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文法以前(5)生理的に駄目なコトバ

 まだ、こんなこと言う人いるんだ!
 心情的に受け入れ難いという訳ではなく、昨今のコモンセンスに照らしてそれ流石にまずいっしょとかでもなく。何と言うか、もう、考える前に体感的に気色悪くて駄目というワードがある。私はそれを「食わず嫌い」にも似た先入観の仕業であり、良くない傾向と思っていた。けど考えてみれば、私は、他者が発話したそれらの語彙を「言語」として受信、曲がりなりにも「意味」に変換できているのだから、ちゃんと食べていることになるのであり「食わず嫌い」には当たらない。従って、そんなところでトレランスポーズをとる必要はないと判断。最近改めて耳にした3つのコトバについて。

[ベッピン]:臭い!

 辞書を引くと画数の多い漢字が出てくるが、「別品」という表記も流通している。長らく男性が女性を物として見てきたこの国の歴史がうんぬん、と、このコトバに限っては、ある程度ロジカルに説明できそうな気もしつつ。
 このコトバに感じる嫌悪感は、体感的に「不衛生」な印象。何日も洗ってない野球のユニフォームのニオイを、強制的にかがされたような。

[ちょっぴり]:恥ずかしい!

 いわゆる「ジェンダー語」に分類されるのかどうかは微妙な気がするが、どちらかと言えばフィメール表現か。オジサンが使うと更に気色悪さが増大するようだ。
 このコトバに対する体感的気色悪さは、強烈な「恥ずかしい!」に似た反応。汚くはないが、ひたすら恥ずかしく。そのようなコトバを使う人と同席しているのを見られるのも何かアレやし、同類認定されるのも……ねえ。
 

[正直ベース]:悲しい!


 具体的数字を引きつつ、高圧的に屈服させよう/マウントを取ろうとする人に対して、
「それ、何ベースの数字ですか」
と返していたことを思い出す。相手の反応は、言葉に詰まって歯切れが悪くなる、ブチ切れる、など様々だったが。
「正直ベース」の「ベース」は、上記「何ベース」の「ベース」だと思う。
 前世紀末の一時期、社会方言的流行語の一種として、主に会社員クラスタの間で使われていた記憶がある。「キックオフミーティング」の後で行われる「親睦会」の席などで耳にしたから、おそらくは「飲みニケーション」などの駄洒落ボキャブラリーとの親和性も高かったんだろう_最近では「ワーケーション」なんてのもありましたね_。「腹を割って」話しましょう、「ぶっちゃけ」言っちゃうと、ぐらいの感じか。いずれにせよ、オッサン社会の問題点を集約したようなワードだ。

 以上、先日突然鯖の塩焼きが食べたくなり、平日の昼間から開いている三宮高架下の居酒屋に駆け込んだ折、カウンターにいる私の背後のテーブル席から聞こえてきた言葉について、でした。

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