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距離感の「変さ」

 目の力を抜いて水平線を眺めるように「変さ」に触れるCaptain_Tです。

「いちばん近いコンビニは?」
「この道をまっすぐ15分も行けば着くんじゃね」
 それって、近いのか遠いのか。歩くと結構あるけどクルマなら一瞬とか、移動手段によっても変わってくる。てか、ンなもん人によるでしょう。
 かように一筋縄ではいかない距離感の問題ですが、今日は《人と人との》それにフォーカスし、《距離感》の「変さ」およびその差をめぐって考えたこと/考えなかったこと、リアルに経験したこと/しなかったことについて。


心地よい距離感のいろいろ

 人と人が、コミュニケーションするに際して適切な距離は? コロナ前に本で読んだ話ですが、近接空間学という研究分野でボディバブルと呼ばれる、自分が快適に感じる領域≒距離感は_まあ人それぞれでしょうけど、ざっくり_文化圏ごとに異なり、例えば欧米人_てもいろいろですが、ざっくり_にとってある程度親密さを感じる距離であっても、中南米の人_の多く_からすれば他人行儀というのか何だかよそよそしく感じられたりするそう。

変さの対称性

 近接空間学のボキャブラリーではなく、今私がつくったキーワードです。
 自分にとっての《ある程度親密さも感じられる心地いい距離》を、相手は《他人行儀でよそよそしい距離》と感じている。というケースを想定すると。自分の感覚を基準に_主観的判断て、結局はそこでしょう?_判断すると、相手の《距離(の)感(覚)》は変であり。相手からすると、逆ににこっちの距離感こそ変なんであって。この当たり前を、当たり前に受け入れることができない場合、《変さ》は必然的に呪いの言葉となる。

他人を裁くこと≒無意識の排除行為

 私は、距離の概念をややこしいと感じる。物理的距離の話をしていたつもりなのに、突然そこに、心理的その他諸々の問題が混じってきたりするからだ。
 以下は、かつて私が、所属していた国際的フラタニティ団体の某地方支部で経験した騒動。

 あるとき私は、
「距離感の怪しいメンバーがいる」
という訴えを聞くことに_そういう立場にあったので_なった。訴えてきたのは、日本人の女性。彼女の言う《距離感の怪しい人》は中南米出身日本国在住の男性。二人とも二十代だった。距離感が怪しいだけではイマイチ何のこっちゃわからんので更に聞く。何でも、集まりがある度、(彼女一人を)クルマで送ってあげよう申し出るてか誘うんだそうで。ああよーあるヤツやね、と思った私は、件の男性メンバーと個人的に話す機会を持った。
「彼女、怖がってるみたいなんで止めたげて」
 相手は一瞬、何のこと? といったキョトンとした表情を見せたが・・・
「脈なさそやから、諦めた方がええんちゃう?」
と更に続けたところ、憤慨しはじめた。これはナンパや恋愛感情から出た行動じゃない、自分は何の下心もなく送ってあげようと言っただけなのに、そんなふうに思われるのは心外である。と、ややたどたどしい日本語で話す彼は、私には嘘をついているようには見えなかった。
 考えてみれば、彼の《距離感が怪しい》という女性メンバーの言い分自体、自分が幼少期から親しんできた文化を基準にしたものなんだから、決してフラットなものではない。とは言え、彼女は《近過ぎる距離感》を持つ男性から《自分の領域》に、一方的に踏み込まれ、現に身の危険を感じているのだから、悠長なことも言っておられず。果たして、私の言動は適切だったか。
 脈なさそやからうんぬんは余計なお世話としても、怖がってるから誘うの止めたげてというのは間違っていないと信じる。
 ところが、上層部にそんなもんじゃヌルいと判断した者があり。件の男性メンバーは、謹慎処分は大袈裟かも知れないが、厳しく回訓された上、一定期間_いや、無期限だったか。実質追い出されたカタチ_支部の集まりに出入りすることを禁じられてしまった。
 その判断はおかしい。と私は抗議したが、まったく取り合ってもらえなかった。ばかりか、
「お幸せですね」
などと日本的に《冷笑》されてしまい、正直とても不愉快だった。

 近接空間学的知見などを引きつつ、説得力ある提案ができなかったことが敗因っちゃ敗因かも知れないが、自分基準で一方的に断罪せずとも、何人かで情報を共有しつつ監視とか言いたないなゆるく見守り、再度誘いがはじまったら、えっ◯◯ちゃんだけ? オレも乗してえや! ぐらいのノリで茶々入れるだけで充分済む話ではあった。
 このように、洒落っ気の欠如つーか悪気なく《他者(性)》を排除してしまいがちな人が、例えばH∴G∴A∴などに対して過度に執着してしまう現象は、私には《他者(性)》に対する無意識裡の懺悔とも映ったり。

※《日本的冷笑マウント》の問題については、本題から少し逸れる為あえて突っ込まないが、またどこかのタイミングで触れるだろう。たぶん。





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