風邪ひいたから病気の話する

 風邪をひいた! しんどいぜ。
 風邪ひくたびに思うが、想像の数倍しんどいな。久しぶりに食う「どん兵衛」が想像の数倍うまいのと同じだ。今日は「半休」という夢みたいな休みを貰って午後休んだ。

 ところで「市販の風邪薬が飲んでも全く意味無い」という点についてはみんな共有できてるよな? 効いたことある人いますかいませんね。パブロンとかルルとか。飲んでも何も起きない。コイキングか?

 「おお風邪? 大変だね。じゃあ今日はパブロンでも飲んで頑張って」

 みたいな奴が管理職に1人でもいてもらっちゃ困るからここでしっかり認識を共有しておこう。市販の風邪薬は無意味だ。いいですか、パブロンとかルルとかは飲んでも全く意味ないのになぜか風邪薬として有名になったことで有名な薬です。嘘です。
 風邪をひいたら即病院に行って「飲む意味のある薬」を貰う。これが風邪を治す最短の解決策だ。

 お医者さんのステマをするわけじゃないが、パブロン飲んで頑張ったら元の状態よりずっと悪くなって、ズタボロの状態で病院に行ったら貰った薬でたちどころに病気が治った、という経験が何度もある。効き目の強い薬は病院でしか貰えんからな。

 「抵抗力」とかいうのを高めるためにも薬に頼りすぎるのは良くないと思って、風邪をひいたときにひたすら体を温めて自己流で治そうとしたんだが、どんどん悪くなるので、これは逆に体を痛めつけようという作戦を採ったことがあった。大学生の頃の話だ。

 2月の雪が残る比叡山にフラフラになりながら登って、帰ってきて激辛の担々麺を食べた。そしたら翌日、もうちょっとどうかしたら死ぬんじゃないかってぐらい容態が悪化した。今なら「京都府で最弱の爺さん」にタイマンで負けるだろうと思った。

 さすがにこれは放っておくと死ぬので仕方ないから近所の病院に行った。病院の先生の一言が衝撃だった。

 「昨日、長い時間寒いところにいた?」

 ええ!? なんでそんなことが分かるの? さすがに赤裸々に話すと怒られそうなので俺はちょっと嘘をついた。

 「いや? いませんけど」

 高校3年生の受験前、11月ぐらいだったか、連続で病気になった。まず「豚インフルエンザ」だ。2009年の日本で猛威を奮った新型のインフルエンザだった。あれはしんどかった。「リレンザ」という服用の仕方が無駄にかっこいい薬(リボルバーを回してガチャっとセットしてから吸入する)を貰ったんだが、リレンザを飲む時間以外は辛すぎて何もできない。ただ一秒一秒苦しみ抜きながら天井を見て過ごすのだ。

 ところで俺は病気のときに消化にいいものを食うという意味が全くわからない。「消化に体力を使うから」らしいんだが、病気だとしてもそんなギリギリでHPが0になる体力の奴存在するか? むしろハンバーグとかステーキとか、そういう体力を付けてくれそうなものを優先して摂るべきだという派閥(自民党安倍派)で、母親にも口酸っぱく「病気の時は『おかゆ』とか『うどん』とかじゃなく『トンカツ』とか『カレー』とか食いたい」と言い続けていた。

 だから豚インフルに感染したときも好物が出た。ビビンバ丼だ。俺は人生で初めて「食欲がない」という状態に直面していたから、ビビンバ丼なんか見たくもなかったが、日頃から母親にそういうことを言ってる手前、「ママー、食べれにゃい」とは言えないだろ。食うしかない。見た瞬間吐きそうだが、めちゃくちゃ気合い入れて食った。直後、経験したことないほどの吐き気に見舞われて、母親の見てないところで静かに吐いた。あれ以来10年以上、食品で唯一、ビビンバだけが食えなくなった。最近やっと克服した。

 豚インフルが治った直後、今度は脚が動かなくなった。その日は学校でみんなで模試を受ける日だった。なんとなく体調が悪かったが、模試は大事だ。学校に行った。

 最初は筋肉痛ぐらいだった。脚になんとなく違和感がある。まあまあ。心当たりは無いけど、そういうこともある。
 昼休み前、脚がかなりこわばっている。悪化していくタイプの筋肉痛ってあるのか? よくわからんが、普通に歩けた。
 放課後、膝が曲がらない。下半身全体が、ものすごい強度の運動をした直後みたいにこわばって言うことを聞かない。もう歩幅でしか歩けなくなっていた。なんだこれは。

