ステージⅣが必ずしも末期がんではない話〜前立線がんの病期別死亡率〜
世界的にみても罹患率が多い前立腺がんに、現在日本人男性は9人に1人の確率で罹患すると言われています。それだけの人がかかるがんなのにも関わらず日本では現在推奨される検診はありません。
検診がないがんの場合は、病期(ステージ)が進んでから発見されることも少なくなく一般的な方のイメージですとステージⅢやステージⅣとお医者さんから告知されると頭が真っ白になると思います。
当然ステージが浅いタイミングよりは5年生存率は悪くなりますが、一部のがんにおいてはステージⅣでも高い生存率が認められる場合があります。その1つがこの前立腺がんです。
だからと言って前立腺がんで亡くならないわけではないので、油断をして欲しいという話ではなくて、前立腺がんのステージⅢやステージⅣと診断されたからと言ってただちに慌てないで済むようにするための情報です。
前立腺は、男性の膀胱の下に位置する臓器であり精液の一部に含まれる前立腺液を作っています。前立腺の細胞が異常増殖するのが前立腺がんです。
多くのがんと同様に早期では無症状で自覚症状がないとされています。しかし発生部位によっては前立腺肥大症を発症することがありその場合は尿がでにくいことや頻尿になるなどの症状が出ることがあります。
前立腺がんは2019年時点の統計データによると9.5万人と日本人男性では最も多いがんです。米国での罹患率も1位と先進国で多いがんの1つです。しかし前立腺がんの死亡率は人口10万人あたり21.3人とされており罹患人数に対して非常に生存率が高いことがわかります。
国立がん研究センターの情報によると、前立腺がんの5年相対生存率はステージⅠ〜ステージⅢで100%、ステージⅣでも63.4%だということがわかります。全体を平均しても98.4%と非常に生存率が高いことがわかります。(その他の病期を含めた生存率はそれぞれ少しづつ成績が悪いです。)
ここで重要なことは、ステージⅣでも63.4%の5年生存率があることです。ですから末期がんとは言えず状態次第ではしっかり生きるうえでの楽しみを考えることができます。
当然だからと言って前立腺がんになら罹患しても良いわけではなく、ならないに越したことはありません。しかし告知時に過剰なショックを受ける人が減る一助になればと思っています。
告知時のショックによるストレスはその後の治療に影響を与えることが報告されているため、難しいですがなるべく冷静でいれることががんと向き合う上で重要になります。
前立腺がんの増加は、PSA検診の受診率が向上したことで見つかるようになったこと、高齢化により罹患者が純粋に増えたことが挙げられます。特筆すべきは、欧米型の食生活化です。
欧米型の食生活では、牛脂、ラード、バターなどの飽和脂肪酸を多く含む食品、ヘム鉄の摂取量が増える赤身肉や加工肉が多くこれらが前立腺がん発症リスクをあげていることがわかっています。
現在のところ科学的エビデンスに基づく前立腺がんだけの予防法はありませんが、国立がん研究センターにより「日本人のためのがん予防法」は公開されています。
本記事にて重要なことは、ステージⅣと末期がんは異なるし、部位によればステージⅢやステージⅣでもQOLを保ちながら生活ができる可能性があることをお伝えしました。
私たちCancer FPは「告知される前のがん情報で、告知時の精神的ストレスを緩和する」をテーマに情報発信しています。
本日もありがとうございました。
Cancer FPのサイトは下記
【Cancer FP編集長】
川原拓人(AFP)
日本臨床腫瘍学会や日本放射線腫瘍学会に参画しており、「未病時に知るべきがんの知識を伝え、告知時のダメージを軽減する」をミッションにCancer FPを立ち上げる。
現役の医療従事者を中心としたライターと共に保険を通じて、がん罹患前の方に情報を届けています。
【資格】
2級ファイナンシャルプランニング技能士
プライベートバンキングコーディネーター
ガンファイナンスアドバイザー
【所属】
NPO法人日本FP協会 認定AFP
公益社団法人日本臨床腫瘍学会 準会員
公益社団法人日本放射線腫瘍学会 准会員
一般社団法人日本サイコオンコロジー学会 正会
【想い】
がん患者さんとお話しさせていただくと、もっと早く知りたかったと言うお声をよく耳にします。もっと早く知れる人を増やすそれだけで未来を変えられる方といると信じて活動していければと考えております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?