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IMJ ものがたり35 泣きっ面にハチ


 急成長の影に、どこかに油断があったのか、
 小さな歪みが少しずつ大きくなったのか、
 IMJに試練が訪れる。

 最初のつまずきはシステム開発のトラブル。
 納期が遅れ気味になり、なんとかしようと他のプロジェクトから人を送り込むが正常化しない。システム改修に入ったメンバーは「これは悪魔のループに入っています」と先が見えない不安感を口にする。

 さらに、助っ人を送り出してくれたプロジェクトの方も、人手不足で火を吹き出す。

 「いますぐ社長を連れてきなさい!」と顧客から直接呼び出しの電話がかかってくる。

企業責任として、プロジェクトからの撤退はありえない。
赤字を出してでも、やり遂げる必要がある。
顧客からは損害賠償の話が持ちが上がる。

社員の心身の状態も心配しながら、
プロジェクトの出口を探す。
どう考えても、億単位の損失は免そうも無いと腹をくくる。

悪いことは続く。
様々なシワ寄せで、社員の残業時間が膨らみ、深夜残業が増えていた時、
労働基準監督署が抜き打ち検査に来た。

「全従業員のタイムカードの調査と、裁量労働制の社員についても『みなし労働時間』以上の残業がないかどうか再チェックする」
その結果、過去数年分の超過分を積算して支払うよう勧告が出された。

 これも、「みなし労働」という線引きの緩さに甘えた自分の経営ミス。
下手な小細工をせず、この機会に企業の体質改善をしようと決めた。
今でいう「働き方改革」をやろうと心に決めたのだ。

 当時のIMJは、フレックスタイム制を導入していたので、出社時間はバラバラ。11時頃に出社する者もいれば、午後から出社するものもいる。
 仕事への責任感はみんな強いので、終業時間が後ろにズレ、22時、23時は当たり前の感覚。これでは健康にも悪いし、プレイベートもない。

この習慣を変えなければならない。
最低朝10時には仕事を始め、深夜残業になる22時には完全撤収するよう、定例会は朝10時に始め、会議も45分以内に短縮。
私は毎夜各フロアを周り、「もう終わって帰宅するように」と追い出しオヤジをした。

 企業体質を改善する良いキッカケにはなったが、その代償は追加残業代の支払い総額は1億円を超えて、当期業績をさらに直撃した。


そして、ダメ押しで起きたのがインサイダー事件。
株式5分割で急騰したIMJ株に絡むニュースがNHKで報道された。

容疑をかけられたのは、監査役のSさん。
「まさか、Sさんに限って」という寝耳に水の報道。

証券取引等監視委員会が会社に押しかけ、関係書類を没収し、
毎日のように取り調べをされた。

知っている事は全て包み隠さず話し、その調書を確認する。言ったことと違うニュアンスで書かれている文章も多々あり、それを何度も訂正する。

取り調べをされるって、こんなに精神的にキツイものなのか。
確認文書を認めて、早く終わりたい気持ちが頭をもたげてくるが、人の人生がかかっているし、企業の信用問題でもある。
細かなニュアンスまで丁寧に修正して対応しなければならない。

社員もこの事件がどう決着するのか見えない中、取り調べが続いているので社内は不安いっぱい。
もちろん、株価は急落。

結局、S監査役はインサイダー取引によって約900万円の利益を得たということで起訴されたが、S監査役の経済事情を考えると、どうしてそんな事をしたのか、いまだに私は不思議である。


このように、2006年終盤から2007年は、私にとって忘れることができない痛い一年となった。

が、IMJを次のステージにあげるために必要な成長痛なのかもしれないと前向きに捉え直し、「今までの延長線上ではない経営の仕組みを構築する」ために動き始めた。


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リクルート、福岡ドーム、メディアファクトリーを経て、映画プロデューサー、ベンチャー経営者、政治家、作家に。

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IMJの社長に就任したのが21年前、退任したのも11年前になるので、その記憶がまだあるうちに、その時考えていたことをまとめておこうと思う。 元メンバーにとっては懐かしい思い出話、現役組には社史の一コマ、ベンチャー企業家にとっては少しは経営のヒントになることがあるかもしれない。

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