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RPA業界分析+主な銘柄まとめ

 こんにちは、投資カピバラ(@Capybara_Stock)と申します。
 第三弾となる今回のnoteですが、いつもと趣向を変え、今後ますますの成長が期待できる『RPA』業界についてご紹介させていただきます。

本記事は全編無料でお読みいただけます。
もし本記事に価値を感じてくださった方がおられましたら
投げ銭をいただけますと大変嬉しいです。

 先日、RPAのリーディングカンパニーである『UiPath(ユーアイパス)』が、2021年上半期のIPOに向けて取り組んでいるという報道が出ました。

 『RPA』というテクノロジーへの注目は近年急速に高まっていますが、その一方でUiPathを含む主要プレイヤーは米国非上場の企業が多く、個人投資家が気軽に投資することは難しいのが現状でした。
 UiPathが必ずしも上場すると決まったわけではありませんが、RPA業界全体、とりわけ同社の成長は目覚ましいものがあり、大変注目しています。

本記事では
 「RPAとは何か?ビジネスモデルは?」から始まり、
 「RPAの市場成長性・ポストコロナでの見通し」
 「主要プレイヤーの現況」といった内容まで、
 今回も図やイラストを用いてわかりやすく解説・分析していきます。

1.  RPAとは

本章はRPAに馴染みのない非エンジニアの方向けの内容です。
「RPAについては知ってるからさっさと企業分析が読みたい」という方は「3. RPAの市場規模・成長性」からご覧ください。
 (目次からジャンプできます)

 RPAとは『RoBotic Process Automation』の略語で、日常的に繰り返される業務・PC操作を、作業者に代わって自動で実行してくれるソフトウェアのことを指します。
 「ロボット」と言っても人型のロボットがキーボード操作をするわけではなく、PC内にRPAソフトウェアをインストールしてあらかじめ操作内容を記録しておくことで、定型作業を24時間365日いつでも自動で実行してくれる、という仕組みになっています。

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 RPAの動作イメージはこちらの動画が参考になります。人の手による作業に比べ「早く」「正確に」「大量の」定型業務を処理することができます。

 自動化できる業務は、例えば「Excelの操作・帳票入力」「Webサイト操作・データ抽出」「アプリケーション操作」など、PC上で完結する業務であればほぼ全て自動化できると言っても過言ではありません。

 少し古いニュースですが、日本の大企業でも導入され始めたことが報じられています。

 よく「AIが人の仕事を奪う!」という煽り記事が賛否を呼びますが、実際にはこうしたRPAが、既に人の単純作業を奪い始めています。

 RPA導入による企業側のメリットとしては以下が挙げられます。
 ①人件費・残業時間削減
  ⇒業務自動化により単純作業人員を削減したり、新規事業への人員転換
   が可能になります。

 ②システム導入に比べスピーディかつ安価に導入可能
  ⇒RPAは数十万~百数十万円程度から導入でき、すぐに業務自動化に取
   り掛かることができます。
 
 ③プログラミング知識が不要
  ⇒商品によりますが、ほとんどの製品はコーディングを必要としないた
   め、開発人材を短期で育成することが可能です。
 
 ④24時間365日の稼働を実現
  ⇒ロボットに休息は不要のため、人間では対応が難しかった深夜や休日
   に業務を遂行することも可能になります。

 ⑤ミス・不正が発生しない
  ⇒適正な設定を行えばミスや不正が発生しないため、ガバナンスの向上
   が見込めます。

 こうした特徴から、DX(デジタル変革)の先兵として大企業を中心に導入が進んでおり、その市場規模も年々加速しています。

2. RPAの分類とビジネスモデル

2-1. RPAの分類
 RPAはどの製品でも同じことができる...というわけではなく、その構成や開発手法・得意とする業務などが製品によって異なっています。
 ここでは後ほど紹介する各社ごとのプロダクトの違いを理解いただくため、いくつかの分類方法をご紹介します。

①構成による分類

RPAの種類

 RPAソフトウェアは主に、ロボットの開発・実行を行う「クライアント」と、クライアントPCやロボットを管理する「サーバ」の2種類のソフトウェアの組み合わせから構成されています。
 (RPAベンダーによって「サーバ」と「クライアント」のソフトウェア名が異なる場合もあります)

デスクトップ型
 RDP(Robotic Desktop Automation)とも呼ばれ、皆さんが普段使用しているPCに「クライアント」ソフトウェアのみをインストールする構成です。「サーバ」ソフトウェアは使用しません。
 主に安価な製品や、「まずはどんな感じか試してみたい」といった導入検討段階にこの形で導入することが多いです。
 初期コストは安いですが管理やスケールアップが難しく、大規模導入には向きません。

