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人事コンサルの視点から向き合う「子どものおこづかい問題」|120日後に家族でカナダ移住する脱サラ夫婦

こんにちは、さやです。
(写真は、自宅マンションから見える朝焼けです。)

家族でカナダ移住まで、あと120日。

 今日、次男くんからこんな話がありました。

ほいくえんの○○くみの△△くんは、おうちでおてつだいしたら10えんもらえるんだって。ぼくもおてつだいして10えんほしい!

ついに、このときが来ました。
子どものおこづかい問題に向き合うときです。

父母と長男&次男で家族会議をした結果、我が家でも試験的にお小遣い制度を導入することになりました。

みなさんにご報告します。

◆おこづかい制度の全容

家族会議の結果、我が家に導入されたおこづかい制度は、以下の画像の通りです。

2月のおこづかいちょう

ルールは簡単です。

1.決められたお手伝いをするとおこづかいがもらえる
2.おこづかいの単価は、難易度や家族への貢献度によって設定
3.1日に同じお手伝いを複数回してもノーカウント
4.兄弟で協力して実施した場合は両者におこづかい付与
5.おこづかいは月末締めの翌月1日支払い

極めてシンプルな設計です。

この制度を検討する際、私は子どもたちに言いました。

いいかい。君たちはこれからお父さんお母さんと「ぎょうむいたくけいやく」を結ぶの。お手伝いをしたらした分だけ、おこづかいがもらえるんだよ。がんばってね。

子どもたちは大喜び。
さっそく今日のお手伝いを自発的に行ってくれました。

スタートは順調です。

◆人事コンサル的な視点でおこづかい制度を解説

「このおこづかい制度のポイントは3つあるんだ。」

せっかくなので、人事評価制度などを扱っている人事コンサル的な視点から、我が家のおこづかい制度のポイントをご紹介します。

ポイント1|自分たちでお手伝い内容を決める

「このおてつだいは、わがやのにちじょうせいかつにきよするものだわ。そうでしょ?」

評価制度を導入するとき、もっともやってはいけない過ちがあります。

それは、経営者や人事部、または外部コンサルなどが一方的に作った制度を、従業員に押し付けることです。

従業員の自発性のない人事制度に納得感はなく、仕事が「やらされ仕事」になってしまいます。

制度設計をするときに大切なのは、働く従業員の納得感。

うちはどんな会社なのか。社会にどんな貢献をしているのか。
所属部署がなすべきことは何か。
そして、自分がなすべきことは何か。
何をすれば会社に貢献でき、評価されるべきなのか。

自分たちで考えた評価項目であれば、納得感があるうえに、どうすれば評価されるのかが明確です。

ということで、彼らにも親からお手伝い項目を指定しませんでした。

おうちや家族のためになるお手伝いをしたら、おこづかいがもらえるんだよ。なにをしたら、家族のためになると思う?お父さんやお母さんがやってることで、何をお手伝いしたら、助かると思う?

「家や家族のために自分ができること」「誰かの仕事を手伝うこと」

これらの視点から、自分たちで実施するお手伝いを考えてもらいました

「朝起きたらカーテンをあけるのはどう?」
「お布団しく!」

こんな感じで、自分たちができそうなこととして、自分たちで考えた10個のお手伝い

親が強制したものではないから、きっと自発的に取り組んでくれることでしょう。

ポイント2|お手伝い項目の目的を明確にする

「我が家のお手伝いのパーパスだが、…」

お手伝い項目を決めるとき、子どもたちからこんな声がありました。

ちゃんとお母さんの話を聞く!

これは、お手伝い項目になりません。

お話をちゃんと聞くのはさ、家族みんなで暮らしていくために当たり前にやることでしょ。だからお手伝いじゃないよね。

組織の構成員として当然なすべきルールやマナーは、報酬の対象ではありません。

「就業規則を守ったから賞与をください」なんてありえないですよね。

むしろこれは、違反したときの罰則対象です。
就業規則を破って企業に損失をもたらせば、それなりの制裁を受けます。

しかし、家族でそこまでする必要はないし、何よりも彼らのやる気と自発性を伸ばしたいので、当然ながら「朝寝坊したら10円没収」みたいなことはしません。

それから、こういうのもお手伝い対象ではありません。

自分のお洋服をちゃんと棚にしまう!

これは、自己管理の範疇です。
家族への貢献とは、すこし観点が違います。

ということで、あくまでも「家や家族への貢献」が評価項目であると定め、お手伝い項目を承認していきました。

ポイント3|お手伝いをしてくれたら「ありがとう」を伝える

「ナイスおてつだい!」

企業の評価制度にも、子どものおこづかい制度にも、共通した弱点があります。

それは、企業の経営理念とか家族のためといった信念がうすれ、「評価のため=お金のために」に立ち振る舞う危険性をはらんでいることです。

よく、会社の経営理念を従業員に守らせるために、人事評価制度の項目に経営理念に沿った行動を入れればいい、という議論があります。

もちろん、それもOKだと思います。

しかし気をつけなくてはならないのが、評価されるために経営理念に沿った行動をするようになり、真の意味で経営理念が定着しない危険性があることです。

人事評価制度の短所であり、実施する場合には別の方法でカバーする必要があります。

おこづかい制度も同じです。

お金をもらうためだけにお手伝いをするようになると、ちょっと寂しいですよね。

もちろんきっかけとして、今回のおこづかい制度は「おこづかいがほしい!」という純粋な気持ちからスタートしています。

でも、「お金」だけが目的になってしまうと、どこかで不和が生じる危険性があります。

そこで、夫とルールを決めました。

お手伝いをしたときは、お父さんかお母さんを呼んでやったことを見せてもらう。そして、お父さんとお母さんは、お手伝いしてくれたことに対して「ありがとう!」を言葉で伝える。

おこづかいほしさで始めたお手伝いでも、毎回両親から全力の感謝を伝えられると、「家族の役に立った」「喜んでもらえた」という実感がわきます。

だから、全力で褒めます。

お、玄関の靴を揃えてくれたの?どれどれ…おおお!すごい、めっちゃキレイ!しかもこれ、左から大きい順に靴を並べてくれてるってこと!?すごい工夫だね!めっちゃキレイだよ!ありがとう!!

こんな感じで、全力でありがとうを伝えます

子どもたちはご満悦。

企業の人事評価における「評価のための行動」を避ける手段も、実はコミュニケーションによる解決が一番効果が高かったりします。

とにもかくにも、お手伝いには全力ありがとうで応えます!

◆ま、そんな大げさなことは二の次だけども。

はい。

なんだかそれっぽく書いてみましたが、とにかく子どもたちが家族の一員として貢献し、その対価として報酬と感謝、承認を得る。そんなプロセスをちょっと作ってみました。

飽き性な子どもたちなので、一体いつまで続くかな…?

あ、あともう1つ。

人事評価制度は、「設計3割、運営7割」と言われます。

つまり、作った後の運用こそがメインで、試行錯誤しながら納得のいくものにブラッシュアップしていく過程が一番大切なのです。

ということで、我が家のおこづかい制度も、続けながらブラッシュアップしていけたらなと思います。

みなさんも、ぜひお試しください。

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