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人生とか、宗教とか

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人生とは、みたいなことが気になる年頃になってきました。アメリカでの主要な宗教であるキリスト教や、実体験や書籍などを通じて考えたことを載せます。
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#洋書

【洋書レビュー】The Prodigal God 宗教書の限界を垣間見る(後編)

→前編 新しい解釈父を神に見立てたこの寓話は従来、”信仰を忘れ、どれだけ放蕩した生活を送った者でも、悔い改めて信仰を取り戻せば、神は温かく迎え入れてくれる”という教訓として解釈されることが多かったようです。この寓話が「放蕩息子」と題されたように、帰還した弟に焦点を当て、兄の非難をものともせずに神は愛してくださるということですね。 いや、でも待ってくれ、兄が抱える不公平感が置き去りにされてないか?と思う皆さんに、筆者は言います。 何故、不公平だと感じるのか。父とずっと一緒

【洋書レビュー】The Prodigal God 宗教書の限界を垣間見る(前編)

こんにちは。師之井景介です。今回の洋書レビューは”The Prodigal God” / 著 Timothy Keller 。”「放蕩」する神”として邦訳もされている、キリスト教関係の本です。 概要新約聖書”ルカの福音書”15章では、罪人や徴税人(権威から見下されている人たち)に教えを説くイエスを、パリサイ派や律法学者(ユダヤ教の権威)が批判するシーンが描かれます。これに対しイエスは”「放蕩息子」のたとえ”を用いて説明しました。 詳細は後ほど引用しますが、この放蕩息子の寓