ゲームで学ぶ指揮官~初級 戦闘指揮編~

ここで記載する内容は、米軍教範ATP3-21-8とゲーム【Arma3】のCOOPで体験した内容を基に著者の独断と偏見です。

部隊の指揮官としての戦闘は、通常のライフルマンとは大きく異なる。
まず、戦闘が発生したら、以下の4つの行動を取る。
 1. 味方を見る。
 2. 連絡と報告。
 3. 状況の評価。
 4. 指揮を執る。

1.味方を見る

味方を見る事は、味方の戦闘力を評価する為の交戦時の指揮官における最初の重要な行動である。この時、必ず全ての味方が見える位置かつ味方の位置を確実に掌握する事。(戦闘における何よりも重要な要素は、味方の位置の把握である。友軍誤射を防ぐ為にも、指揮官は常に配下および他の友軍の位置を把握しておかなければならない。)
これは、味方を見る事で以下の3つの情報がわかるからである。
 a. 味方の生死。
 b. 味方の負傷状況。
 c. 味方の位置関係。
これにより指揮官は、上位の指揮官もしくは自身の部隊の戦闘力が現在どの程度有しているかわかる。

a. 味方の生死
味方を見る事で自身の配下の味方が生死がわかる。
また、この時味方の存在が見えない場合は、後述する連絡と報告の段階で必ずコミュニケーションを取る事。

b. 味方の負傷状況
味方を見る事で自身の配下の味方の負傷状況がわかる。
この時見た目ではわからない負傷状況があるので、必ず後述する連絡と報告の段階でコミュニケーションを取る事。

c. 味方の位置関係
味方を見る事で自身の配下の味方の隊形および現在の地形の位置関係、敵との位置関係がわかる。
これは、後述する連絡と報告の段階で判明した敵の詳細な位置と状況の評価をする上で必要な要素である。

2.連絡と報告

連絡と報告をする事で、後述する状況の評価と上位の指揮官もしくは自身が必要とする情報の供給ができ、部隊の情報共有が可能となる。
指揮官は常に配下の味方に判明していない情報、もしくは最新の情報の共有を求め、上位の指揮官の状況判断もしくは自身の状況判断の材料にする事。通常、主に以下の7つの事項を考慮する。
a. 敵の方向。
b. 敵の距離。
c. 敵の詳細。
d. 敵の行動および状態。
e. 味方の負傷状況。
f. 我の位置。
g. 我の対応の可否。

a. 敵の方向
敵の方向を解明する事で、脅威がどの方向にあり、またはどの方向が安全であるかわかり、状況判断の材料になる。

b. 敵の距離
敵の距離を解明する事で、脅威への対応方法、対応時間の有無がわかり、状況判断の材料になる。

c. 敵の詳細
敵の詳細を解明する事で、脅威の種類と対応方法、能力がわかり、状況判断の材料になる。

d. 敵の行動および状態
敵の行動と状態を解明する事で、脅威の可能行動の推測、位置、負傷状況がわかり、状況判断の材料になる。

e. 味方の負傷状況
味方の負傷状況を解明する事で、自身の配下の味方部隊の戦闘力がわかり、状況判断の材料になる。

f.我の位置
味方の位置情報を解明する事で、脅威との位置関係での有利不利がわかる、敵に対して有利にする行動方針がわかり、状況判断の材料になる。

g.我の対応の可否
味方の対応の可否を解明する事で、現在脅威へ対象可能かの可否、どうすれば対応可能になるかの状況判断の材料になる。

3.状況の評価

評価とは常に敵に対して有利であるかどうかの判断であり、目まぐるしく変化する状況に対してアンテナを張り続ける行為である。交戦中の指揮官は常に情報を最新にする必要があり、常に状況の評価をする必要がある。
評価の考慮事項は、通常以下の8つの通りである。
a. 敵の規模
b. 敵の位置、種類、活動、方位
c. 障害物や地形の影響
d. 敵の能力
e. 敵の意図
f. 敵に対して位置的な優位性を得る方法
g. 友軍の状況(位置、戦力、能力)
h. 指揮官が選択する意図を達成する為に必要な事

4.指揮を執る

上位の指揮官もしくは自身が、以上の考慮事項から状況を評価し、部隊の行動方針を決定したら、指揮官は常に配下の味方へ最上位の指揮官の意図を命じ、意図を達成すべく行動する。
通常の交戦における、部隊の行動方針は以下の14つの通りである。
a. 直接照準射撃
b. 突破
c. 迂回
d. 制圧
e. 統制
f. 対偵察行動
g. 離脱
h. 撤退
i. 追従と想定
j. 追従と支援
k. 占領
l. 保持
m. 確保
n. 支援射撃

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