親友のスマホにEメールが届いた
「来年のことを言うと鬼が笑う」ということわざがある。年末によく聞く。
意味わかるか!? このことわざ! 言いたいことが山ほどあるから1つずつやっていこう。
第1にそもそも「鬼」。鬼はいない。鬼はね、いません。「鬼がいる」という前提そのものが納得できないのに、「来年のことを言うと笑う」という勝手な設定を付け足すという言語道断っぷりだ。やりたい放題じゃねえか。
「赤ピクミンは火に強い」って言ってんのとまったく同じだぞ。なんでことわざになってるのか全然わからん。誰かが勝手に決めただけだ。いもしない鬼について!
第2に、まあじゃあ仮に、鬼? いるかもしれないとしようか。鬼がいますよと。
それでなんで笑ってるんだ。調べるか! なあ!
鬼関係なくないですか。鬼、無関係だぞ!!
『来年のことを言えば』
鬼「ふんふん」
『鬼が笑う』
鬼「俺!?」
なるほど。この説明によれば「人間には未来のことはわからない」という意味が含まれている。「鬼にはわかる」ということか。桃太郎に滅ぼされてましたけどね。わかるのね未来。こぶとり爺さんがダンスしたときビックリしてたけど。鬼には未来がわかると。
また新しい設定が足された気がするけど、そういうことか。
いずれにしても「未知のことについてあれこれ話すのは馬鹿馬鹿しい」って言いたいわけだ。じゃあ「鬼」はいいんですかね。鬼の設定をあれこれ付け足すのは馬鹿馬鹿しくないんですか!?
第3に、いいやじゃあ、鬼いると。それで来年のこと言うと笑うと。全部わかった! そうだとしようか。それで何がそんなに嫌なんだよ。
別に嫌じゃないだろ! 鬼が笑っても。なあ!
ブチギレて襲いかかってくるなら困るよ。でも笑ってるんだもんな。全然かまわないよ。実害ゼロだ。いくらでも笑ってくれ!
このことわざは意味不明すぎるから廃止しよう。「来年のことを言うと鬼が笑う」に反対する市民の会を結成する。今度みんなでデモしようね!
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今年も終わりだね。数日前、10年ぶりぐらいの友人から急に電話が来た。年末年始は旧友から急に連絡が来るのはよくありがちだ。知らん番号だったから恐々出たんだが、このnoteで登場したことのある「佐藤師」だった。
「修学旅行で女子の部屋に行った」の回で真っ先にUNOに負けて女子の部屋に行った「佐藤師」だ。ちなみに実は佐藤師だけ実名なんだが、佐藤は無限にいるからいいだろと思っている。前回会ったのはお互い大学生の頃で、わざわざ京都まで深夜バスに乗って会いに来てくれた。
その前は俺が浪人生の頃で、急に「原宿でクレープが食べてみたい」という連絡が来て一緒に行った。俺のこと可愛い女の子だと思ってる可能性がある。
ちょうど30代前半の人だけわかると思うんだが、俺らは高校生の頃は完全にガラケーだった。クラスの連絡なんかは「メーリス」というのを作って一斉送信する。やりとりも全部メール。動画とかは15秒ぐらいしか見れなかった気がする。ニコニコ動画はクリックした分だけ再生されるという謎の仕様だったな。
たしか19の頃にiPhone3GSが日本にやってきて、翌年iPhone4だったかな。このiPhone4が鬼流行った。当時はマジでTwitterぐらいしかやることがなくて、あとは方位磁針と株価のグラフがメインコンテンツだった。「iPhoneでiPhoneの使い道を調べる」という吉田兼好がいたら速攻でネタにしてそうなムーブをよくした。買ったはいいけど何に使うんだ? どっちが北か見とくか。
で、何年かすると一気にLINEが大流行する。メールを全く使わなくなった。だからここで高校より前の友人はほとんど全滅する。スマホの流行とともに、うすい繋がりの友人が一掃された世代なのだ。
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誰かが俺に突然連絡してこないかな、と思って中2の頃に作った「ezweb.ne.jp」のメアドをずっと残してあったのだが、ついぞそんなことはなく最近消した。電話番号まで知ってるのは「選ばれし者」なので、「佐藤師」もその1人ということになる。