◆オンプレミスサーバ型

 
社内にRPA専用サーバを設置し、「サーバ」ソフトウェアを介して「クライアント」PCを統括管理する構成です。
 現在の市場に出ているRPAの90%はこの構成で、ロボットやPCの管理などを適正に行うことができます。

◆クラウドサーバ型◆
 
社外のクラウドサービス(AmazonAWS, MicrosoftAzureなど)上にRPA専用サーバを設置する構成です。
 基本的な形はオンプレミスサーバ型と同じですが、アクセシビリティやスケールアップの容易性から近年はこの構成が主流となりつつあります。
 煩わしいサーバの保守運用をベンダー側に任せられるため、顧客企業はRPAの運用に集中できる点も魅力です。

②開発手法による分類

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 ロボットを作成する際の方法も複数種類ありますが、上記のうち複数を備えていることが多いです。(例 UiPath:レコーディング+ワークフロー)
 レコーディング型:ユーザのPC操作を録画し、自動でロボットを作成する
手法です。これ単体でロボットが完成することはほぼなく、他の手法と組み合わせて開発を行うことが多いです。
 ワークフロー型:実行したいアクションを矢印で繋いでいくことで作成する手法です。非エンジニアでも直感的に開発しやすく、最も多くの製品で採用されています。
 コーディング型:実行したいアクションをコーディングの要領で書き連ねていく手法です。一見難しそうに見えますが、エンジニアの多いIT企業などでは好んで採用されています。


2-2. ビジネスモデル
 RPA事業の主な収入源は以下の2種類に分類できます。
 製品自体のサブスクリプション契約による「ライセンス収入」
 製品導入・利用時のサポートによる「サービス収入」


 「ライセンス収入」については、基本的には年単位の契約となり安定した収入が期待できます。導入戦略については「小さく産んで大きく育てる」が基本となっており、まずは小規模の無料トライアルという形で製品を試してもらい、製品購入後は顧客が企業内での利用を徐々に拡大していくことで、サブスクリプション契約のライセンス数が年々増加していく、という戦略になっています。
 また、顧客内での利用が拡大すればするほど、開発されたロボットが「資産」となり、他社製品への切り替えが困難になります。

 「サービス収入」については、購入後のRPAサーバ構築、開発者育成コンテンツの提供、障害発生時のサポートなどが含まれます。
 RPAは「インストールさえすれば導入完了」となる製品ではなく、自動化対象業務の洗い出し、ロボット開発状況の管理、ロボット稼働状況の監視、社内開発者の育成などなど……本来の目的である「業務自動化・工数削減」に至るためには相応の人員とノウハウが必要になります。

 実際に顧客企業へRPA製品を提供しているのはUiPathのような開発企業ではなく、パートナー企業が営業活動や導入を含めた各種サポートを行っていることが多いです。
(企業によると思いますので、あくまで一例です)
 RPAへの投資を検討する際は、こうしたパートナー企業も候補として検討する必要があります。

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3. RPAの市場規模・成長性

3-1. 市場成長性
 Gartnerが2020年9月に報告したレポートによると、RPA市場はCOVID-19の影響を受け成長率が一時的に鈍化するものの、2021年は19.53%、2024年までは2桁の成長率を維持すると予想しています。

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 レポートの中では、COVID-19の影響がRPAへの関心を高め、2022年までに世界の大企業の約90%が何らかの形でRPAを採用する、としています。


 また、Grand View Researchのレポートでは、RPAの市場規模は2027年までに$25.56B、CAGR(年平均成長率)は40.1%に達するという、さらに強気の予想を示しています。
 特に、「Software(≒RPAのライセンス収入)」よりも「Services(≒RPA導入に関するサポート・コンサルティング)」が大きく成長するとしており、売上高に占めるシェアは既に50%を超えているようです。

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 RPAの構築環境に関しては、現在は市場シェアの90%を占めている「オンプレミス(社内のローカルサーバに構築)」から「クラウドベース(AWSなどの外部環境に構築)」への移行が進む、としています。
 また市場環境に関しては、2019年には北米が収益の37%以上を占めているが、今後はアジア太平洋地域(中国・インド・日本)でCAGR 43.3%と大きく成長すると予測しています。