 駅まで800mほどの距離だったが、1時間ぐらいかけて休み休み歩いた。一緒にいた友達が症状からなんの病気か調べてくれたんだが、太ってて脚に来る病気ということで「糖尿病」か「痛風」のどちらかだという診断結果を示してくれた。マジかよ。究極の選択だ。せめて痛風の方がなんか深刻さが薄い気がする。痛風であれ! と祈りながら帰った。

 帰宅してズボンを脱ぐと脚の至る所にウズラの卵ぐらいの大きさの紫色の斑点がボツボツと出ていた。

 お、おいおいおい、奇病じゃねえか! 痛風どころじゃねえぞ。なんだこりゃ!

 急いで親父が市立病院に電話してくれて、診察、即入院になった。「絶対安静」と言われ、トイレはおまると尿瓶だ。入院は1週間だった。

 結局、斑点の周りを切り取って調べるために手術を受けて、たしか「溶連菌感染症」という病名だった気がする。体育のサッカーの時間に調子に乗ってスライディングして出来た大きな傷があったんだが、そこから菌が入ったんじゃないかという話だった。

 俺はオカルトマニアなんだが、自分でも不思議だが幽霊だのなんだのは微妙に信じてない。まして神仏に関しては多分いないと思ってる。仮に近い存在がいたとしても、それで商売してる人たちが主張するようなスタイルでは存在しないだろう、という予想だ。

 高校生の頃はもっと極端で、神仏的な存在を全否定していた。神? はあ? かかってこいよこの野郎! と思っていた。

 そんな折、部屋の掃除を一気にやったろうということで、昔っからの「お守り」やら「お札」やらがわんさか出てきた。中学受験のときに手当たり次第に買った「合格守り」なんかも10個ぐらい出てくる。俺も昔はピュアにお祈りしてたんだなあ、と思いながら、全部「燃えるゴミ」の袋にぶち込んでいく。部屋中のそういうのを全部捨てて、スッキリして掃除は終わった。

 まさにその掃除の直後だったのだ。豚インフルと入院は。普通に考えれば単なる偶然なんだが、俺はこれ以来、おみくじも捨てられないぐらい「神社」にビビってる。どんなに忙しくても実家の近くの大きな神社には毎年お参りに行く。お札やお守りはお焚き上げのときに持って行って燃してもらう。もうビビりまくりだ。神様ほんとすいませんでした。

 受験生は関東だと「湯島天神」に行くと相場が決まっている。関西は「北野天満宮」だろう。九州は「太宰府天満宮」。学問の神様「菅原道真公」が祀られた神社だ。

 俺も一応、受験前には湯島天神にお参りしていた。ご利益があったかどうかはわからん。

 そもそも受験において「神様のご利益」というとどういうもんだろう。実力以上の結果が出ることか? たとえば試験でわからない問題が出てきたとする。わからんもんはわからんぞ。菅原道真公のパワーでわかるようになるってことだろうか。

 『ヒカルの碁』みたいに菅原道真公が後ろに付いた状態で試験に臨めるとして、役に立つのか疑問だ。

『関数 y=x^3+……』

 「うぅ、わからない。道真、助けて〜」
 「か、関数? 関数?」

『Scientific terms are……』

 「うぅ、道真、助けて〜」
 「1文字も読めん」

『藤原道長が……』

 「うぅ、道真、助けて〜」
 「藤原!? 許さん!! あああああああ!!!!!」雷ドーン!!!!!

 古文漢文しか出来ないぞ。

 「学問の神様」にも、結局は実力通りの結果を出せるように風邪とかひかないよう祈るぐらいがちょうどいいのかもしれない。

 俺も早く風邪が治ってほしい。困ったときの神頼み。いいだろそれで。困ってない人間のことはやさしく見守ってくれるぐらいの懐の深さを見せてくれ神様とやらよ。

 こんなこと書きながらもちょっとビビってる。今度神社行くときはお賽銭多めに入れよう。おっかねえから。

 次回は全快した状態で書きたい。
 またね。

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