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海外ゲームのトレイラーが超かっこいい件と、日本のゲームがそこへ追いつけない理由

実は以前から音楽を作る仕事をちょっとやっていてですね、そのなかで体験してきたことと、いまYouTubeを運営してゲームの映像をたくさん見るようになって感じたことがつながってきたので、今日はその話を紹介したいと思います。

今日も周回だ

だいぶハードコアな話題になるかもしれませんが、

Steamに自作ゲームを出そう
トレイラーも作っちゃおうかな

っていうクリエイターの方も、最後まで読んでもらえるとうれしいです。

音楽を外注するとき 日本VS海外

SNSで見聞きした話や、自分の体験から言わせてもらうと、日本では音楽を別に作っておいて、それを映像と一緒に流すみたいな案件が多いです。

一方で海外は映像が先に出来上がっていて、そこへ作曲家が音楽をつけていきます。

例外もいくつかありますが、国産ゲームと海外ゲームのトレイラーを何本か見比べると、動画の構成や音のハマり方でだいぶ違いがあることに気づくと思います。

勘違いしてほしくないのが、日本の映像音楽がダメだというわけではないです。日本の音楽もハイクオリティです。でも「映像とハマってる感」ていうのは海外が圧倒的で、たぶんこれからも追い越すことはできない。

音楽が先か後か問題は、スケジュールや予算の都合というより、そういう習慣になってるからどうしようもない部分もあると思います。

日本の音楽制作の実態

日本の仕事でも打ち合わせはちゃんとします。当然です。ただ、その段階で映像が仕上がっていることは稀で、どういう音楽を作るかってのをメール、電話でやりとりすることが多かったです。

そうなると映像を確認しながら作業することはできないので、クリエイターとしてできることは、なるべく良い音楽を用意しておくことだけです。映像と合わせてどうなるかは知らないけど、クライアントさんがOK出せばそれを信じるしかない。

一方、海外の例では最近のiPhoneのCMがすごく良いセンスだったと思います。自分でもこんな音楽をやりたいと思う。

でもこういう尖ってる音楽は日本の仕事では提案しにくいんですよね。なぜかと言うと、やっぱり映像が出来上がるまえに音楽だけ聴いて判断されるから。

映像を見ないでいきなり音楽だけを聴いて…「これいいな」って思えますか?ちょっと難しいですよね。

先に音楽を作ることの問題

極論言うと音楽を発注する側も素人なので、まともにディレクションできる人は稀です。その曲がその案件にふさわしいかどうかよりも、自分の好き・嫌いで判断してるのかな…という人が多かった。

これ自体はまったく悪いことではないです。あとフィードバックをもらう機会も貴重だから、音楽が良い方向に向かっていくなら修正・やり直しも遠慮なく言ってほしいと思う。

それでも、映像を見ていない段階で

「もっと派手にしてください」
「もっと音を増やしてください」

な感じで注文を受けて作っていくと、どうしても映像と関係ない音楽になってしまうわけですよ。でもクライアントが良いって言うならそれで我慢するしかない。

ところで音楽を後から作るってどうやるのか。映画のスタジオでもなきゃ無理でしょって思う人もいるかもしれません。

実はほとんどの音楽制作ソフトは動画を読み込めるので、映像を見ながら音楽を作るというのも特別な作業じゃなくなってきてると思います。在宅でやってる個人クリエイターでもぜんぜんできる。

音楽ソフトにゲームキャプチャを読み込んでみた

そのわりに打ち合わせの段階で映像資料をもらえない(用意されていない)ことが多かったので、一般の方の理解が進んでいないのかもしれません。

音楽を先に作っておく利点

もちろん納期や予算が限られている場合は、先に音楽を作っておくほうが合理的です。しかも書き下ろし楽曲ではなく、出来上がっている曲のライセンスを購入すれば費用はもっと抑えられます。

ただ、こういった音楽素材サイトに登録しているクリエイターは「使いやすい楽曲」を作る傾向にあるので、ダイナミックに映像と合わせるのは難しいです。ここで言う使いやすさとは起伏が少なく、どこを切り取っても無難な音楽ということになります。

出来上がった曲を貯めておいて売るからストックミュージックとかライブラリーミュージックと呼ばれて、これはこれでビジネスとして成り立っています。生成AIが出てきたからこの先どうなるのか怪しいけど。

ちなみにTitan Quest IIのゲームプレイ映像が出てきたときも「ライブラリーミュージックじゃね?」っていうコメントがありました。そんなわけないだろとは思うけど、確かにだいぶ控えめな音楽ですよね。

一方でめちゃくちゃ派手になってしまったTerminus。

でもゲーム本編とは違う名前の作曲家がクレジットされているので、このトレイラーのために作られた音楽だと思います。ちゃんと映像とシンクロしてるぞ。

まとめ

ざっくりと日本VS海外の話をしましたが、海外ゲームのトレイラーが無条件に優れてるわけでもありません。やはりストックミュージックを貼りつけただけの映像は、どこの国のゲームであっても安っぽく見えてしまうと思います。

逆に言えば日本のインディーや小規模な開発チームでも、音楽の使い方・作り方次第でトレイラーの印象を大きく変えることができる、というのは覚えておいてほしいです。

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