3-2. 主要プレイヤー
 2020年8月のGartnerのMagic Quadrantによると「LEADERS」に位置付けられているのは「UiPath」「Automation Anywhere(オートメーション・エニウェア)」「Blue Prism」「WorkFusion」の4社となります。

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 2019年のGartnerのレポートによると、収益別の業界シェアは下記のようになっており、「UiPath」「Automation Anywhere」「Blue Prism」の3強
であることがわかります。
 ※WorkFusionは近年急上昇してきたようで、データに含まれていませんでした

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2017-2018年の売上高成長率をグラフ化してみると、各企業とも2桁~3桁の急成長率となっており、特にUiPathはYoY+629.5%と驚異的な成長です。

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 参考までに、日本市場のシェアについては、IDC Japanのレポートによると、『NTTデータ(WinActor)』『UiPath』『富士通(Axelute)』の上位3社で75%を占めているようです。国内企業のシェアが大きいようですね。

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4. 主要プレイヤーの紹介

 本章ではRPA市場における主要プレイヤーを簡単に紹介します。
 UiPath含め非上場企業の財務状況についてはこちら等を参照しています。

 こちらで挙げている企業・銘柄についてはあくまで紹介・具体例を挙げているのみで、これらの企業への投資を推奨しているわけではございません。実際に投資を検討される際は、ご自身で財務情報等を確認いただくようお願いいたします。

また、可能な限り最新の情報を記載しておりますが、製品によっては企業情報や製品の特長に古い情報が含まれている場合がございます。

4-1. Uipath

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企業名:UiPath, Inc
設立年:2005年
本拠地:アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市
CEO:Daniel Dines(創業者・Mictosoft出身)
社員数:約2700名
株式公開:未公開
ティッカー:-
売上高:$393.8M(推定), AAR:$360M(2019年)
評価額:$10.2B(2020年)

顧客数:6000社超、ユーザー数75万以上
    Fortune500企業の50%以上が顧客
Webサイト:https://www.uipath.com/

 UiPathは主に以下の3つのソフトウェアから構成されています。
 ・ロボット開発用クライアント『UiPath Studio』
 ・ロボット実行用クライアント『UiPath Robot』
 ・ロボット管理用サーバ『UiPath Orchestrator』

 構成としては『UiPath Studio』のみのデスクトップ型、『UiPath Orchestrator』『UiPath Robot』を組み合わせたオンプレミスサーバ型の
両方の構成をとることができ、中小企業から大企業まで幅広く導入可能です。
プロダクトの操作イメージ動画はこちら。

 開発手法はレコーディング+ワークフローです。非エンジニアでも短期間の教育でロボット開発者となることが可能です。

 2020年には『UiPath Cloud Platform』を発表しており、これはクラウドサーバ型の構成になります。
 顧客はプランを選び登録するだけで即座にRPAの利用を開始することができます。

 非上場企業ですが、複数回に渡ってVCの出資を受けています。
 FY17 シリーズA $30M(Accel, Earlybird VC, Credo Ventures, Seedcamp)
 FY18 シリーズB $153M(上記+CapitalG, Kleiner Perkins他)
 FY18 シリーズC $225M(CapitalG, SequoiaCapital
 FY19 シリーズD $568M(Coatue, Dragoneer, Wellington, Sands Capital他)
 FY20 シリーズE $225M(Alkeon Capital, Accel, Coatue, Dragoneer,他)
 上記の通り非常に多くのVCからの出資を受けており、評価額は$10.2Bに達しています。
 出資の経緯や会社の成長ストーリーに興味のある方には以下の記事がおススメです。(英文)

 現状でUiPathに投資を検討する場合、出資者となっているVCへの投資は難しいですが…ビジネスパートナーとして実際の販売・導入支援を手掛けているアクセンチュア(NYSE:ACN)、コグニザント(NASDAQ:CTSH)、EPAMシステムズ(NYSE:EPAM)などが候補に挙がります。

4-2. Automation Anywhere

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企業名:AutomationAnywhere, Inc
設立年:2003年
本拠地:アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンノゼ
CEO:Mihir Shukla
社員数:約3000名
株式公開:未公開
ティッカー:-
売上高:$443.7M(2019年)
評価額:$6.8B(2020年)

顧客数:90か国以上で3500社超
Webサイト:https://www.automationanywhere.com/

 Automation Anywhereは主に以下の3つのソフトウェアから構成されています。
 ・ロボット開発用クライアント『BotRunner』
 ・ロボット実行用クライアント『BotCreator』
 ・ロボット管理用サーバ『ControlRoom』

