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ポケット詩

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#藤川みちる

色々なりたい

俳優になりたい 色んなひとになりたい 本や映画、漫画やアニメの中のひとになりたい 着ぐるみ…

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おもいびと

あなたがいるから わたしはひとりじゃいられなくて わたしはきょうも あなたのことをかんがえ…

0番の人

その人は燃えていた。見えない炎の洗礼を受けていた。癒えない傷を抱えて泣いていた。生まれた…

溺れている太陽

やさしい掌が額を包み込む ちくりと刺す痛み 傷は血を流す 涙を流しはじめる瞳 震える瞼は…

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神話

セーラームーンでは、あなたはまもちゃん、わたしはうさこ。ドグラ・マグラでは、あなたはお兄…

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飾られた言葉

机の上には書きかけの原稿があった。 「言葉とは文字通り、言語の葉っぱである。 ならば火を…

死という楽しみについて

死にたくなるのに明確な理由はない。ただ、何となく。窓から飛び降りたいとか、車の前に飛び出したいとか、遮断機が下りている踏切に入りたいとか、思う。それは好奇心に似ている。長いトンネルに薄っすらと射し込む光、それが死だ。光のないトンネルなら、歩くのはもっと大変だっただろう。トンネルの壁には美しい、幾何学的な紋様が描かれていて、それは動くのだけれど、触れるとそこから波紋が広がって、また新しい紋様を生み出していく。それが面白いから、もっと眺めていたいから、歩き続けている。死ぬ、という

楽園の花

目蓋の裏に太陽が張り付いている。罪人の印。遥かな記憶、遠い昔からやって来た、懐かしい風景…

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存在確認

なだらかな坂道を歩いている。作り物の町並み、カラクリ人形の人々。ショー・ウィンドウに僕の…

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逡巡、箱の前で。

連鎖する。 そんなことは知っているのです、 病はうつるものなのです。 こんなにあなたが好き…

愛は心臓を交換すること。わたしは祈るみたいに呪った。あなたの髪を一本包んで心を畳み、鶴を…

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ことばを砕いて砂にする。噛み締めれば味がするかな。うず高く積めばお城になるかな。閉じ込め…

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心臓

心臓を握られているから、逃げられないの。ちょっと困った顔をして笑った、きみが本当は困って…

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ひとり二役

鏡の中のわたしとにらめっこ。かくれんぼ。鬼ごっこ。わたしがいつも鬼。ニヤニヤ、笑っている。何がそんなにおかしいのってくらい、不幸を面白がっている。キリストをなぞろうとしているときでさえ、ゲラゲラ、嗤っている。そんなんじゃ死なないよ、本気で死ぬ気なんかないでしょう、って。わたしのつまみ食いは、芸能人の不倫。わたしの必死の告白は、元死刑囚の証言。わたしの相似をして世界は罪にまみれている。わたしは無原罪ゆえに許されている、裸の罪人。わたしがころげまわったことで世界はつくられた。わた