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#12 オランダ渡航前の事前学習【前編】

オランダを訪問するにあたって、事前学習。

この本から、
オランダがサーキュラーエコノミー(以下CE)先進国である理由
になりそうな部分をピックアップ。

1. 干拓事業を通じた国づくりが生み出した文化
2. 国民の生活を脅かす海面上昇
3. 質素さを積極的に生きる
4. 情報開示社会

前編(1) 後編(2~4) と2つに分ける。


1. 干拓事業を通じた国づくりが生み出した文化

オランダ的民主主義という独特の社会システムがある。
要素は大きく3つ。
①平等
②寛容
③コントロール



①平等

・ノン・ヒエラルキー(平等)が原則
・平等であり、相互責任
・合意のための議論
 ┗プラクティカルに合意して対処する。
 ┗水との闘いの歴史に起因している。
  - 堤防が1カ所でも機能しないと全体がダメージを受ける
  - 激しく自己主張し合うが、洪水が来るまでには合意形成できている必要がある
この平等文化と親和性が高いのが、Calvinism。

□ Calvinism(カルビニズム / カルバン主義)
カトリックには、
神の下にヒエラルキーが存在する。
【神 – 教区司祭 - ローマ教皇 – 信徒】
というふうに。
それに対して、カルバン主義である
プロテスタントにはヒエラルキーがなく、
神と信徒を仲介する存在はないとされている。

このノンヒエラルキー組織が、
平等を重視する社会システムに合っているのである。



②寛容性


□ 外発的背景: 貿易の中心
オランダは、ヨーロッパの中継貿易センターとして
世界中から人・文化・宗教が集まる多様な場所。

□ 内発的背景: ゼロ現地民
そもそも、低地を干拓して人が住むようになった場所なので、
「もともと住んでいた人」というのがいない。
だから排他的な風潮がない。

このような背景から必然的に高い寛容性が生まれたと
聞くと納得がいく。
そしてこの寛容性が、オランダを小国ながら活力のある国にした。

どういうことかというと、
オランダはヨーロッパで迫害された人の逃げ場となった。
その中にはハイスペックな人達もいる。
この人達がオランダで能力を発揮し、
活力のある国になるのに貢献したとのこと。

スピノザやアンネフランクなどの、
迫害されたユダヤ人などが有名な例。


③コントロール文化

オランダといえば、
「大麻を合法的に吸える国」
と思い浮かべる人は少なくないだろう。

カジュアルに大麻を吸えるコーヒーショップは、
人気の観光スポットでもある。

しかし実は、この国は
大麻を良いものとして推奨しているわけではない。

合法である理由を説明するキーワードは、
“コントロール文化” または “コンセンサス主義”。

コントロール文化も、
水との闘いの歴史によって形成された。
水を制御(コントロール)するために土地を制御する。
土地を制御するために社会を制御する。
社会を制御するために感情を制御する。
このようにして、水との闘いが制御(コントロール)文化を生み出したのである。

この文化におけるマインドは、
「問題をなくすことはできない。
 できるのは、コントロールすることによってその問題が引き起こす影響を最小化すること。
 できるのは、コントロールすることによってその問題と共生すること。」


ここまで読むと、
WWⅡ後に「計画的経済」を最初に導入した資本主義国が
オランダであったのも納得がいく。

寛容政策 / 黙認政策 / gedogen (ヘドーヘン) と称して、
麻薬・売春・安楽死などを認めているのも納得がいく。

完全に禁止して闇の中でこのようなことが蔓延るよりも、
見える範囲でやってくれたら取り締まりやすい。
コントロールして影響を最小限に抑えることができる。
という考え方。

このような問題は根絶できない、ということを前提に
対策しているのが非常に興味深い。

ちなみにこれを “実際主義” というらしい。
これに対し、アメリカのように、
問題が起こったらその部分を摘出し削除する
外科手術的手法を “原理主義” という。


2. 後編へ

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