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258 秘境の中にも町はあった 群馬・安中榛名駅

日本の鉄道のトップに君臨する新幹線。
そんな高規格の鉄道は人口の多い国家の大動脈と言える場所に敷かれるのが当然なわけなんですが、近年の新幹線は地方都市にも敷かれ、さらにその都市間の途中のなんでここに?といったところに駅がある。そんな事例を目にすることがあります。

今回、そんな駅のひとつ、安中榛名駅を訪ねました。

2019年の一日の乗客数は177人。東北や北海道にもっと乗降客の少ない駅はありますが、人の多い関東圏ではずば抜けて少ない数字です。

安中榛名駅は群馬県の西部、安中市にあります。北陸新幹線の高崎駅と軽井沢駅の間にあり、安中市の中心地である安中駅や磯部駅からは10kmも北の山の中にあるのです。

もともと、磯部駅などのある信越本線には特急あさまが一部停車していましたが、北陸新幹線が開業することで、在来線の特急は廃止。その代替駅として当駅が作られました。とはいえ安中駅には日に2本、磯部には3本しか止まってなかったんですがね。

そんな経緯で爆誕した安中榛名駅。降り立つと早速ホームの裏手は山です。

ホームを降りればすぐに改札。改札内にお土産店などがあるわけでもなく、極めてシンプルな作りです。多目的トイレ以外は和式でした。今は大概の駅は洋式に変わっているんですが…このあたりも利用客が少ないと更新されないようです。

こちらが安中榛名駅のダイヤ。一日12から14本の新幹線が止まります。新幹線駅でこの本数は少ない。ちなみに安中市より人口の少ない隣の軽井沢駅は26本止まります。

少し遠目から駅を眺めます。開業からすでに20年超が経ちますが駅の周りには何も建っていません。駅の向こうの山からうぐいすの鳴き声がします。

駅のすぐ近くには公園が整備されていますが、人がいません。野球とかサッカーとかし放題なんですがね。

ただ公園の向こうには団地があり、人も住んでいるようでした。JR東日本が日本初の新幹線駅直結型のニュータウンを整備して、それなりの販売実績があるようです。

駅前の道路をまっすぐ行くとぶつかるT字路にあるのが天空の丘。

この丘の向こうにはやはり団地がありました。
公園も数多くあり、すぐ近くには東京に直結する新幹線駅もある場所。緑も豊かでのんびりと暮らせそうです。

ただ、地元の安中市中心部に出るバスは日に何本しかなく、磯部駅に向かうもの以外は土休日運休。車がなくてはどこにも行けません。

バスもあまり当てにされていないようでわたしが乗ったこのバスも、新幹線駅から乗ったのはわたしだけでした。

それに周囲に店舗が皆無。かなり山を降りていかないとスーパーはありません。日々の生活には苦労しそうです。

広場には毛足の長い草が生え放題でした。誰もここで寛がないのかな…?

新幹線駅としてはあまりに淋しい安中榛名駅。ただ、全国渡り歩いているわたしから見ると、まだニュータウンもあって街が綺麗に整備されており、東京方面の新幹線には毎回数名の乗客がいて秘境感は薄い印象でした。

まあ、わたしが北海道の過疎駅の状況ををよく知っているからそれに比べれば、ということもあるんでしょうが…

新幹線駅ができてから大変貌を遂げた新横浜などもあります。今後安中市やその周りの街が、この駅を起点として大きな発展を遂げることができたら、安中榛名駅の成功と言えるのではないか、と思いました。

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