28、中内さんの威光を借りる
中内CEOの次男 中内正さんとすっかり仲良くなり、
ある程度仕事上の信任も受け始めた頃、周囲からの見られ方が変わってきた。
―樫野に話すと中内さんにつながるー
―中内さんに近づくために、まず樫野と仲良くなるー
そんなことを明言していたわけではないが、
何となくそんな空気を勝手に感じてくれていたのである。
(これは、僕に限ったことではなく、当然上司の東さんや二階堂さんも同じかそれ以上のムードを醸し出していた 笑)
この「空気」を使わない手はない。
まだ30歳そこそこのサラリーマンだった僕が、
「会いたい」と思う人とほとんど会えるようになったのだ。
福岡ドームでコンサートをするために芸能界の大物と。
プロ野球チャリティオールスターゲームを企画するためにコミッショナーと。
WBCのような世界大会開催のため、MLB球団のオーナーや選手会長、
更にはその放映権を獲得しようとするテレビ局のキーマンと。
日本プロ野球界の盟主と言われた球団オーナーと
有楽町の怪しげな割烹で密談をさせてもらったこともある。
また、台湾プロ野球連盟の接待でオーナーに気に入られ、
危うくそのお嬢様と婚約させられそうになったこともあった(笑)。
そしてこの時、ディレクTVを事業化していたCCC増田宗昭社長とも
出会い、その5年後に増田宗昭さんが大株主だったIMJの社長を引き受けることになるのだから、縁とは不思議なものだ。
こうして僕の人脈は一気に拡大していくのだが、
大事にしていたことがある。
それは、中内正さんの期待を裏切らないこと。
平たく言うと、緩い話や危ない話は通さずに、
僕のスクリーニングをしっかりして、
責任を持ってオススメできる状態にしてから
初めて中内さんに相談や提案するようにしていた。
だから当時、増田宗昭さんが経営するディレクTVの「ホークス独占放映権」の提案を僕は断り、スカパーからの話を中内さんに通した。
どちらがこの先、衛星放送として有望かを見極めて行動したわけである。
スルーパスはしない。
自分が間に入る限りは、必ず「案件を仕上げて」上申する。
そして上申する限りは、通す確率を上げて
目利き力と信用を積み重ねていく。
これが中内正さんと一緒に仕事をさせてもらう日々の中で
習得していったスキルであり、財産である。
楽しんでもらえる、ちょっとした生きるヒントになる、新しいスタイルを試してみる、そんな記事をこれからも書いていきたいと思っています。景色を楽しみながら歩くサポーターだい募集です!よろしくお願いします!