2022年公開映画・個人的ベスト10

年に一回だけの投稿。今年の新作映画ベスト10を書き残しておくことにします。

10位:マッドゴッド

特殊効果の神・フィルティペットさんの監督作、マッドゴッドが10位。
これはもうとにかく衝撃というか本当にずっと意味わかんない汚くてグロい地獄絵図を見せられ続けるっていうとんでもない映画。話はよくわからないし何を伝えたいのかわからないのだけど、とにかくとんでもないものを見たっていう印象。
話でもっと面白い映画はたくさんあったけど衝撃度というか印象の残り方が凄まじかあった。
出てくるクリーチャーがどれも醜悪だし、命がめちゃくちゃ軽く扱われるしとも思ったらなぜか2001年宇宙の旅みたいになるしで90分もない映画とは思えないくらい疲れる映画だった。
とにかく執念、作家性が漲りまくってたのには感動したし、やはり映画に大事なのは話の面白さよりも画面の面白さ、美しさだと思うので、今回のマッドゴッドは本当にそれのみで画面の迫力のみで戦っている映画なのでそれがとにかく素晴らしかった。グッズもたくさん買ったし、10位です。

9位:パラレル・マザーズ

今年遅ればせながら初めてペドロアルモドバル監督を知って初めて劇場で観た新作ということで9位
同じ日に生まれた赤ちゃんを取り違えるっていう少し前に是枝監督も同じような話をやっていたような気がするけど、なんか取り違えたことが判明した後のやり取りとかいくらでもドラマチックにできそうなところを全くドラマチックにせずに淡々と処理していたのが印象深かった。ヨーロッパの映画っぽさあるなと思った。
結構重い話なのに画面は結構カラフルなのも素敵だなと思ったし、スペインの内戦の話も絡ませて、大昔の先祖や未来も含めた血のつながりや家族の話になってたのは凄いなと思う。
普段あまりヨーロッパの映画を見ない(特にスペインの映画もあんまり見たことなかった)のでなんかそういう新鮮に感動できるポイントがたくさんあって、今後色んな映画をもっと見たいと思わせてくれたのでとても良かった。
でかいポスターが買えたのも嬉しかった。

8位:トップガン マーヴェリック

まぁ今年はトップガン マーヴェリックは入りますよねという感じ。
これは本当に素晴らしかった。みんなが見たいものを全力でやり切るエンターテイメント映画の絶対的に正しいあり方が見れた。
1作目の展開を完全になぞりつつも新しい話を見せる美しさ、かつ80年代の空気感をそのまま持ってくる清々しさ。あらゆる点で超一流だった。
変に現代的なテーマとか社会問題とかを絡ませなかったのは大正解だったなと思う。
キャラ全員に見せ場があって魅力的だったし、マーヴェリックとグースの息子のやり取りは最高だった。2人でF14に乗り込んだ時とかそんな展開あるかいと思いつつも結局感動してしまった。
あとは来るとは思ってたけど最後にあの少しライバル的な立ち位置だったやつが助けに来てくれたところとかも素晴らしかった。こうなるといいなを100%でやってくれるの最高すぎた。空中戦も凄すぎ。
トムクルーズも頑張りすぎ、結局最後お前が飛ぶんかいっていう。
ジェニファーコネリーも美しいし、とにかく素晴らしいエンターテイメント映画だった。

7位:スクリーム(2022)

