春の雨
土砂降りの朝の道
傘にあたる雨音も激しい
その手に伝う衝撃がふと止む
頭上を線路が走る高架下に入ったのだ
向こうから来た男子高校生
高架下を通過するわずかの隙に
傘を傾け溜まっている雨水を落とした
軽く振ってまた傘をさす
さりげない仕草
何を意味するでもない
雨足が強い時に
傘の上にも雨水が溜まっていること
傾けると雨水が落ちること
高架下の一瞬のひと心地に
傘をはらう今ここにある意識
雨の中を歩いた経験
2歳の、9歳の、15歳の
雨との付き合い
傘との付き合い
春の嵐の朝に
人間のでき方を見た
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