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私がピル3年生になるまで

※注 当記事は非医療関係者である筆者の主観に基づく「経験談」です。情報収集の際は信用できるソースの情報を併せて参考にしてください。


【はじめに】

ピルの話をしようと思います。

なんやねんピルって、という方向けに参考程度のwikiを貼っておきます。
(リンク先のタイトルがでかでかと「経口避妊薬」なので一応注意です)


 この話題は私がずっと書こうとしてきたことの1つでした。
私は大学受験が終わってから入学までの間に低用量ピル(これ以降「ピル」)を飲み始め、この前2年が経った人間です。

 生理や性暴力被害について声を上げる動きが高まる中で、この薬も少しずつ注目を浴びるようになっています。

注目を浴びる分、この薬が世間からどう思われているのかを嫌でも目にすることが増えました。

wikiのタイトルの通りこの薬は高い避妊効果を持つものなので、以前はセックスワーカーが飲む薬と揶揄されることもあり、人・世代によっては未だに抵抗を持たれる場合も少なくありません。

敢えて言葉にしておくと、
場合によってはピルを飲んでいると宣言をすること=「薬を飲んでまで避妊が必要なくらい性に奔放な人」という認識を持たれるというケースも全然あります。

私はこの偏見が心の底から嫌いです。
確かに平々凡々で、全然性の匂いがしないであろう私がピルを飲んでいると聞いて「らしくないね」と思う人も多少いるような気がしますが。

でも、飲んでいる薬で私生活に無駄な憶測を立てられたり、性との向き合い方に他人から首を突っ込まれたり、なんならセックスワーカーという職業が揶揄の対象になっていたりすることすら、あってはならないことなんですよ本来は。

もっと世代を問わずに多くの人が、
「相手の身体のことは他人がどうこう言っていい話題じゃない」
という認識を持ってほしいと心から願う日々です。

それでも最近、周囲でこの薬(にまつわる情報)を必要としている人が増えてきてることに気付きました。
この記事はそういう方へ書こうと思います。

これを読んだ方がピルについてどう思うかは本当に自由です。
この記事自体、ピルの服用を推奨しているわけでも非難しているわけでもありません。読んだ方の思ったままに内容を受け取って頂きたいです。

ただピルを飲んでいる人、飲もうとしている人に文句やいちゃもんをつけることだけは固くお断りします。そういう人は今すぐブラウザバック。戻るボタンを連打。電源キーを長押し。それでも嫌なのに見ちゃう文句言いたい~!という人はお湯を張ったバスタブに端末を投げ込んでください。今すぐに。

…投げ込んだかな?もうそういう人いなくなったかな?

 男性も女性もそうでない人も、ここに書かれている情報を必要とするいろんな人に読んでもらえたらなと思って頑張って書くよ!!!!!押忍!!!!!!!!


【そもそもピルってなに】

こういう医学的な話に関してはこんな一般人が話すことより正確な専門家の説明を聞いてください。これらの動画がひじょ~~におすすめです。

いや実際に飲んでるお前が話せよと思う方もいらっしゃるかもしれないんですが、市販薬の例に漏れず、ピルにも副作用の可能性があります。

病院に行って、飲んでも大丈夫、と診断されれば死ぬほど心配することはありませんが、万が一のことがあっても私は責任を取ることが出来ないので、必ず自分でいろんな情報を得て納得してから服用を始めてください。命の話なので。

 ここからは皆さんが動画やそのほかの情報を通してピルの効能などについて一通り理解した前提で、私がピルを服用しようと思い立ったところから、どうやって今に至ったかを時系列で書いていこうと思います。

【服用を決意】

私が低用量ピルのことを知ったのは、パートナーが出来て避妊というトピックが身近になったときでした。

石橋を叩き割って池に落ちてしまうような性格の持ち主なので、いつかそれがはっきりと自分事になったときにどういう策が講じられるのかを調べていて、検索にヒットした感じです。

生理についても腹痛と眠気(睡眠薬打たれたみたいに意思に反して眠ってしまう)が地味にしんどかったので、もしかしたら一石二鳥で飲んでみてもいいのかもしれないと思い始めました。

もちろん不安もかなりありました。人に言うべきか、副作用が出て死んだらどうしようか、そこまで避妊が頻繁に必要になるわけでも生理痛が酷いわけでもないし、やめといたほうがいいんじゃないか…

