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乃南アサさん『地のはてから』を読んで「生き抜くこと」について考えた
こういう本
舞台は蝦夷の東の果て、イワウベツ
開拓民少女が、大自然の厳しさや今日を生きるだけの貧しさの中で
運命を受け入れつつ
愛や孤独や諦めを感じながら、家族とともに生き抜いていく話
宿命へのつぶやき
登場人物が気持ちを長々と喋るシーンは少ない
波乱の毎日のなかで、悠長に話を聴いてくれる人はいなかったという乃南アサさんのイメージからだろうか
心に留めておきたいので、ふせんを貼った箇所を抜粋した
とわの実父が急死した時のおがちゃ(母)の言葉
「北海道で生きてぐほが、ねぇべって」
「仕方ねぁごった」
おがちゃが再婚した夫(とわのおとやん)が、家の火事で死んだ時の兄(直一あんにゃ)の言葉
「仕方ねぁー他になんじょにも出来ねぇんだがら。んじゃがら覚えでおっこどだ」
「死んだらおしめぁだっちゅうごどだ。・・・」
奉公先でたくさんの人との別れがあり、とわの思いが綴られている
お互いに生きているのに、ただ会うというそのことが、こんなにも難しいとは思わなかった。
大人になるということは、こんなふうに周囲からだんだん大切な人がいなくなってしまうことなのだろうか。
・・・
だとしたら、ずい分とつまらないことだらけだと思うより他なかった。
40歳を過ぎて初めて温泉に行けて、喜ぶおがちゃを見たときのとわの思い
ー おがちゃの一生。
・・・
もしも、おどっつぁなんかと結婚していなければ、おがちゃには果たしてどんな生き方があったのだろうか。
・・・
人というものは、果たしてどこまで自分で自分の一生を決めたり選んだり出来るものだろう。
・・・
ただ受け入れるのがあんにゃの人生なのだろうか。誰が、それを決めたのだろう。
・・・
一体、人というものは何なのだろうか。
どうして生きなければならないんだろう。
戦争も終わり、昭和33年。自分の人生を娘に語る時の、とわの思い
わたしはこの本の中でこの文章が一番好き
(子どもたちもまた)思い通りにいかない人生を感じる日が来るだろう。
だからせめて深呼吸の一つでもして、あとはときをやり過ごす。そんなときには、笑っているより他、出来ることもないと思う。
生き抜く
読み終わった時、わたしは「生き抜く」という感覚をもったことがあっただろうか?と考えてみた
とわのように衣食住のために「今日1日を生き抜く」という経験、感覚はないけれど
わたしのここ10数年間には思いもかけない「子どもの不登校、夫との離婚」という時期があり
波乱の中を必死に生きてきたと、自分でも思う(友だちもびっくりする)
大正、昭和を舞台にしたこの本を読んで感じたことは
時代や社会が変わっても
逆境を生き抜く心もちは変わらないということ
自分ではどうしようもないことには
大河の流れに身を委ね
無心になるために、日々淡々とこなしていく
笑っていられれば、よりよし
自分のがんばりで変わることが出てくれば
その時、真摯にそれと全力で向き合えばいい
わたしも、ここまでの人生を振り返ると
とわと同じようなことを言いそうな気がする
岩宇別温泉
おがちゃが行った北海道の岩宇別温泉行きたいな
調べたら、なんと!宿の名前!!
絶対に行こう
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