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"eMAXIS Neo"ってどうなの? 積立投資との相性は?

 こんにちは、投資カピバラ(@Capybara_Stock)と申します。
 今回は、最近話題の投資信託「eMAXIS Neo」シリーズについて、Twitterにて書き連ねた内容をまとめたnote(省力版)になります。

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 「eMAXIS Neo」シリーズについていわゆるテーマ型の投資信託なのですが、率直に申し上げると、ARK ETF、クリエネETFが流行った時と同じ懸念を感じています。
 ただし、eMAXIS Neoという商品自体を否定している訳ではありません。
 どんな金融商品にも共通して言えることですが、投資家として、購入する証券の特性を把握し、適切な売買ロジックを考えることは必須事項であると思っております。
 今回のnoteもそうした思考実験の一環ですので、どうか皆様の売買戦略立案の一助となれば幸いです。

「eMAXIS Neo」シリーズとは:

 eMAXIS slimシリーズ等の三菱UFJ国際投信が出しているテーマ型投資信託で、日本では全9種類が発売されています。

自動運転
ウェアラブル
フィンテック
ナノテクノロジー
バーチャルリアリティ
ドローン
宇宙開発
ロボット
遺伝子工学

 信託報酬は0.792%と、インデックス型の投資信託に比べやや割高です。
 純資産額は11月以降で急増しています。(下記は自動運転)

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 コロナショック後のパフォーマンスは金融緩和環境の恩恵もあり非常に高いです。従来のテーマ型投資信託は国内企業のみを対象にした割高なアクティブファンドなどが中心でしたので、そういった商品と比べれば良いテーマ型投資信託だとは思います。

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 まず、これらの投資信託は「S&P Kensho New Economies Composite Index」と呼ばれる指数に連動するインデックスファンドとなっています。

 KenshoというのはS&P Globalの子会社で、AI技術に強みを持つ企業だそうです。「AIが企業の開示資料を読み込み銘柄選定する」と説明されていますが↓

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 S&Pの資料を読み込んでみるとこんなことも書いてます
・最小の時価総額/出来高の足切
・半年毎にリバランス(商品毎に基準日が異なる)
・1年毎に銘柄の見直し
・構成銘柄は「中核」「非中核」に分けられている
 Documents>Methodology

疑問:
①技術革新/競争の激しい分野で、年一回の銘柄入れ替え頻度は適切か?
(SP500ですら年に数回は入替)
②テキストマイニングとその重み付けのみで企業の成長力が測れるのか?
(極端な話、実態がなくとも会社資料にトレンドワードを入れておくだけで採用されるのでは?)

 そしてこれらの商品は「インデックスファンド」と銘打っていますが、eMAXIS Neoに限らず、テーマ型のETF...例えば $QCLN (クリエネ) $WCLD (クラウド) $SMH (半導体)なども実は指標となるインデックスが設定されている「インデックスファンド」です。

 投資を始めたときに「長期間で見るとインデックス>アクティブ」というのは誰でも習う内容だと思いますが、ここでいうインデックスというのはいわゆる市場平均に連動するような $VOO $VT 等を指すのであって、
テーマ型ETF向けに設定された「なんちゃってインデックス」とは別で考えるべきと考えています。

 「なんちゃってインデックス」は恣意的な運用がされていることも多く
eMAXIS Neoの場合はテキストマイニングの対象となるキーワードの指定等にアクティブ運用的な要素が入ってきます。
 人の意思が介在するなら、どうせならARKレベルの専門家を揃えてガチガチにやってくれるならいいのですが。。

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 別にS&Pのアナリストの実力を疑うわけではないのですが、この手数料率に対してどの程度の専門家が分析に割り当てられているかは疑問です。
 個人的な見解としては $QCLN $WCLD といったテーマ型ETFと同様の扱いをすべきと思っています。


eMAXIS Neoの積立投資はアリか?

 eMAXIS Neoは「インデックス型の投資信託⇒長期目線での積立投資」をされている方もおられるようですが

ここで一度基本に立ち返り、
・積み立て投資(ドルコスト平均法)
・テーマ型ETF/投資信託

のメリット・デメリットを見ていきたいと思います。

積み立て投資(ドルコスト平均法)について
メリット
・一般的な月給制の家計事情にマッチしている
・買付タイミングの判断が不要
・価格変動リスクを抑えられる?
デメリット
・資産形成に時間がかかる
・放置しがちになり、値動きに鈍感になる
・資産運用における時間分散にはならない

 こうしたメリデメから、一般的には、長期的な上昇が確信できる商品に向いているとされ、S&P500等のインデックスファンドを購入することが一般的です。逆に個別株には向いていないとされています。
 時間分散の考え方については東バフェさんのブログが超わかりやすいです