 でも最終的には、自分の中でいつか妊娠の不安が勝る日が来るだろうというのが私の結論でした。そうして前述の不安を一つ一つ解消しながら、服用を開始することを決意します。

【病院選び・周囲への相談】

どこで処方してくれるかはググるとすぐ出てくるので、自分がアクセスしやすい良さげな病院を探してください。
私はこのサイト↓とかを使って調べていました。

https://pillnavi.com/

個人的に病院選びの基準としてお勧めするのは

・ホームページ等で「ピル外来」などの専門性を掲げている
→ 先生がピルに理解がある場合が多いから(中には理解を示さないお医者さんもいる)

→2020/09/18 追記

(性教育プロデューサーの中島梨乃さんがこんな風に仰ってました!
確かに学割も一個の目安になると思います。)

自分にとって地理的、精神的にアクセスしやすい場所にある
→ 数か月おきに処方のため通院することになるので、楽に通えるに越したことはないです。

・未成年だと処方に保護者の同意が必要な場合があるので、それが厳しい場合は事前にそういった病院を避ける
→ 電話やメール窓口などで訊くと答えてもらえます。
都内でも保護者の事前了承なしでは絶対に処方しませんという病院から、同意?もちろん必要ありませんよそんなの、という感じの病院まで、ピンからキリという感じでした。

先生や看護師さんの態度、病院全体の規模や雰囲気、予約の必要の有無などを事前に口コミなどでリサーチするのもいいと思います。

ちなみに私はこれらをよく考慮できていなかったがために一回病院を変える羽目になりました!!!アーーーッハッハッハ


またその頃、私が同時に悩んでいたのは、親とパートナーへのカミングアウトについてです。

パートナーには迷いもありましたが割とすぐ相談をしました。いいんじゃない?という感じの返事をもらってほっとしたのを覚えています。

ちなみにここでパートナーがあなたの意向を汲まずに(←ここが大事)「じゃあコンドーム使わなくていいんだね」等の心無いことを言ってきた場合は今後のお付き合いをどうするか考えましょう!!!!!!!!私はすぐ別れることをお勧めします!!!!!!!!!!!

そして親について。これは全く他の人にはお勧めは出来ないけど、私は服用を開始してから半年ほど経つまで親に言うことが出来ませんでした。

パートナーとの関係を詮索されるかもしれないことも耐え難かったし、反ワクチンの主張をすることも多いので経験上反対をしてくるだろうと思っていたからです。私の中では親以上に情報収集を行って既に腹が決まっていたので、それを覆されること否定されることを恐れての行動でした。カミングアウトしたときは当然いろんな意味でショックを与えてしまって、後悔もしています。
でもこれは(特に成人済みなら、)お医者さんとうまく相談が出来ていれば場合によっては仕方のない選択かなとも思います。

ただ、親の扶養のもとに生活している場合は注意が必要です。
服用に伴って通院したり検査を行ったりするときに保険が適応された(保険証出して負担が3割になった)場合、その記録が扶養元の親への通知に記載されるので
「え?なんでこの子知らない病院(レディースクリニック/産婦人科など)に行ってるんだ?」
となる場合があります。
私がカミングアウトしたのも、初めて検査を受けるにあたって(検査については後述)初めて保険適応がされることになったのがきっかけでした。通知が行く前に自分から言おうと思ったんですね。

完全に隠し通したい場合は、自分が扶養から抜けてから服用を開始するか、

 これみたいに医療機関と繋がっているサービスでピルをもらいつつ、検査・検診で通院するときだけは適当な理由をつけて親に伝えておくのも手かもしれません。

最近初めてオンライン処方試したんですが、こういう「スマルナ」「CLINICS」などのサービスを通して処方を行うケースもあれば、病院が独自にホームページなどでサービスを行っているケースもあります。要リサーチ。

ちなみにピルの入手方法について私からもう1つ、どうしてもお伝えしておきたいことが。

ネットでピルについて調べていると上記のスマルナや病院のオンライン処方以外に、「個人輸入」「通販」というワードを掲げて格安でピルを購入できるサイトに辿り着くことがあります。

