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あなたを絶対幸せにするから、髪の毛を切らせてくれませんか?

プロポーズみたいに誘われてから10年以上のお付き合いになる美容室が大好きな話。

20歳の晩秋、新宿で知り合いとの待ち合わせ先に向かっている時、「あの、すみません」とニット帽をかぶったお兄さんに声をかけられた。
時間に遅れそうで急いでいて、正直話しかけないでと思っていたのだけれど、私は道を聞きたくて立ち止まってしまった。

「あの、髪の毛を切りたくありませんか?」

その時の私は、今となっては大事な、当時は重大な失恋をしたばかりで髪の毛も伸ばしたままになっていて、確かに切りたくてたまらない髪だったかもしれない。

「あの、私、今すごく急いでいて、新宿文化センターってこっちで合ってます?」
「え?」

多分、全然違う質問で返されてびっくりしたと思うんだけど、お兄さんはわざわざ検索してくれて丁寧に教えてくれた。

「ありがとうございます、助かりました。で、なんでしたか?」
「うちの美容室で髪の毛を切りませんか?店長が切ります。確実にかわいくします。絶対に幸せにするから、髪の毛切らせてくれませんか?

もう本当に時間がギリギリで、
「わかりました、切ります、急いでるのでまた!」

と連絡先だけもらってその場を去りました。
新宿で出会ったけど表参道だったお店に後日予約。
それがUR  CASTLEでした。

今は筋トレ美容室って書いてあるのだけどw、当時はよりキャッスルの名に合ったお城感ある建物&内装で(今も勿論素敵ではある!)、自分と合うのかわからず初回はそこそこに緊張。するとあのニット帽でプロポーズ風の勧誘をしてきたお兄さんが現れて、さらにニット帽の店長が登場。
「クールか、キュートか」みたいなすごくシンプルな質問だけあって、カットやカラーの間に面白い人がたくさん通りすぎて(私が若くて衝撃を受け止めきれなかったのもあるけど、当時は今とはまた違った強烈さがあった)、あっという間に違う人になった。

もう写真とかないけど、バッサリカットして内側と外側にたっぷり金のハイライトが入って、自分で言うのもあれですがとても似合っていたのです。(最近派手な髪型にできないからさみしいな)

以降、ずっとここに通っていて、髪が切りたいから以上に、話がしたいから、自分を少し好きになれるから、明日またがんばろうって思えるから、しょんぼりしている時ほどここにいます。

ネット予約もできるけど、電話が好き。電話したところから始まる感じがして好き。いつもありがたき。これからも末長くよろしくお願いします。

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