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はじめての苔🔰

学校から帰る途中のことだ。普段なら気にも留めないものに、僕はひどく魅了されてしまった。暗い石の塀にびっしりと引っ付いた"苔"である。森のように深い緑色をしたもの、紅葉したもみじのように赤色をしたものなど、たくさんの種類の苔があった。僕にはその全てが宝石のように見えたのだ。僕はカバンをおろし自転車を置き、苔のもとへ駆け寄った。一目では見きれないほどの苔がある。僕は手始めに、それらをよく観察してみることにした。

苔の観察



苔を観察してみると、意外なことに気がついた。遠目で見ると緑の塊にしか見えない苔だが、近くで見るとしっかり1本1本が独立した植物になっているのだ。(当たり前のことだが、僕はとても驚いた)
一個一個丁寧に観察していると、スギのような形をした苔を見つけた。これがスギゴケなのか、と納得した。(合っているかはわからない) とにかくミニチュアのスギみたいで可愛かった。他にも色々な形の苔があり、僕はそこでずっと愛でていた。しばらくして僕は思う。
家で育てたい、と。

苔を持ち帰ろう

ハサミと袋を取り出した。苔の根元にハサミを当て、特に色の鮮やかな部分を切り取ってみる。取れた苔の切れ端を手に乗せてみた。
こんもりしていて可愛い。
それから他の種類の苔も切り取った。苔を切る感覚は布を裁断する感覚に似ていた。できるだけ生態系を破壊しないように慎重に持ち帰ろう。僕はある程度取り終わると、また自転車にまたがり、意気揚々として家に帰った。

植える

家にあった一番綺麗で大きな植木鉢を取り出した。家には母が失敗した園芸グッズがたくさん置かれているから、鉢を用意するぐらいお茶の子さいさいなのだ。そして考える。植木鉢には何の土を入れればいいのだろうか。
僕は畑の土を入れた。少し水で濡らし、固める。その上に今日ゲットした苔を乗せていった。土はもこもこと膨れ上がる。この凹凸が、遠くからみた山肌みたいで可愛かった。苔だけでは寂しいので、近くにあった植物も挿してみた。何となく華やかでしゃれた雰囲気になった。

そして全て乗せ終わる

意外と盆栽っぽいんじゃないか!?
我ながら思った。初心者にしては結構綺麗にできた。だが、僕は苔の知識がほとんどない。当然育て方もわからないのだ。もしかしたらあっという間に枯れてしまうかもしれない、と不安になる。とりあえず、じめじめさせておけば育っていくだろう。コンクリートの壁でも繁殖してしまう苔の生命力は強いはずだ。僕はそんなことを期待して裏庭にそっと植木鉢を置いた。

遠くからみた山肌にそっくり

写真はその苔です。
変化があれば、また近況報告します。
苔ってどんな風に成長するんだろう、ワクワクですね


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