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あの頃があって今がある

学校を卒業して、会社員として働き始めた頃、世の中はバブルの真っ只中。
周りの大多数がしているのと同様に、仕事が終われば、ある時は友人達と飲みに行き、そのまま深夜のディスコへ。またある時は、職場のオジサマ達に連れられて、そこそこ良いお店で食事をご馳走になり、スナックへ流れた後にタクシーチケットを貰って帰宅。
ゼロの4個以上つく洋服やバッグも厭わず買い、連休ともなると友人達と計画を立てては、当たり前のように海外旅行へ出かけた。

そんな日々を、特に愚かだとかおかしいとか、そんな風には思わなかった。だってわりと皆もやっていたし、むしろそれが普通だったから。

仕事中は外すにしても、出勤時にさえアクセサリーを幾つも身につけ、日々じゃらじゃらさせていたら、ある頃から皮膚は赤くなり、痒くなり、どんどん腫れが酷くなっていった。
どんな時でも靴は7cm以上のヒールと決め、日々カツカツ歩いていたら、ある頃にはもう足が痛くて痛くて、長くは歩けなくなった。

わりと重めの金属アレルギーと外反母趾で、もうここ20年以上、耳にも胸元にも手首にも、貴金属のアクセサリーは一切なし。足元はぺたんこ靴を履いて歩いている。

だけど、あの時やめておけば良かったとか、あの失敗がなかったらなどとは、実はそんなに思ってはいない。
だって、もしあの時ああしていたらとかああしていなかったらなんて、考え始めたらキリが無い。毎日がとにかく忙しく楽しく、キラキラした時間を過ごし中のあの頃の自分に、「もう少し先のことも考えようね」なんて、したり顔で説教したいとは、実際少しも思わないのだ。ああしていなくて、結果として今はこうなっているけれど、そのせいでそこまで困ってるわけじゃないし、今は今なりに楽しくやってる。考えようによっては、アクセサリーへの興味が失せたお陰で、売り場を覗く時間も買い求めるお金も節約できたし、かかと部分の摩耗が早いハイヒール靴より、ぺたんこ靴はよっぽど長く愛用できるのだ。

この先も「あの時、ああすべきじゃなかった」と心から後悔するような過ちだけは犯さないようにするべきだけど、あとはそこそこ刹那でもいい。
先のことをよく考えもせず、ちょっと愚かだったのかもしれないが、それも含めての自分だし、そんな頃があっての今である。

それなりに、楽しくやってる今日である。



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