これももう超最高すぎた。あんまり盛り上がってなかったし、ビデオスルーになるくらいだからそんなでもないのかなと思ってたけど全然そんなことなかった。
昨今のリメイク映画あるあるとか近年のメッセージ性高めのホラー映画をパロディすると共にホラー映画のパロディ映画だったこれまでのスクリームシリーズをパロディするっていう何重にも楽しめる、よく考えられてる素晴らしい作品だったし、本当に映画館で見たかった。。これ映画館でかからないの意味わからない。
良すぎてエンディングでウェスに捧ぐって出た時泣いた。
思えばウェスクレイヴンが監督してない初めてのスクリームなんだなと思った。劇中でウェスってキャラが出てきた時重要なキャラなのかと思ったらあっさり死んで、アレ?と思ってたら、まさかの映画の中で堂々とウェスを偲ぶパーティやり始めたのは笑ったし、感心した。
とにかく素晴らしい。殺し方も往年のスラッシャー映画らしい特殊メイクが多くて本当に素晴らしかった。あの人を殺しちゃったこと以外は全部完璧。
犯人役の女の子がワンスアポンアタイムインハリウッドに続いて今回も丸焼きにされてたのが一番笑った。
ザボーイズの人も出てたし、役者もとても良かった。
とにかく超楽しめた最高な続編だった。

6位:人生は二度とない

近くの映画館で謎にインド映画やってたので何の気なしに見たら普通にとてもいい映画だったので、期待値からの振り幅も含めてこの順位。
今年色々わけあってスペインという国に興味を持つようになってたんだけど、たまたまこれもスペイン旅行する話でタイムリーな感じがしてより良く感じた。
新作かと思ってたらもう全然新作ではなかったのはびっくりしたけど、まぁ今年見たので良いかなと。
結婚前のバチェラー旅行に行った男三人のロードムービー。結婚という人生の転換点を迎えたことで人生とって大切なものは何かを考えることになるんだけど、もうストレートに良い話だった。
正直この手のメッセージ性が前面に出てくるような作品はそこまで好きではないんだけど主演三人の人の良さというか魅力もあって普通に超楽しく見れた、嫌なことが起きないってのは良いことだなと思う。
それだけじゃなくて旅映画としてスペインの美しい風景がしっかり見れるのもすごく良かった。流石にトマト祭りの数日後に牛追い祭りをやってるってどんなシーズンなんだよとは思ったけど、スキューバダイビングのシーンとか映画館で見る価値のある作品だなと思った。
インド映画定番のダンスシーンもちゃんと楽しかったし良いところだらけ、とにかく役者が良かった。主演の男三人も女の子達もみんな魅力的で素晴らしかった。
素直に楽しく人生生きようと前向きになれる映画でとても良かった。

5位:リコリス・ピザ

これは夏ごろに見た作品で、大体このランキングその年の後半に見たものが上位に来がちだけど、この作品は印象深くてこの順位。
そもそもポールトーマスアンダーソン監督のブギーナイツが大好きだったので、今回のもとても期待してたけど、近年の監督の作品の中ではダントツで好みだった。
美男美女ってわけでもないどこにでもいるような2人の可愛い恋愛の話で、年の差を気にして素直になれずくっついたり離れたりする数年の様子を描いてて、超好きな部類の映画だった。
この何気ないエピソード群がどんどんと盛り込まれていく感じ、2人の関係性にどう絡んでいくのかよくわからないんだけどすごく興味深く楽しい話が続くのがとても良かった。そしてさすがの映画らしいカメラワークやショットがずっと続いて映画として美しい素晴らしい映画だった。
特に2人が駆け出すシーンが何回かあるんだけどそのシーンはどれも最高に美しく泣いてしまった。ラストも超ハッピーで終わるし本当に最高だった。
本当に脚本が上手いなと思う。衝撃のラストとか伏線の貼り方が云々よりもこういうストーリーが進んでるのか進んでないのかわからないけど話にどんどん深みを加えていって最後にそれが収束していく脚本こそ上手い脚本だなと思う。どういうふうに考えて作ってるのか知りたい。
とにかく可愛くて切なくてとっても愛らしい作品でした。