これは私の個人的な意見ですが、いくら値段は安くても決してお勧めしません。

以前からピルに限らず薬の個人輸入には警鐘が鳴らされていて、過去に事故も起こっています。

多少高くても、正規のルートで病院を介して購入する方が専門家のアドバイスを受けながら服用できる分、確実に安全です。

業者はあくまでビジネスの一環として薬を売っているだけで、副作用や重大な健康被害が出ても保証をしてくれるとは限らないし、

 トドメに、凄く怖い話をすると…

 

 

 

その薬が本当に「ピル」かどうかすら素人の我々にはわからないんですよ…


【初診】

 病院を決めたら日にちを決めていざ!
(私が最初に選んだ病院は予約が不要でしたが事前に要確認ですね)

 緊張しすぎて入口でスリッパを履き替えることに気付かず土足であがって怒られた所で、受付で
「低用量ピルの処方をしていただきたくて来ました」
と伝えました。

 すると事前の口コミに負けず劣らずのクールな看護師さんが結構な声量で
「避妊ですか?」
と訊いてきたので盛大にビビり散らかしました。身震いしたし全身から冷や汗が出てきた。ビビりすぎ。

(※婦人科系疾患の治療が主目的の場合と、避妊が主目的の場合では処方するピルの種類&保険が利くかどうかが変わるケースがあるため確認された)

 でもあとで問診票書いたらそこにも避妊か治療か選ぶ欄がしっかりあって「な゛ん゛で゛狭゛い゛待゛合゛室゛の゛中゛で゛口゛頭゛で゛訊゛い゛た゛ん゛だ゛よ゛」と思いました(こういういやなやつが重なってのちに病院替えた)(事前リサーチは大事)(今の病院は神)

 
問診票、および問診で確認されたのは、主に病歴や喫煙習慣・最終月経・親族の遺伝性疾患などなど…についてでした。
服用する上で副作用の起こるリスクが高いと判断される場合はここではじかれてしまいますが、逆に言えばここをクリアしたらゴーサインです。

(ちなみに性交経験の有無も訊かれますが基本的にこの質問にはどちらで答えても処方にストップがかかることはないと思います。私は率直に「無」に丸したけど特に何も追及されなかったし、経口避妊薬と言うくらいなのでその逆も然りでしょう。仮にストップかかったとしてもそれは安全のためのブレーキなので過剰に恐れる必要はないし、状況を正確に把握してもらうために質問には正直に答えよう。)

問診では追加で服用の方法について説明があり、この時自分の服用するピル(一口にピルと言ってもいろんな種類がある)の説明書をもらえました。これは結構今でも重宝しているので大事!

初診料(だいたい3000円前後?)
+ピル代(病院による、1か月分2000~3000円程度が相場?)


を払って、お薬もらったらミッションコンプリートです。

あとは指示された通りのタイミングで飲み始めるのみ。私が処方してもらったものは次の月経を待ってその初日から飲むという指示のピルでした。

【飲み始めたばかりのころの感想】

 ついに飲み始めるんだな…と意気込んだものの、実際手にしたピルはとにかく粒がちっちゃくて水なしで余裕で飲めるくらいのサイズなので
「ほんとにこんなんが効くのか…?」
というのが正直な気持ちでした。

そして実は、この頃の行動で私がすごく後悔していることがあるんです。

毎日決まった時間に飲む。これが低用量ピルの鉄則なんですが、当時の私はそれを甘く見ていて数時間ずれるのが当たり前みたいな感じの生活を数日送ってたんですよ(バカタレが)。

そしたらも~~~~皆さんの恐れる副作用とご対面。

生理が1か月弱もの間続きました。
というより、これは生理以外のケースで出血する、いわゆる不正出血でした。お腹痛かったし不安だった~~…二度とあんなもん経験したくないですね 

服用し始めて1か月目は、ホルモンバランスが乱れることで人により様々な副作用が出ることがあって、だいたい1、2か月経てば落ち着くらしいんですが(参考)、
この私の場合は正しい時間に服用してたら防げたんじゃないかなと思ってます(防げなかった可能性もあるけど必要以上に誘発してしまったのは間違いなさそう)。

というわけで、1か月目の感想としてはなんもいいことないじゃねえか!!!が正直な感想でした!(オブラートを知らない物言い)