 あくまで一般的な解釈であって、自身が長期的な成長を確信できるのであれば個別株でもテーマ型ETFでも積立投資することは自由です。
 特にボラティリティの高い個別株で、なおかつテクニカル面での知識がないのであれば効果的かもしれません。
 しかしテーマ型ETFの場合は銘柄数という観点からは分散されており、ボラティリティを抑えるような設計になっている(=下落幅も小さい)はずですので、ドルコスト平均法の効果が適切に得られるかについては疑問符です。

続いて、テーマ型ETF/投資信託について
メリット
・初心者でもイメージが掴みやすい
・小額からの投資が可能
・銘柄選定の手間が省ける
・分散投資が可能
デメリット
・株価需給(流行)に左右されやすい
・銘柄選定が正しいとは限らない
・グロース株への集中投資になりがち
・手数料が割高

>初心者でもイメージがつかみやすい
これはメリットでもあり、デメリットでもあります。
一般に、こうしたテーマ型商品は話題になった後に計画・作成されることから、世に出た時点で既に割高となっている傾向があります。

 ガートナーのテクノロジー・ハイプサイクルをご存じでしょうか?
 これはテクノロジーの成熟度・採用度・社会への適用度を示したもので、
①黎明期
②流行期(過度な期待)
③幻滅期
④回復期
⑤安定期

と進んでいきます。
 2020,2019年版を見てみると。AIや5G関連のワードが並んでいます

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 eMAXIS neoのテーマが必ずしも「過度な期待」にあるかはわかりませんが、金融緩和のブーストが終わり業績相場に移行したとき、どのテーマ・どの企業が生き残るのかは常に意識しておく必要があると考えます。

>株価需給(流行)に左右されやすい
これも前述の内容に関わる点です。
やすさんのスライドをお借りしますが、今の相場はテーマの移り変わりが激しく、たとえば年末年始のクリエネ祭りに遅れて参加した方は、いまいちパフォーマンスが伸びていないのではないでしょうか...

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 私もクリエネは長期テーマだと思いますし、大統領選前から自身で調査して戦略的に投資されていた方には些細なことでしょうが、
 短期の爆上げを期待して、よく調べずに雰囲気で買ってしまっているのであれば、同じ結果に終わる可能性もあるのでは、と考えています。

 特に、国策であるクリエネや収益の予想が立てやすいSaaS銘柄と異なり、VR・宇宙・ドローン等の分野では赤字を垂れ流している企業も多く存在します。
 現状の金融緩和が終了し業績相場に移行したとき、実態のない企業は淘汰されるリスクがあります。

>グロース株への集中投資になりがち
 これはテーマ型ETFの中でも特にeMAXIS Neoシリーズに顕著な傾向で、中小グロース株に比重が偏っている傾向があります(採算化されていない業界をターゲティングしているため)。
 そのため、長期金利の上昇局面では「グロース株売り」と「需給悪化」のダブルパンチを食らう可能性が高いです。


まとめ

✅eMAXIS neoはテーマ型ETFと同じと考えるべき
 ⇒投資信託には"値動きに鈍感になりがち"で、"機動的な売買ができない"というデメリットがあるため、同セクターに投資可能なETFがあるのでしたらそちらをおすすめします。

✅テーマ投資には需給や成長の罠も絡むので、"本当に"長期投資できる対象なのかは検討すべき
 ⇒例えば今「eMAXIS neo クリエネ」が出たとしたら買いたいですか?
 投資信託だからと何となく雰囲気で投資するのではなく、本当に成長していくセクターなのか、別の技術革新によるリスクはないのか
 そして構成銘柄は市場の成長を享受できるような銘柄が選ばれているのか、必ず吟味すべきです。

✅積立と一括のメリデメも今一度見直すべき
 ⇒値動き大きそうだからとりあえず積立!ではなく、その特性を理解して使い分けることが重要です。

 念のため記載しておくと、私はeMAXIS Neo ノーポジです。
 理由としては・・・
 ・必ずしも全てのテーマに乗る必要はないと思ってる
 ・自己スキル向上のためにもなるべく個別株で戦いたい
 ・どうせアクティブならARK推し

 私がeMAXIS Neoを活用するのであれば...
 ・自身の理解が及ばない分野かつ、自身の保有株よりも高い成長率が期待できるセクターへの投資として、
 ・同セクターをカバーする適切なETFが存在しない場合のみ、
 ・短~中期目線での一括投資用として利用

 上記のように考えています。

 今回は以上です。色々ご意見・議論お待ちしております!

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