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IMJものがたり4 村上亮とソニースタイル

 社長就任前にIMJが手掛けていたプロジェクトが、クリックス&モルタルの成功事例と言われたツタヤ オンライン。日本人10人に1人が会員と言われた1100万人の会員に半額クーポンが送信されるなど、エンタメポータルサイトの先駆けとなり、通産大臣賞も受賞していた。

 ところが、ところが、である。

 気前の良いIMJは、プロジェクト納品と一緒にそのプロジェクトに携わった優秀な役員や社員もツタヤに納品していたのだ(笑)。        正確に言うと「転籍」していたのだ。

 この時ばかりは、藤本前社長を恨んだ(笑)。

残るBIGクライアントは、vaioが大ヒットしていたソニー。        そのソニーのEコマースサイト「ソニースタイル」の企画運用がIMJの売上の約半分を占めていて、ソニーに見切られたら倒産覚悟という一本足打法状態だった。

 このプロジェクトチームの責任者が副社長の故・村上亮さん。それにスーパーディレクターの中浜さんや、いい味出していた加々良プロマネ、ウェブデザイナーの清水マメなどエース級が集結していた。

 ところが、村上さんがソニーのプロジェクトを持って独立するとか、チームごとソニーに転籍するという噂が耳に入る。まずは村上副社長としっかりタッグを組まねば。そんな気持ちで彼と飲みにいくと、「心配しないでください。僕がしっかり樫野さんを支えますから」と嬉しい言葉をもらい、ホッとしたのを覚えている。

 ほぼ生え抜きで実績充分の村上さんは社内の人気も高く、社員間では「樫野派or村上派」みたいな会話もあったり、不仲説が流れたこともあった。が、私は彼を好きだったし、実は彼を次期社長にするべく育成計画も進めていた。主力事業を担当してもらったあとは、新規事業を任せ、子会社社長も経験してもらい、海外進出も着手してもらった。 

残念ながら、結果はそうならなかったが、その話はまた追々することに。

 ソニーの方々には、本当にお世話になったし、数々のことを教えていただいた。当時の出井CEOと軽井沢でゴルフをご一緒し、デジタルの未来をお話いただいたのも良い思い出。その後も現・吉田CEOや十時CFOに何度もお知恵をいただいた。

 その中でも、当時のソニースタイル佐藤社長からIMJのクオリティ指針となる言葉をもらった。                        「IMJの皆さんの品質に対するこだわりは素晴らしい。我々クライアントがOKを出しているのに、これじゃまだダメですと言って、やり直してくるんですから」。

 このメッセージをIMJのクオリティを語るエピソードとして何度となく社員に語り、後に制作するIMJの聖書のつもりで作った「マインドマップ」にも掲載した。

そしてそれが、「サプライズを提供する」「クライアントの喜びを自分のモチベーションに変える」というクレドに昇華していったのである。  



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