4位:X エックス

はいもうこれは超最高としか言えないというか超最高以外言うことがない
田舎のコテージにポルノ映画を撮りにきた男女数人がその土地を管理する老夫婦にどんどん殺されていくスラッシャー映画。
もうこれぞっというくらいちゃんと基本に則ったスラッシャー映画で、それをなんか裏笑いみたいな感じで作るんでなく正面からしっかり作ってるのがとても最高だった。もう素晴らしいしかない。
そもそもポルノ映画撮りにきた一団という設定からして最高すぎる。そして主演のミアゴスも可愛いし、何も言う事がない。
大抵新作のスラッシャー映画となるとなんか捻り加えてきたりとかしてて不満点があることが多いんだけど、今作はエロもグロもバッチリ、殺害シーンの特殊メイクも素晴らしくてとにかく見てる間中ずっと楽しかった。
話が云々とかじゃないから逆にこれくらいしか書く事ないけどとにかくスラッシャー映画好きからしたら大満足の映画だし、こういう映画を年に2本くらいはお金かけて真剣に作ってくれる世の中だと良いなと思った。

3位:ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス

この世で一番好きな映画死霊のはらわたを監督した大好きなサム・ライミ監督の最新作。もう久しぶりの監督作って時点で素晴らしいだけでなく、まさかのマーベル映画でサム・ライミらしさが出まくってたのがもう最高すぎた。
スパイダーマンNWHでやらかしたドクター・ストレンジさんがマルチバースを行き来できるアメリカチャベスと出会い、その少女を狙うワンダことスカーレットウィッチと対決することになるってのが大体の話だけど、今作もマーベル映画の御多分に洩れず、色んな小ネタ?コンテンツが入り乱れてる作品になってる。
正直最近のマーベル映画はあまりにもコンテンツ過多だし、色んな過去作品を網羅してないと楽しむことができないっていう作品ってのは映画としてどうなのかって思うところがあったんだけど、そんなこと関係無しにとにかく映画としての楽しさが詰まりまくってる今作は本当に素晴らしかった。
やはりサム・ライミが監督としてとても優秀というか、エンターテイメントとして何をどう見せれば楽しいかを知り尽くしてる感じで、ずっと楽しい映画だった。
何よりこれはサム・ライミ監督作のほぼ全てに共通することで俺が大好きなポイントでもあるんだけど監督自身の映画を撮るのが楽しくてしょうがないっていう気持ちが画面から伝わってくるのが本当に素晴らしい。
これはみんな言ってるけど死霊のはらわたオマージュ特にキャプテンスーパーマーケットっぽさが色んなところに詰まってて楽しかった。まさかのドクター・ストレンジの死体が蘇って戦うところとか最高すぎて泣いた。
最後もブルースキャンベルさんで締めたのもサム・ライミファンとしては満点だったし、とにかく最近のマーベル映画に対するモヤモヤを一気に晴らしてくれる最高な作品だった。
1位じゃない理由はワンダがただただ敵として扱われて最後死んだ?っぽかったのがあんまりじゃないかと思ったから、ワンダヴィジョン見てたからワンダに報われて欲しすぎた。
とはいえ本当素晴らしい、エンターテイメント映画として最高級の映画だった。

2位:NOPE ノープ

ゲットアウトもアスも超好きだったけどジョーダンピール監督最新作もとても素晴らしかった。
牧場に現れた未確認飛行物体と牧場を経営する馬の調教師一家との戦いを描いた話だけど、巨大すぎる地球外生命体を倒すのかと思いきや撮影するために命をかけるっていう、映画とか映像作品を撮る人たちの矜持みたいなものが詰まりまくってるアツい映画で本当に素晴らしかった。
特に後半空気人形が各所で立ち上がってから主人公が馬で走り出すところとかは映像的にも本当に美しくて思わずなんの涙かわからない涙を流してしまった。
カメラマンのおじいさんが一団に加わってからの展開はとにかく興奮しっぱなしだったし、あいつの狂った映像へのこだわりが映画に熱をもたらしてて素晴らしかった。
地球外生命体も本当に気持ち悪いというか、地球っぽさがない造形で何か厭な気持ち悪さのある悪魔的な見た目でとても良かった。クトゥルー神話感もあった。
主要キャラが生きて、最後もとても高まる展開で良かった。突然AKIRAのバイクぶっ込んできたのも謎だったけど笑った。
猿が暴れるのも馬の調教師なのも全て地球外生命体という人間で制御できない生きているものを作品として扱うことの危なさと人間の欺瞞、そしてそれをどう制御していくかっていう話に集約していくのもうまかった。
伏線が伏線然としすぎててあーこれあとでどっかで使うんだろうなと思うところもあったけどそれがあったとしても全然最高に楽しめて良かった。
印象深いの猿が撮影中に暴れて人を殺してる場面と地球外生命体をショーとして見せようとしてたら観客もろとも食われるシーン、どちらも楽しくなるはずだったのが一気に地獄に変わる感じが心に残った。特に猿の方は実際に似たような事件を題材にしててそれを改めて調べるくらい印象に残るシーンだった。
画面の奥の奥までとにかく美しく楽しい素晴らしいホラー映画でした。

