見出し画像

運命の人―米津玄師『月を見ていた』MV公開ー

https://www.youtube.com/watch?v=1kUZ0LoUELI

米津玄師さんがファイナルファンタジー16のために書きおろした新曲『月を見ていた』。
このゲームのために滅私奉公的に作ったという曲について、ゲームについて門外漢の自分が何か言うのは頓珍漢になりそうで言い難かったんだけど、あまりに美しいMVだったので、どうしても自分の感じたことを書いておきたくなってしまった。

ああ、美しいものが観れたな、という気持ちでいっぱいである。
陳腐な言い方になってしまうけれど一編の映画のようなMVである。

神話の様な美しい世界
モノクロの戦争をする世界
中国の様な寺院と思しき世界

この三つの世界がかわるがわる映し出される。

最初に神話の世界の様な、ちょうど昨日金曜ロードショーで放映されていた『風の谷のナウシカ』の世界を彷彿とさせるような景色と服を身に着け若い男女が向かいあっている。男性は米津さん。女性の右手の甲には三日月の様な傷がある。二人は似合いの恋人同士の様に見えるが女性の方はいなくなってしまう。

モノクロの中、戦に向かう兵士達が映し出される。
その中で一人騎乗する米津さんは将軍か王か、責任のある立場の指揮官だろう。

世界は変わり、米津さんは沢山の僧にかしずかれた預言者か女性とも男性ともつかない何か神聖な存在となって、三日月の傷を持つ人を探している。
手で触って確かめているため、あの美しい目は盲ていると思われる。
その盲た目に炎が写り、モノクロの兵士の映像になる。
それは前世を思い出したのか、未来を予見したのかはわからない。
その後、盲た米津さんに天井から手が差し伸べられる。
三日月の傷のある手が。
その手の主は人間ではなく、何らかのあやかしと思われる。

兵士の米津さんは深手を負って、川の中州にある柳の木に辿り着く。
その木の根元には仲間の兵士が一人倒れており、その手には三日月の傷がある。その手に触れたあと、敵の兵士に囲まれ命を落とす。
その人がいるから、そこに向かったのか、死ぬ寸前に運命の人であることがわかったのかはわからない。

二人が死んだ次の場面には美しい姿の臨月の女性がいて、双子の胎児が映し出される。一人の手には三日月の傷。

生まれ変わったとして
思い出せなくたって
見つけてみせるだろう あなたの姿

『月を見ていた』

この歌詞の様に、何かの理由で結ばれなかった若い恋人同士が 王と兵士、
神聖な存在とあやかし、順番は分からないけれど時代や立場も変わっても、三日月の傷をたよりにめぐりあう物語で、最後は分かち難い双生児となって生まれてくる、 恋愛に限定しないソウルメイトを描いているのではないかしら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?