環境から取り残されやすい「カードパワーのインフレ速度の問題」があると思います。

『ワンピースカードゲーム』ではリーダー制を採用している為、各弾毎にそのリーダーを軸としたデッキが出てきます。
青であれば、1弾では「王下七武海」を中心とした「ドフラミンゴ」
2弾では「インペルダウン」を中心とした「イワンコフ」
このように特徴欄で棲み分けが行われているので、比較的インフレしにくい構造になっています。

3弾の目玉カードの1枚であると思われる「ロブ・ルッチ」。
テキストは6コストパワー7000、専用デッキであれば速攻。
純粋にパワーが高い速攻なので間違いなく強いカードだとは思いますが、こういうデザインを見る限り、カードパワーを縦に積み上げてインフレさせるのではなく、デッキを横に広げてインフレを抑えていく方向に舵を取っているのだと思います。

5.ワンピースカードゲームをやらない理由がない件

上記をまとめると

・非常に高いレベルでメタゲームが流動的に推移している
・レアリティに拘らなければ参入障壁は低い
・今後もインフレ速度は緩やかそう。更に横に広がり、多様性が増しそう

TCGを長年続けてきましたが、『ワンピースカードゲーム』が出てからの半年間は、TCGプレイヤーとして非常に充実した半年を過ごすことができました。
ここ十年ほどで出てきたTCGの中では、間違いなく一番高いクオリティのTCGであると思います。

ハッキリ言って、今リアルタイムでこのTCGを触らないのは、TCGプレイヤーとして勿体ないです!
何度か遊んでみればこのゲームの奥深さ、面白さを感じることができると思います。勝ち負けにこだわらないカジュアルな交流会なども開かれていますし、是非遊んでみてください。

最後に
「ワンピース読んだことないし…」という方は今すぐ読みましょう。
TCGプレイヤーが『ワンピースカードゲーム』をやらない理由がないのと同じぐらい、ワンピースを読まない理由は多分ないです。

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