君津市坂畑の林道・古道 Part3 廃林道と川廻し編
Part1の最後に出てきたバリケードの奥へ行ってみようという回です。
いざ突入
人は通れるけどバイクが通れるかは微妙な幅。調べてみると地元の方はバイカーを歓迎していないそうで見つけ次第通報されるそうです。ここからの道は空薬莢がいくつか落ちているのを見つけたので、ハンターが通るための穴かもしれません。
「全面通行止」とあるあたり誰にも入ってほしくはない感じはしますが、「バイカーが入れないようにするしできれば誰も入ってほしくないけど徒歩で行く分には自己責任でね」というニュアンスを感じます。感じているだけですが。
相次いで現れる大規模の工事跡
入ってまず目につくのはしっかり造成しようとした痕跡です。川底へ降りていく傾斜は法面が補強されており、また路盤が崩れないように湧水を逃すと思われる排水施設もありました。
また谷筋へ流れる水も流れるままではなく、土砂が流出しないように補強されていることもわかります。
この水は植樹した杉を育てるための水源として期待されていたことも観察から推測できます。
謎の更地
谷筋に降っていくとやがて谷底の平地に出ます。谷底は千葉でよく見る谷津田のように段々が連なっています。
この整地は杉林を管理しやすいようにしていると理解しており、実際平地に並ぶ杉林というのはこれから何度も見るのですが、なぜか飛び飛びで杉が植樹されていないただの更地があります。
1号隧道
バリケードを超えてから最初の素掘りトンネル。出口付近にきれいに崩落している痕跡があります。通行止めにしている理由を早速理解してしまい震え上がりました。
※バリケード手前の素掘りトンネルとは別に〜号とつけています。
細くて不揃いな杉
杉の用途は主に建築ですが、1号隧道付近に植えられた杉は細い上に曲がったり二股に別れているものがあります。当然枝打ちなどされておらず、部材としての価値はなさそうです。
林道として整備されたはずのこの道でこのような杉が育っているのは違和感がありました。
2号隧道
1号隧道のすぐ近くにあります。なぜかトンネル入口に束ねた竹棒があるのが特徴的。植樹した杉を風雨や動物から守るネットに用いる棒かもしれませんが、これが役立つ機会はなかったようです。
出口付近は地面に細い溝が見られますが、泥と水が溜まっているので湧水に穿たれた跡のようです。
沢沿いに歩く
二つの素掘りトンネルを抜けるといよいよよくわからない空間に出ます。
段々になっている平地には荒地などによく生えている低木が茂っており、無駄に立派な水路が並走しています。この平地にはチカラシバという雑草が茂っています。他の雑草を押し除けてチカラシバだけが群生しているので、イネが育ちやすい環境、田んぼにする予定で造成したと思われます。
水路と平地は高低差がありますが、ポンプで水を吸い上げて谷津田を潤す農地は千葉県各地に見られます。ポンプ小屋のようなものは見られませんでしたが、ここもそう言う風景が広がる予定だったのかもしれません。
この辺からは谷の下流に向かって左側に造られた路盤は半分ぐらいが崩落しており、バイカーが通った道を頼りに降ることになります。
3号隧道
ここで探索用の靴が泥にはまってしまったのでテンションが下がりました。
壁面もしっとりしていることから、流水だけでなく山が蓄えた水もこの素掘りトンネルを潤しているようです。
ちなみに、1号と2号隧道もそうですが地理院地図にはトンネルとしての記載が一切ありません。
怒田の滝
このPartのクライマックスと言える川廻し。3号隧道を出てすぐに水の音がするのでわかりやすいです。
一般的に川廻しとは、河川を付け替えることで旧河川を枯らせて川底の平地を新田として開発するために造られるものです。が、このように林道開発に伴って造られる川廻しはもっぱら道路の造成で埋まった川を通すために造られます。前者の典型は濃溝の滝や開墾場の滝で、この怒田の滝は後者に該当します。
引き返す
滝を見てさあ降ろうといったところでこの切り通しが現れます。どう見てもぬかるんでおり、長靴を装備しないと痛い目を見そうです。
結局引き返したましたが、沢を歩く装備で川を下ったほうがいいかもしれません。
復路道中
参考
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行った日 : 2022/12/03
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