 構成としては上記3つを組み合わせたオンプレミスサーバ型の構成が基本となっており、ロボットの管理監視・ガバナンスを重視する大企業が顧客の中心となっているようです。
 2019年にはクラウドサーバ型となる新製品「Automation Anywhere A2019」を発表しました。こちらもUiPathと同様、登録とプラン選択のみですぐにRPAを利用できるようになる「RPA-as-a Service」です。

 開発手法は「レコーディング+コーディング+ワークフロー」すべての手法に対応しています。

 主な出資者とシリーズ毎の出資額は以下の通りで、FY18~19で計$840Mの出資を受けています。
 FY18 シリーズA:$250M(New Enterprise Associates, Goldman Sachs等)
 FY18     :$300M(SoftbankVisionFund
 FY19 シリーズB:$290M(Salesforce, Softbank, Goldman Sachs等)
 特にソフトバンクグループCEO・孫正義氏の入れ込み具合は凄まじく、上記の通りSVFを通じて複数回に渡り出資しているほか、AutomationAnywhere社のイベントである「IMAGINE TOKYO 2019」では自ら演壇に立ち、RPA+AIの未来について熱弁を奮っています。

 現状でAutomationAnywhereに投資を検討するのであれば、SBG(9984)を通じて投資するか、ビジネスパートナーとして実際の販売・導入支援を手掛けているアクセンチュア(NYSE:ACN)、コグニザント(NASDAQ:CTSH)、Genpact(NYSE:G)などが候補に挙がります。

 個人的にイチ推しのRPAです(笑)

4-3. Blue Prism

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企業名:Blue Prism Group plc
設立年:2001年
本拠地:イギリス ウォリントン ファーンヘッド
CEO:Jason Kingdon
社員数:約2400名
株式公開:2016年(ロンドン証券取引所)
ティッカー:LSE:PRSM
売上高:£101M ⇒ $134.19M(2019年)
評価額:$1.36B
顧客数:700社以上(2018年)
Webサイト:https://www.blueprism.com/

 『LEADERS』企業の中で唯一の上場企業ですが、LSE(ロンドン証券取引所)上場となっています。
 構成としてはオンプレミスサーバ型の構成が基本となっており、ソフトウェア名称は『Blue Prism』です。ロボットの管理監視・ガバナンスを重視する大企業が顧客の中心となっているようです。
 2020年以降はクラウドサーバ型となる『Blue Prism Cloud』の提供を開始しています。

 開発手法は「ワークフロー」形式のみに対応しています。

 足元での業績は、2020年6月の上半期の決算報告によると、売上高は前年比+70%の£68.5M(≒$91.01M)とコロナ禍でも堅調で、『Blue Prism Cloud』およびSaaS配信モデルへの移行が進んでいる、としています。
 粗利益率は70%前後と高い水準ですが、年々営業経費が増大しており、営業利益は大きくマイナスとなっています。
 株価の方も2018年後半以降横ばいとなっており、PSR(ttm)=8.94と割安に放置されています。

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 Blue Prismへの投資を検討する場合、欧州株の購入が可能な証券口座を開設するか、ビジネスパートナーとして実際の販売・導入支援を手掛けているアクセンチュア(NYSE:ACN)に投資する選択肢もあります。
 アクセンチュア、TOP3全て手掛けているんですね。。。


(TOP3以降は簡易説明となります)


4-4. WorkFusion

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企業名:WorkFusion, Inc
設立年:2010年
本拠地:アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市
CEO:Max Yankelevich (創業者)
社員数:約200名
株式公開:未公開
ティッカー:-
Webサイト:https://www.workfusion.com/company/

 WorkFusionは上位3社と異なり『Inteligence Automation Cloud Express』と呼称されるクラウドサーバ型の構成をベースとしています。
 開発手法は『コーディング』方式となります。
 AIとの連携を強みとしており、従来のRPAでは自動化の難しかった「人の判断を要する業務」を含めた業務プロセス単位での自動化が可能と謳われています。日本ではNECと連携して国内展開を進めているようです(HP)
 勿論こうしたAI+RPAの連携機能は、上位3社も導入を進めています。

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4-5. PEGA

ダウンロード (3)

企業名:Pegasystems Inc.
設立年:1983年
本拠地:アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ケンブリッジ
CEO: Alan Trefler (創業者)
社員数:約5000名
株式公開:1996年
ティッカー:NASDAQ: PEGA
売上高:$911.39M(2019年)
評価額:$9.75B(2020年)
顧客数:不明
Webサイト:https://www.automationanywhere.com/

