市川団十郎白猿襲名が延期されて残念記念 宮尾登美子『きのね』全解説 序文

 本当ならば令和2年5月3日から、海老蔵が団十郎白猿を襲名する予定でした。が、コロナ禍で延期となってしまいました。彼は大河ドラマ『麒麟がくる』のナレーションも担っているので、大河ドラマのクレジットの名前が変わるのも楽しみにしていたのですが……。

 で、この残念さをここにぶつけてみたいと思います。

 歌舞伎界を描いた小説に宮尾登美子の『きのね』があります。

 この小説、宮尾が「警察につかまってもいい。留置所にはいってもいい。」という覚悟で書いたと語っています。

 なぜ、警察につかまるなどと物騒な話になるかというと、主人公のモデルがあまりに、誰か分かりすぎて、名誉棄損で訴えられたら、確実に負けると言われていたからだそう。

 そのモデルになったというのが、現海老蔵の祖父にあたる11代目市川団十郎。

 海老蔵が産まれる前に11代目団十郎は亡くなっているので、は会ったことはないのですが、幼いころから祖父である11代目に似ていると言われ、今も楽屋には祖父の写真を持参するそうです。

 『きのね』歌舞伎の事を知らなくても十分楽しめる作品なのですが、作中に出てくる役者達のモデルとなったが誰に当たるのか(ちょっとずつ名前が変えてあるので、歌舞伎を知っていても、ん、誰のこと?となるので)、その子孫にあたる当代の役者の活躍も合わせてお伝えできたらと思います。

 

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