死という楽しみについて
死にたくなるのに明確な理由はない。ただ、何となく。窓から飛び降りたいとか、車の前に飛び出したいとか、遮断機が下りている踏切に入りたいとか、思う。それは好奇心に似ている。長いトンネルに薄っすらと射し込む光、それが死だ。光のないトンネルなら、歩くのはもっと大変だっただろう。トンネルの壁には美しい、幾何学的な紋様が描かれていて、それは動くのだけれど、触れるとそこから波紋が広がって、また新しい紋様を生み出していく。それが面白いから、もっと眺めていたいから、歩き続けている。死ぬ、という