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262 水都大阪の渡船をはしごする旅②

前回に続き、大阪の市民の足である渡船を乗り歩いています。

今回は黄色と一番下の桃色、2つの船に乗船します。

③千本松渡船場(黄色)

西成区側の落合下渡船場から道を南に進んでいきます。廃棄物の処理場や鉄屑の再処理場などが多い印象です。向こうの方に円盤状の建造物が見えてきました。

これは西成区と大正区を結ぶ橋、千本松大橋のループ橋です。橋のかかる木津川は船が航行することから橋は一定の高さが求められます。限られた土地の中で高い場所まで車を走らせる必要があるため、ループ橋が設けられたのです。


千本松渡船場は、そのループ橋の真下にあります。

渡船場から車が渡る千本松大橋を見上げることができます。青空に映えていい眺めです。

ここでも先客がいます。橋が架かるずっと前から渡船は大阪市民の足として活躍しており、いまも頼りにされています。かつては天橋立と並ぶほどの美しい松原があり、千本松の地名もここからついたそうなのですが今ではその面影はありません。

船に乗り込みました。それでは出発。船からも千本松大橋を眺めることができるので楽しみましょう。

橋の真下を潜っていきます。
橋の下を潜りぬけたその先に大正区側の船着き場があります。

対岸まで2分ほどで到着しました。左の絵は明治時代の絵師、芳雪による「浪速百景」の一枚。かつて松原が広がっていた千本松で魚釣りをする人の姿が描かれており当時の様子を窺い知ることができます。

④木津川渡船(桃)

千本松渡船場から木津川渡船場までは徒歩25分ほど。いままでで一番離れており、平坦な道とはいえなかなかしんどいです。

船着き場のある大正区船町は全区画が工業地帯。ごらんのようなプラントが並ぶ場所で通る車はほぼトラック。歩いている人は皆無です。
そんな場所にある渡船なので、これまでご紹介した3つの渡船は日中15分ヘッドでの航行ですが、ここは45分おきになる時間帯があります。私が乗りたい10時半の船はもうすぐ。乗り遅れたら45分船は来ません。急げ。

ここもループ橋になっています。

隣にあるのが車が走る木津川大橋。その脇の通路を抜けた先に青い手すりの渡船場が見えます。

昭和30年に航行を始めたときは、車も乗せるカーフェリーが渡船として活躍していたそうです。橋が架かって以降は車両の輸送廃止、人と自転車だけの扱いになっています。

ちょうど船を出すために職員さんが出てきた頃でした。あぶないあぶない。

橋の下に船が。あんな小さな…?と思いましたが、

船着き場はこちらでした。すぐ出発の時間なのであわてて船に乗り込みます。

波しぶきを上げて船は木津川大橋に沿うように走ります。これまでで一番川幅の広い場所の航行でしたがそれでも2分ほどで到着します。

対岸の住之江区側の船着き場に到着しました。通勤時間帯は10分に1本航行しており、この辺りに住んで毎日対岸の工場に通う人の通勤手段となっているようです。橋にバスを走らせてもいいのでは?とも思いますが無料の交通手段ですからね。簡単に転換は図れないのでしょう。

最寄りのニュートラム「平林駅」まではまた15分ほど歩きます。ここまで来ると大阪メトロに乗り継いで都心に向かうことが可能になります。

お世辞にも交通が便利とは言えない地域の大切な交通手段として、大阪では渡船が今もその役割を十分に果たしているのだということを肌で感じることができました。観光地にあるわけではないのでふらっと乗ることは難しいですが、是非一度大阪の日常を体験しにいらしてみてはいかがでしょうか。


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