「新人作家杉浦李奈の推論Ⅲ」松岡圭祐著

すっかり著者の術中にはめられてしまった！ いつものことだが、みごとな推理小説だ。

無人島、汐先島が舞台だ。

すい星のごとく現れた人気小説か櫻木沙友里の写真集撮影と次の新人発掘の舞台として設定された汐先島でのイベント。

小説家と編集者との関係がせきららに語られていく。アガサクリスティからの引用などの小説を彩る状況や小道具が読者の興味を引き、リアリティを高めている。

小説の流れに沿って、このまま終わるのかな？ そんなことは無いだろう。松岡圭祐氏のことだからどこかで転調されるはずと思う。だけど、どうやって展開するのか？ と考えてみるが、何も浮かばない。

後半部分での展開は見事としか言いようがない。ネタバレになりそうだが、二段階だ。なるほど、そういうことか！と納得。

「新人作家・杉浦李奈の推論」シリーズの登場人物、杉浦李奈、那覇優佳、そして櫻木沙友里と魅力的な女性作家がそろった。

松岡圭祐氏の描く女性は現実にいそうなほどリアルで魅力的だ。これからの杉浦李奈の活躍が楽しみだ。