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IMJものがたり5 リクルート遺伝子注入

 3000人の社員が毎日「もっと良いやり方はないか、さらに成果が上げるにはどうするか?」を考えて自ら行動している。そうすると、問題点が一年間で100万個改善していく」。

 リクルートの組織の凄さをそんなふうに先輩に教えられた。

加えて、フラットで誰でも気軽に話せる居心地の良さ、良い仕事をした人をみんなで賞賛し、仕事も遊びも一生懸命する文化、そんな企業にIMJをしたいと。

 ただし、当時のリクルートは営業系企業の色彩が強かったので、制作クリエイティブ系のIMJは、よりモノづくりにこだわった組織風土に少しアレンジしようと考えていた。

 その遺伝子を注入するために、リクルートらしい制度や仕組みは積極的に導入した。

社員総会のイベント化、運動会、新規事業コンテスト、リフレッシュ休暇、社内報にもしっかり労力とコストをかけた。

リクルートの同期・リンクアンドモチベーション社長の小笹くんが著書に「一番の報酬は意味報酬。しかもコストはそんなにかからない」と書いてあったが(彼はたくさん本を出しているので、どの本か忘れました:笑)、社員総会で表彰するMVPには賞金のほかに、グリーンジャケットを贈り、プレゼンテーターは自社制作の映画に出演した松下奈緒さんや鈴木あみさんなど、女優やアーティストにお願いするほど。

余談だが、目の前の女優に興奮し、軽い握手だけにしておけばよいものをハグまで求め、事務所からヒンシュクを買ったこともあったような・・・笑。

しかし、社風をつくるには、制度の導入や社長の言動だけでは実現しないし、時間がかかる。日常現場の中で、リクルート的会話や意思決定がなされ、日々みんなが体感していく必要がある。

 そのため、元リクルートを中途採用していった。廣田さん、渥美さん、堀口さん、鈴木憲ちゃん、玉飼さん、荒井さん、、、、。それぞれが主要ポジションを担い、組織の結節点としてリクルート的風土醸成の宣教師として活躍してくれた。

 IMJグループはM&Aも積極的に行い、グループ企業は23社まで拡大したが、各社の社長からは「グループ間の垣根が低く、なんでも相談できるし、協業もやりやすい」と言われていた。これはリクルート的遺伝子が浸透していた結果ではないかと思う。

 毎年、その年の成果報告と次年度戦略の共有のため、IMJグループ役員全員で(総勢100名くらい?)で熱海に合宿に行っていた。

 グループ企業のひとつ、モバイル&ゲームスタジオの綾小路社長が、まだガラケー時代に発表した経営戦略として「ケータイの1つのゲームが世界中からダウンロードされる時代がやってくる。1ダウンロード500円で世界から1億ダウンロードされれば、500億円の売り上げ。これを実現したい」と語っていた。その後、パズドラやモンストが似た形で成長するのを私は政治の世界から見ることになる。

 当時、映画制作同様、ゲーム事業を展開する際に、アナリストから「本業とシナジーがない」と散々言われたが、私は綾小路さんが見ている未来を信じていた。

そうそう、その役員合宿の名物として、やはりグループ企業のひとつ・ユニークメディア高藤社長の「ライオンの昼寝」という持ちネタがあった。一度見たら忘れられない面白さなのだが、ちょっと下品なので詳細は割愛したいと思う(笑)。



            


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