魅せられる味

特に外食が好きという訳ではないが、たまに行くスパゲッティ屋さんがある。

このお店、とても長く続いていて、土・日は表に行列が出来ていることもある。

よくこの前を通るのだが、平日の夜など、表に人が並んでいなくて店内に余裕がありそうな時、気が向くと私はフラりと立ち寄る。

何十種類ものスパゲッティのメニューが並んでいるが、私が注文するメニューはいつも決まっている。

いくつか試してみて、そのメニューが一番気に入ったのだ。
このお店で出会った私の贔屓ひいきの味。

試したことのないメニューに挑戦してみようかいつも一瞬悩むのだが、結局は定番メニューに落ち着いてしまう。

案内されたカウンター席に座ると厨房が見える。
それとなく目を向けるとシェフは二人。
あれだけの数のメニューのレシピを、すべて憶えているのだろうか？

やがて運ばれてきた出来立ての熱々のスパゲッティは、空腹を優しく満たしてくれる。

夢中になって食べ続けること数分。

食べるのが早い私は空になったお皿を見て、少し物足りなさを感じるが、これくらいがちょうど良い。

スタッフの方たちの挨拶に見送られ、満足してお店を後にする。

半年に一度くらい、自分でも全く予期しない時に行くお店。
そこで待ち受けているのは、無意識のうちに引き寄せられる味。

隠れ家的なのに、多くのファンがいるお店。