ちょうど去年の今頃だったか、俺の高校時代からの親友である石山(仮名)のもとに、「Eメール」が届いた。石山も中学の頃からメアドを変えていない。石山の高校時代の彼女(仮に笠原さんとしよう)からだった。
『ひさしぶり。元気? 最近どうしてる?』
Eメール? Eメールで連絡が来るのは超絶レアなことだ。基本もう全部LINEだし、LINE知らなきゃTwitterとかのDMとか。SNSもLINEも繋がってない相手には連絡を取る必要がそもそも無い場合が大半なので、わざわざEメールというのは妙なのだ。
ぼちぼち「宗教」とか「ネットワークビジネス」とかもありえる年齢になってきた。そういう感じのあれか? と一瞬思ったものの、そうならそうで話のタネになるかと思って返信してみたらしい。
『元気でやってるよ。そっちはどう?』
そのあとはLINEを交換して、互いの近況を報告しあったらしい。結局、別に宗教とかそんなんでは全然なくて、笠原さんが家庭のことで精神的に参っていて、ふと思い出して連絡したということだった。笠原さんは大学の頃の先輩と学生結婚をして子供も出来たんだが、旦那がひどいモラハラ野郎だったらしく離婚することになって、その裁判中だったそうだ。石山はちょうど結婚前で、お互いがんばっていこうみたいな話をしたらしい。
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この話を石山から聞いたとき、俺はいろんなことを思ったんだが、まず笠原さん、俺は応援してるぞ! 笠原さんは石山の同級生でもあるが、すなわち俺の同級生でもある。同じ釜の飯を食った仲間だ。とにかく性格の良い人だった。大変だろうけど挫けないでくれ! 同じ空の下、届け! 頑張れの波動!!! 幸せを祈っている。同級生だからな。
それから、「ふと思い出した」というのが気になった。どうしたきっかけだったんだろうか。これは石山が高校時代ギターをやっていたことが関係している。
笠原さんはあるとき、沈んだ気持ちをちょっとでも上向けようと、音楽を聴いていたそうだ。と、スピーカーから懐かしい音楽が流れた。高校生の頃によく聴いていた曲だ。「〜♪」
そういえば。笠原さんの脳裏に石山の顔が浮かんだ。石山くん、昔付き合っていた彼氏だ。まだギター続けてるのかなあ……。
で、メールしたわけ。おいおいおい!!! 素敵かよ!!! ちょっと待ってくれよ!!! 映画ですか!? 映画「ムーンライト」でジュークボックスの「Hello stranger」を流す場面ですか!!?
具体的に何の曲を聴いていたかは、石山はヒアリングしてないらしい。ここは想像で補完しよう。俺はね、スピッツの「渚」とかがいいかな! ベタだけど!
片耳ずつのイヤホンで聴いてたのかな!? うぇい! 懐かしのシチュエーションうぇい!
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で最後に思ったのはね、石山は当時結婚前だった。現在は長男が生まれて幸せそうだ。笠原さんは、結婚して子供ができて離婚して、だ。それで昔の恋人に「メール」をして、しんみりと互いの近況を伝え合ってるわけですよ。大変だと思う。大変だと思うよ。笠原さん。マジで応援してる! 祈ってるよ! でもさあ、なに、もうみんなその段階なの?
いや、同じ学び舎で、同じ釜の飯を食った同級生だよ。もうなに、色々あった末に昔の恋人と15年ぶりにメールして、この15年の互いの人生を振り返ったりする段階なの? 俺まだ1面のボスまで辿り着いてないんだけど! お前らなに、8面ってそんな感じの景色なの?
懐かしい曲を聴いても昔の恋人の顔なんか出てきませんねえ。1人で新宿三丁目を汗だくで歩いていた記憶とか、1人で幕張本郷を汗だくで歩いていた記憶とかしか出てきません。同級生はもう8面をクリアするための情報交換をしてるんだ。なあ、恥ずかしいけど教えてくれ。1面ってどうやってクリアするの?
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というわけでね、鬼に笑われないように昔の話を延々としてるnoteですけれども、色々なことがある人生ですが元気でやっていきましょうね。俺はずっと1面で戦ってるので、つまずいたら帰ってくるんだよ。2面以降の攻略法は知らないので励ますことしかできないけど。
たくさん思い出を作ろう。
またね。