【飲み慣れて感じた(デ)メリット】

そんな散々な思いをした1か月目でしたが、2か月目からは徐々にその恩恵に触れることになりました。

メリット一覧(個人の感想です)
・生理がいつ来るか正確に把握できる。しかもずらせる。

→ 運任せゲームからの解放。月経移動に関しては先生に相談すればやり方を教えてくれます。試験とか大事なイベントとか、この日は避けたい!という日程が事前にわかってれば少し前から計画すればなんと生理に「ちょっと待った」が出来る。革命。

・生理に付随する症状が楽になった(改善されなければ医師に相談可能)
→ 腹痛の軽減、生理前から終わるまでの間に訪れる異常な眠気や食欲との決別。理不尽に襲ってくる2/3大欲求がなくなるだけでこんなに楽だなんて…!と思ったし、逆に今まで当たり前だと思って我慢してたものには「治療」が効いたんだ…と新鮮に感じた。

・パートナーとお互いの身体の都合をよりフランクに話せるようになった
→ 通院についてきてもらったり、ピルの説明をしたりすることを通して「話しにくいトピック」そのものが減ったしお互いの体を具体的に気遣えるようになった気がします。これはマジで個人差だけど結構ありがたい。

・検診を受けることが当たり前になった
→ 私の現在通院しているところではピル服用に伴って「半年に1回の採血」と「1年に1回の子宮頸がん検診」が必須になるんですが、これがあるおかげで安心して服用できるし、20代の最初からこういう風に自分の健康状態を意識できるのってすごくいいことなんじゃないかと思ってます。
私は血縁者に罹患歴のある人がいるので上記の2つに加えて任意で「2、3年おきに1回の乳がん検診」も受けてるんですがやっぱり安心。


デメリット一覧(個人の感想です)
・今日だけは遅く起きる…があんまり出来なくなった
→ これは私が服用時間を朝の7時にしてるせいです。
起きてしばらくだと慌ただしくて忘れそう&夜にすると飲み忘れに気付くまでに時間がかかりそう(1回寝ちゃうと普通に数時間経っちゃうから)という理由で起床後すぐの時間なんですが、これだと何時に寝ても7時には1回起きなきゃいけないので時間を忘れて眠ることが休薬期間以外は不可能になりました。
しかし二度寝すればいい話だし休薬期間には寝放題なのでここまで文字数使うほどでかい話じゃないですね。

・お金がかかる
→ これが一番私にはでかいかもしれない。1か月に約2000円、検査や採血のある月はこれが2、3倍の額になるので金欠の月は本当に焦ります。このお金だけは死守しないといけないのが結構億劫です。
少し前、会計してていつもより高いなと思ったら消費増税しててブチ切れそうになりました。消費て。いや薬も消費対象だけどさ…頼むよ減税してくれよ…
本人がそれをすべて負担するのが厳しい場合はパートナーや親など、本人の身体を大切に思っている人と相談して、一部負担してもらうのも私は手だと思います。

・通院、採血、検診がめんどくてしんどいこともある
→ 先述の通りメリットでもありデメリット。
あ~今日ピルもらいにいかないとじゃん…と正直思うし、採血は痛いし、子宮頸がん検診は我慢できるギリギリのレベルで屈辱的かつちょっと痛いことがある(検診の内容はこんな感じ)。
でも自分のためだし、病院の人たち優しいし、全然諦めることが出来ています。
ただ採血すると失神しちゃう人とか、本当に検診が苦手な人もいるので、そういう場合は服用を諦める前に、先生に絶対相談しといた方がいいと思います。もしかしたら何か対処してもらえるかも。

【最後に】

ここまでなんと6500字以上!ここまで読んでくださった方本当にお疲れさまでした!
誰かに頼まれたわけでもなく無賃で書いてる私も偉い!お疲れ!サポート待ってます!!!!!!!

私の中のあらかたのピルに対する雑感や思い出が書けました。

学校でろくな性教育も受けられていない中で、ピルについて学ぼうとすることには本当に相当な労力が必要です。もし誰かのはじめの一歩を少しでも軽くするお手伝いが出来ていたら嬉しいな…

これを読んでくれた方全員がご自分の身体を大切にしてハッピーに生きられることを、心から願っています。

ちなみにアイキャッチの画像は実際に私が飲んでるピルです。ご覧の通り明日から休薬期間なのでいっぱい寝てやるぞ~!
おやすみなさい!

PS:あとがきに準ずる何か


スキすると鹿の子の無責任占いがついてきます