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社会人大学院の学びを助けてくれた本を紹介します

2023年4月から、社会人大学院での学びを始めています。

2023年の年初に、Facebookの投稿で紹介されていたのをみて、ピンと来てしまったのがきっかけです。
それまでは、大学院に行こうと思っていなかったのですが、自分の直感と背中を押してくれた社長のおかげで、素敵な機会をいただいています。

1年、あっという間に経ってしまいましたので、せっかくなので、この1年で出会った本の一部を記しておこうと思います。


研究の道を歩み始めるにあたって、最初に読んだのがこの本。

情報生産者になる

情報過多の時代に私たちは生きています。
その時代において、

「誰かが作ってくれた知識を
受け取り消費するのではなく、
自らが知識の創造者になるべし!」

と、大学院入学当初に教えていただきました。

上野先生も、この本でこのように述べています。

情報生産者の立場に立つことを覚悟して消費者になると、情報の消費のしかたも変わってきます。この情報はどうやって生産されたのか?……その楽屋裏を考えるようになるからです。
何よりも情報生産者になることは、情報消費者になるよりも、何倍も楽しいし、やりがいも手応えもあります。

上野千鶴子(2018)『情報生産者になる』

楽屋裏、舞台裏が好きな私。。。だからこの道に進んでみたのかもしれません。

この後、論文を書き進めていく上でも、何度も読み返す本になりそうです。

論文の書き方についての本で、もう一冊頼りにし始めている本がこちら。

創造的論文の書き方

前半は、ゼミの卒業生との論文指導における対話、後半は、研究や論文にとりくむにあたっての概論が書かれています。
文章の書き方や人に何かを伝えるときの基本も書かれているので、研究以外にも応用できます。

アマチュアは自己中心、プロは他人のために書く。

自分を広げようとするな、自分は何の一部であるかを考えよ。

頭を上に上げることによって、大きなもの、広いものとつながろうとする。
宙を見すえる。

伊丹敬之(2001)『創造的論文の書き方』

表現もかっこいい。。

「場」が研究のテーマなので、伊丹先生のこの本もお世話になっています。

場の論理とマネジメント

マネジメントとは、「管理すること」ではない。人々の間の情報と心理の相互刺激の舞台づくりをすること、なのである。

伊丹敬之(2005)『場の論理とマネジメント』

この一節が、心に響いております。

そして、「場」といえば、伊丹先生の場の理論にも影響を与えているという清水先生の本にもお世話になっています。

〈いのち〉の自己組織: 共に生きていく原理に向かって


清水先生の思想は、<いのち>を大事にしています。

互いに信じあう基盤ができていないために、互いの間にコミュニケーションがなく、冷たい職場が生まれます。このように人間相互の不信感のために互いの<いのち>が繋がらないことが、集合体の一番の問題です。(中略)
人間として生まれて人間を信頼できないことほど不幸なことはなく、また人間を信じられることほど幸せなことはありません。統合体の職場では、互いを信じ合っているために<いのち>がつながっていることから、問題が生まれても互いの知恵を合わせて解決していくことができるので、人びとに自己の能力に対する自信が生まれて、職場の能力が向上していきます。また、人間としての道を歩いているという誇りをもつこともできます。

清水博(2016)『<いのち>の自己組織』

また、清水先生の「自力社会から、他力社会へ」という考え方、この本の出版から10年経った今、まさにこれから大事な思想なのではないでしょうか。

人間の「自力」の及ばない、「<いのち>の自己組織力」という地球の暗在的な活き(はたらき)ー「他力」の存在」を受け入れることになる、と述べています。

清水先生は、理系の研究者でありながら、この本には、阿頼耶識や、末那識というワードも出てきて、みていらっしゃる世界が、ミクロからマクロまで壮大です。

社会人大学院教育がひらく科学的知識創造ートリプルループ学習理論

社会人大学院、ということで、実務を学びに活かし、学びを実務に活かすという循環が起きていて、ダブルループ学習の螺旋の中にいるのを実感します。

ダブルループ学習は、アメリカの組織行動学者クリス・アージリスによって提唱された学習理論で、既存の思考の枠組みでの学習のみならず、持っている枠組みや前提を超えた、新たな思考の枠組みを取り入れる学習プロセスを意味します。

前提が変わると、世の中の見え方、捉え方が変わってきます。

さらに、トリプルループという学習理論を提唱する豊田先生のお話を授業でお聞きする機会もいただきました。

最後にこの一冊。

省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考

翻訳されている関係もあり、言い回しが難しい本です。。。
私は、「省察的実践」という授業で、輪読(一人で読むのではなく、受講者で分担して、担当の章について発表する)形式で読んでいきました。

輪読によって、読む負担は軽減したと同時に、いろんな人の視点でこの本を理解していけた経験は面白かったです。

この本もこの後、読み返すことになりそうです。

他にもたくさん刺激を受けた本、論文がありました。

ひとまず、今日はここまでとします。

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