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炭焼きの授業

和合小学校は他の学校にはない授業があります。ある児童からの要望で3年前から始まった「炭焼き」の授業。当時の用務員さん(地元の元大工さん)がドラム缶で手作りの炭焼き窯を作ってくれ、念願の炭焼きの授業が実現しました。和合はかつて炭焼きのメッカとして栄えた地。全国から炭焼き職人が移住して、ここ和合小学校も一時は200人を超える児童が通っていたとか。現在は全校生徒9名。ですが力を合わせて炭焼きに挑戦しました。

地域の方の協力で山から伐採した丸太を子どもたちが運び出し、薪割りから行います。少人数の学校ならでは。先生の目が届くので授業で斧やチェーンソーまで使う場面もみられます。

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学校HPから画像をお借りしました。腰が入ってるね!

みんなで割った薪を炭焼き窯にきっちりと詰めていきます。隙間なく詰めることが良い炭を作るコツなのだそう。地元の炭焼き名人から指導を仰ぎながら炭焼き作業を進めていきます。

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今年5年生の娘は念願の炭焼き授業。例年は5,6年生の授業ですが、今年は3,4年生も加わって、みんなで炭を焼くことになりました。

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窯に火が入り、数時間ごとに煙とにおいのチェック。感と経験に頼る炭焼き。最初の年は試行錯誤で半分が炭にならずに灰になってしまったという苦い思い出も。炭焼き名人の知恵を借りて例年改良を重ねてきた炭焼きも、気候や薪の状態などで条件が少しずつ変わってきます。毎年、初めての試みの気持ちで緊張が走ります。窯に火を入れてから、煙の状態を見て窯を密閉するのですが、当初予想していた時間を過ぎても、煙の状態が変わらず、放課後も一時間半毎に煙のチェックに通いました。

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暗くなっても煙が白いまま。この煙が透明にならないと、窯を密閉することが出来ません。先生も帰宅し、残りの作業は近所に住む5年生が担当することに。重大な使命です。いつもは寝る時間を大幅に過ぎた22時半のチェックでようやく煙が透明に!眠い目をこすりながら5年生2人で煙突の口と釜口を密閉しました。

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窯止めから一週間。しっかり窯の中を冷やして、いよいよ炭出しの日を迎えました。新聞やテレビの取材も入ってやや緊張気味の子どもたち。さてさて、炭の出来具合は?

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炭焼き名人からも「いいね!」と合格点がもらえた素晴らしい出来!窯止めの役目を果たした5年生もほっとしたことでしょう。形や大きさが様々な立派な炭が焼きあがりました。

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この炭は6年生を送る会で五平餅を焼くのに使う予定です。五平餅のお米は子どもたちが学校の田んぼで育てたお米。手作りのお米と炭で作る五平餅は極上のご馳走でしょう。

和合小学校は今は地元育ちの子どもはいなくなってしまい、みんな他県から移住や山村留学に来た子どもたちです。それでもこうして和合の地域の産業について学校生活で学ぶことで、郷土への理解と愛着が定着するのだと感じています。私自身は山村留学の4年間で、娘と一緒に学校の授業にお邪魔させていただくことで、山村での暮らしや産業について一緒に学ばせていただくことが出来ました。和合小学校はとても開かれた学校なので、授業の見学はいつでもOK。米作りの授業も炭焼きの授業も子どもたちと同じように学ぶ機会を得られています。山村留学は子どもだけでなく、私自身の留学にもなっています。

和合小学校では親子で移住・通学してもらう親子山村留学を受け入れています。田んぼの授業や炭焼きの授業などは都会では学ぶことができない貴重な機会です。大人も楽しい山村留学。ぜひいかがですか?


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