第14話 カピちゃん、輪廻の森の3つ目のルールを聞く。
「もちろん、人間たちはロボットをもっと大切にするべきだとワシも思うよ。ただ、学ぶことはそれだけではないんだよ。動物たちも困っているからね。困っている動物たちを助ける方法も考えないといけない。それに、動物だけではなく、人間たちも困っている者は多いからね。困っている人間たちを助ける方法も考えないといけないんだよ。」
と、銀色の鳥は困った表情をしてロボ君に言いました。
(そして、困っている銀色の鳥を助ける方法も考えないといけない・・・)と、カピちゃんは銀色の鳥の困った表情を見ながら、心の中で呟きました。
「人間たちの問題は人間たちで解決すればいいし、動物たちの問題は動物たちで解決すればいいじゃないですか?僕はロボットとして、ロボットの問題を解決したいと考えているんですよ!それに、この森にはロボットは僕だけしかいないじゃないですか?・・・もっとたくさんのロボットをこの森に呼んで下さいよ。そしたら、こんなに心細くないのに・・・」
と、ロボ君はなんだか泣きそうな声で言いました。
「ロボ君、残念ながらロボットで魂を持つ者は今のところまだ少ないんだ。これから増えていくかもしれないけれど、今のところはこの輪廻の森には、ロボットはロボ君1人だけになってしまうね・・・でも大丈夫!ここにいるカピバラのカピちゃんも、この輪廻の森に1匹だけのカピバラだからね。ロボ君もカピちゃんも、この森では非常に個性的にはなると思うけど、個性があるということは良いことなんだよ。個性があるということは、他とは違うアイデアが生まれやすいということだからね。」
と、銀色の鳥は穏やかな声で言いました。
「そこにいるネズミの仲間と僕を一緒にしないで下さいよ。僕は人間以上の知能を持つと言われているロボットですよ。他の動物たちと一緒に学校へ行く必要なんてないんですよ。・・・そもそも猫みたいな野蛮な動物から教わることなんて何もないですよ!僕が以前、猫にどんな目に合わされたかご存じですか?机から落とされて、引っかかれて、噛みつかれたんですよ!」
と、ロボ君は言うと、昔の嫌な記憶を思い出したかのように少し身を震わせました。
「ロボ君、前も言ったように輪廻の森の猫先生は穏やかな良い方だよ。何回も生まれ変わりを繰り返していて、見聞も広い方なんだ。それに、輪廻の森にはそういったトラブルが起こらないように、ちゃんとルールを設定しているから大丈夫だよ。」
と、銀色の鳥は穏やかな声で言いました。
「ああ、例の罰金のルールですか。でも、そのルールはあまり当てになりませんよね。」
と、ロボ君は不満そうな顔で言いました。
「そんなことはない。今のところは、ちゃんと上手く機能しているルールだよ。ああ、カピちゃんにはまだ説明できてなかったね。輪廻の森にはいくつかルールがあって、その1つ目のルールがまず学校に行くこと。学校で人間に生まれ変わったらどう生きるべきかを学んでもらうためだね。2つ目のルールは仕事をすること。人間は仕事をすることでお金を手に入れて、そのお金で食べ物や寝床を手に入れているんだ。だから、その生活に慣れてもらうためだね。3つ目のルールが、罰金のルールなんだ。」
と、銀色の鳥はカピちゃんと方を向いて説明をしはじめました。
「罰金のルールですか?『罰金』って何のことですか?」
と、カピちゃんはロボ君と銀色の鳥の話にあまり付いていけず、困惑した顔で聞きました。
「『罰金』とはね、悪いことをした者からお金を取るルールのことなんだ。これは人間の社会でも行われているルールの1つで、輪廻の森でも取り入れることにしたんだよ。この輪廻の森では、学校に1日行くと銀色の木の実が1つもらえる。これが輪廻の森でお金の役割を果たすんだ。そして、仕事をした場合でも、銀色の木の実か、金色の木の実がいくつかもらえる。金色の木の実は、銀色の木の実の10個分の価値があるんだが、これは後で実物を見せて説明するね。」
と、銀色の鳥は言って一息をつきました。
「そして、銀色や金色の木の実をお金のように使って、輪廻の森では食べ物や面白い物を手に入れることができる、これは人間社会と同じような仕組みだね・・・ただし、その者が何か悪いことをすると、罰としてその銀色や金色の木の実を取り上げられてしまうんだ。今のところは、誰かを傷つけるような言葉を言ったら、銀色の木の実1個、誰かを傷付けるような行動をしたら、銀色の木の実3個を罰金として取り上げることにしているよ。そうすることで、悪いことをする者を減らすことができるんだ。」
と、銀色の鳥は自分の良いアイデアを披露できて満足、といった様子でにこやかにカピちゃんに言いました。
~第15話につづく~
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