1位:RRR

もう今年はダントツ!ダントツでRRRが1位!
もう全部最高。3時間ずっと楽しい。久しぶりに短期間で何度も見るくらい超ハマった最高の映画。エンターテイメント映画の頂点。
なんかここまでハマったのはマッドマックス怒りのデスロード以来ではないかと思うくらい。素晴らしすぎた。
バーフバリが素晴らしかったSSラージャマウリ監督なので、見る前からだいぶ期待してたけど余裕で超えてくる楽しさだった。
イギリスの植民地となっていた時代のインドでイギリスの将校に奪われた村の少女を取り返すために来たビームと警察になってはいるが実はイギリスを倒すための武器を得るために動いているラーマという身分を隠した2人が友情を結ぶけどって話なんだけど、色々ありすぎて簡単にはまとめられない!
とにかく見るしかない。途中で突然挟まれたナートゥダンスで度肝抜かれてもうその時点で今年の1位が決まった。
何度も言うけど全部が最高。最高な点を書き出したらキリがない。もう言語化ができない。
圧政も何もかも全て腕力で解決する感じがこの鬱屈とした時代に生きてる我々に明るい希望を見せてくれるし、それでいて最後にあんなにハッピーなエンディングを見せられたら泣くしかない。なんか未来には良いことがあるかもしれないって心の底から前向きな気持ちにさせてくれる本当に美しい良い映画。
エンディングのダンスシーンが好きすぎて何度YouTubeで見返したかわからない。早くBlu-ray出てほしいし、3時間2人の戦いを見てから迎えるあのダンスシーンが最高すぎて何回も映画館で味わいたくなっちゃう。
IMAXで見たら最高だったので、またIMAXでやってほしい。切実に。
世間的にも流行ってるみたいでこの前行こうとしたら満員だった。良いことだと思います。グッズもいっぱい買ったし。
今年はRRRがダントツ。本当に素晴らしい映画でした。


と、そんな感じで10作品でした。
それ以外だとフレンチディスパッチとかナイトメアアリーも好きだったし、今年の初めとかだとZAPPAとかも印象深い。スパイダーマンNWHはめちゃくちゃ興奮したけど、見終わったあと、これディズニーの思惑に乗っかりすぎというか、何本見ればこれを楽しめるのかなとかこちら都合で悪者正すのって良いことなのかなとか色々モヤモヤするところがあったので、ランキングには入れなかった。
今年公開じゃない映画だと6時間超えのDAU.退行とかようやく見れたフランケンフッカーとかが印象深い。
逆にワーストとして思いつくのは色々あるけど”それ”がいる森は酷すぎてもはや面白かった。映画館で見て良かったなと思った。
来年は2月くらいから一気にデミアンチャゼルのバビロンとかポールバーホーベンのベネデッタとかジョージミラーのアラビアンナイトもあるし、スピルバーグのフェイブルマンズもやるので、楽しみだななんて思ってます。
そんなところで、おわります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?