ホットサンドとサンドイッチ
我が家にはホットサンドメーカーがある。
キャンプが流行りだす前に、SNSでにわかにホットサンドメーカー調理が話題になりだした頃に購入したものなのだが、2枚のパンを正方形のホットサンドにするタイプではなく、真ん中に仕切りがあり、縦長のホットサンドを作れるものだ。
これがなかなかの曲者で、まず今どきの食パンだとサイズが小さくて真ん中の仕切りに潰される分四隅のパンがハの字に開いてしまい、中の具が飛び出す。
だからこのホットサンドメーカーでホットサンドを作るときは、2枚の食パンをそれぞれ畳んで、左右に配置して、その畳んだパンの間に挟むように具を配置してプレスする。これにより四辺を閉じなければならなかったホットサンドメーカーが3辺を閉じるだけで成立し、十分なプレスがされずにホットサンドが崩壊したとしても1辺は必ず閉じているのでホットドッグのそれと同様の食べ方で、最後まできれいに食べることができるのだ。
ただ、この製法にも弱点がある。入れられる具の量が折りたたみのロス分かなり減るのだ。
現在主流の仕切りのないタイプのホットサンドが人気たる理由の一つとして、適当に具材をほおり込んでプレスするだけで、一定のクオリティをもった料理ができる。という労力の省力化が一要因として存在すると思うが、今回のこの製法ではその具材の量をある程度コントロールしなければ、閉じた1辺から出られない分が3辺に放出されたちまち焼けたパンの周辺によくわからない具材がベチョベチョに張り付いているオープンサンドになってしまうのだ。
そして、その状態は今朝起こった。
約1年半ぶりに登場したそのホットサンドメーカーは、忘却を生存の機能として盛り込む人類をあざ笑うかのように、ベチョベチョオープンサンドをその胎内から生み出した。
そのホットサンドが鉄の体で醸成される3分間、横で同じく作成されていたサンドイッチはつゆ知らず、ただ具をハサミ、フレッシュな食感はそのままに一品の料理を生成していた。
それらを食べる、当人たちはこんな思考の巡回を知る由はない。
ただ、日々を生きるために、こういう工程や屁理屈を、いつまでも楽しめるようでいたいものだと、思うのであった。
今日も暑い。
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