 PEGAは紹介企業の中では最古参の位置付けで、設立当初はBPM(ビジネスプロセス管理)ソフトを手掛けていましたが、CRM・モバイルアプリケーション・テキストマイニング・RPAなど様々な技術を持つ企業を買収しながら成長し、それらを連携した総合的なRPAソリューションが同社の強みとなっています。
 そのため同社のRPA『Pega Robotic Automation』は、同社の統合プラットフォーム『Pega Infinity』の一部として提供されており、他社製品と違ってRPA単体で提供されているわけではないと思われます。

 同社の業績は非常に安定的な成長を見せており、AmazonのAWSをベースにした『Pega Cloud』の収益はYoY+56%と急成長しています。

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 株価についても上場以来きれいな右肩上がりで、2020年のコロナショック前の新高値も回復して急成長しています。
 2018年以降は投資を拡大しており、営業利益はマイナスとなっています。

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4-6. NICE

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企業名:NICE Ltd.
設立年:1986年
本拠地:イスラエル ラーナナ
CEO:Barak Eilam
社員数:約6800名
株式公開:1996年
ティッカー:NASDAQ: NICE、TLV: NICE(テルアビブ証券取引所)
売上高:$1.57B(2019年)
評価額:$14.0B(2020年)
顧客数:25000社以上
Webサイト:https://www.automationanywhere.com/

 NICEはコンタクトセンター業務向けのソリューションを中心に発展してきた企業で、2009年にRPA業界に参入しました。
 同社のRPA『NICE Advanced Process Automation(NICE APA)』は複数の製品を統合したシステムとなっており、以下の3つのソフトウェアから構成されます。
・半自動ロボット実行クライアント『『NICE Desktop Automation』
・ロボット実行クライアント+サーバ『NICE Robotic Automation』

・業務プロセス可視化ツール『NICE Desktop Analytics』

 製品のイメージ映像はこちら。コールセンターのオペレータの業務を支援する目的で作成されたRPAですが、顧客と直接接するようなフロントオフィス系の業務の効率化にも強みを発揮します。

 またNICE RPAの特徴として、世界初となるバーチャルアテンダントの「NEVA(ネーバ)」を採用している点です。NEVAはオペレータに代わって決められたタスクを正確にこなす他、顧客との通話・チャット中に内容を認知し、必要な情報をオペレータに提示することで顧客とのコミュニケーションを円滑化することが可能です。
 以下はNEVAのデモ動画です。ここまで上手く機能するかは不明ですが…

 その他、NICEは『航空管制事業』『金融犯罪防止事業』なども所有していますが、それらに関しましては以下のokeydonさんのブログで詳しく解説されておりますので、ご参考ください。

 直近の2020Q3決算は、売上高YoY+6.7%, EPS YoY+8.4%と地味ですが堅調な成長を見せました。コンタクトセンター銘柄としてコロナ禍での特需を受けそうですが、成長率は昨年とさほど変わっていません。

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 ちなみに、決算については過去20回連続でアナリスト予想を上回っている超優等生企業です。

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4-8. その他のプレイヤー
・Microsoft(NASDAQ:MSFT)『Power Automate』
 ⇒MSが2019年に発表したRPAです。従来は他社製品と比べ機能的に見劣りしていましたが、2020年5月にRPAベンダーSoftmotive社を買収したことで機能が大幅に拡張され、注目を集めています。
・Infosys(NASDAQ:INFY)『Infosys Nia』
 ⇒インドのIT大手Infosysが提供する、AIに強みを持つRPAです。
・KOFAX『Kofax RPA』
 ⇒WEB操作に強みを持つRPAです。日本では『BizRobo』の名で知られています。
・NTT Data『WinActor』
 ⇒日本でシェアNo.1を誇るNTT系列のRPAです。

あとがき

 えー...今回も1万文字を超えてしまいました...(;´Д`)
 ここまでお読みくださった方には感謝の念に堪えません。。。

 しかしRPAに関してはまだまだ語っても語り尽くせません。
 ・ハイパーオートメーションの動向
 ・各社の最新機能情報
 ・中国におけるRPAの展開

 語りたいのですが、長すぎるので一旦このあたりで。

 今回は個別銘柄は簡単な紹介に留めましたが、希望が多ければ個別の分析にもチャレンジしてみたいと思います($ACNも)
 みなさまのご意見・ご感想お待ちしております!

表紙画像:Vectorpouch - jp.freepik.com より

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