夢が叶った夫の話 後編 「夢の出演、水曜どうでしょうキャラバン」
前回からの続きです。
「奇跡」
みなさんの「これは奇跡だ」と感じた瞬間はどんな時だったでしょうか?
私がサッと思い出せる、近年一番感じた奇跡は
以前、落合陽一さんの展覧会の感想を記事にしたのですが、それをご本人が読んでくださっていた事でしょうか。
Twitterで「ちゃんと読解されている」と、つぶやいて下さったのを知った時は昇天しました。
尊敬する落合陽一さんが、私のブログを読んでくださった上に、お褒めの言葉をいただくなんて。。
全く想定していなかった奇跡体験でした。
ちなみに、落合さんを書いた記事はこちらになります。
皆さんも「こんな事が我が身に!?」と、
想定もしていなかった奇跡を体験してきたと思います。
夫の話に戻ります。
前編では、夫がキャンプで崖から落ちて、前歯を4本折って帰ってきたお話をしました。
まさに人生どん底状態。
家族総出で引きこもっていました。
(今年の我が家は引きこもり率高し!)
なんせ夫の前歯が4本、丸々無くなってしまったのですから。
人に会うのは気が引けます。
ただでさえ、深夜に歩いていると職務質問される夫。
歩いているだけで逮捕されかねません。
思えばムーミン一家は、冬には家族揃って冬眠してしまうわけで。
我々は日々起きて仕事はしているのだから、ムーミンに比べたら良い方ではないか。
そんなある日のこと、仲の良いパパ友から一通のメールが届きました。
そのパパ友は「Wit Studio」というアニメスタジオを、自身で立ち上げた凄腕プロデューサーで。
「進撃の巨人」や「SPY×FAMILY」などを手掛けていらっしゃいます。
普段生活していると、そんな方と巡り合う機会はなかなかないと思うのですが、都心のパパ友マジックにより、日頃から家族ぐるみで仲良くさせて頂いていました。
アニメはもちろん、ゲームやカルチャーに詳しいNさん(パパ友の通称)。
夫とNさんの共通点の一つとして
「水曜どうでしょう」
好きというのがありました。
HTV(北海道TV)が作り上げた「奇跡の番組」とも言われていている「水曜どうでしょう」。
大泉洋さんと、プロデューサー兼演者であるミスター鈴井貴之さん、ディレクターの藤村忠寿さんと嬉野雅道さんの4人だけで、国内外問わず現地に赴いて、弾丸旅行をしていくという、旅バラエティ番組です。
今となっては国民的スターの大泉洋さん。
番組が始まった当時は、まだ大学生だった大泉洋さんの才能を、スタッフがいち早く見抜き育てた番組でもあります。
「水曜どうでしょう」がきっかけで、大泉洋さんが地元北海道から日本全国へと羽ばたいたと言っても過言ではなく。
低予算からの北海道のローカル番組が、全国で大ヒット。
今でも数年に一回は定期的に撮り続けている長者バラエティ番組に。
今だにファンがものすごく多いです。
夫はずっと「水曜どうでしょう」の大ファンで。
1996年に番組が始まった当初からずっと観続けています。
DVDも全巻コンプリート。
上京した当初、慣れない東京生活に疲れ果てた時は、どうでしょうを見て元気をもらっていたそうです。
もう、擦り切れるほど見ているので、どの回にどんな事が起こるかも全て熟知。
喋り方も、どうでしょうの影響をかなり受けています。
話は戻ります。
顔の広いパパ友のNさんからの、メールの内容は
「水曜どうでしょうキャラバンに、一緒に出ませんか?。
近々、ディレクターの藤村さんに会うので、ケニーさんもよかったら同席してください」
との事でした。
「水曜どうでしょうキャラバン」とは、どうでしょうのオフ会のようなもので。
一年に一回、HTV総出で全国津々浦々キャラバンで回って、全国のどうでしょうファンと集うイベントです。
藤村さんと嬉野さんも一緒に回るので、どうでしょうファンとしてはたまらず。
そこではステージもあり、どうでしょうにまつわる演者の人たちが楽曲などを披露しています。
Nさんは「水曜どうでしょうキャラバン」に、自社のアニメ会社として出演したいなと思っていたらしく。
それを機に、夫も一緒に出ないかと誘ってくださったのです。
仰天の夫!!
そんな事になるなんて!!!
訳も分からぬまま、しかも前歯治療中の最中、歯なし状態で藤村さんとの会食に行く夫。
藤村さんには歯なしの夫に会って相当びっくりされたそうで、おかげでインパクト大に。
夫はその時、歯がなくてよかったと心から思ったそうです。
やはり起こることは全て必然。
Nさんのプレゼンにより話も無事にまとまり、出演が決定。
夫の作った音楽に合わせて、Nさんのアニメ会社のメインアニメーターの方が、どうでしょうにまつわる絵描き歌を描くということになりました。
アニメーターのAさんは、「進撃の巨人」「SPY×FAMILY」のキャラクターデザインを担当された、これまた凄腕の方で。
そんな一流陣が揃うチームの一員になり、夫のプレッシャーがさらなる高みに。
夫がドキドキしている中、「進撃の巨人」のキャラクター、リヴァイをこよなく愛する私としては、いつかAさんにリヴァイを描いてもらおうと、目をギラギラさせていました。
夫の長年のバンド仲間で、才能溢れるトラックメーカー、DJ Mt.topさんも入って、ユニットが結成。
ユニット名は
「水曜音画久団」
そこから、夫の怒涛の制作日々が始まりました。
もう落ち込んでなんかいられません。
初めての試みと、押しつぶされそうなプレッシャーと闘いながら、日々精進していく夫は、どんどん元気を取り戻していきました。
仕事後に、幾度となく打ち合わせや練習を重ねていきました。
水曜音画久団の出番は
9/16 神奈川県茅ヶ崎市
9/17 山梨県身延町
の2箇所に決定。
その日程には、水曜どうでしょうの主題歌を歌っている、樋口了一さんもステージに立たれると知って、これまた仰天する夫。
色々とやってくる、もはや奇跡なんだかプレッシャーなんだか分からない出来事に立ち向かっていきました。
私も何かできることないかなと思い
音画久団のロゴと
CDのジャケットのデザインを担当。
ステッカーとセットで販売を。
さらには、私にも素晴らしいご縁が回ってきました。
藤村さんがカモコラージュを気に入ってくださり、自分の顔で作品を作ってT シャツにして欲しいとおっしゃって下さったのです。
張り切って、藤村さんの肖像コラージュを制作。
藤村さんのイメージは「キング」。
数々の偉業をなし遂げた、凄腕の方な訳で。
偉大な雰囲気を出したいなと思いました。
ご自身がお好きな備前焼の盃を持ち、お好きなワインで祝杯を。
Tシャツには「DUKE FUJIYAN(公爵藤やん)」と入れました。
約6ヶ月間にも渡る準備が終わり、イベント当日に!
茅ヶ崎の会場にはたくさんのお客様が入っていました。
まさかここまでファンがいるとは、、どうでしょうの凄さを目の当たりに。
藤村さんと嬉野さんも、もちろんいらっしゃいました。
また、夫の友人や親戚、仕事仲間の方たちも、はるばる茅ヶ崎まで駆けつけてくれました。
20分に渡る水曜音画久団の演奏。
絵描き歌3曲を披露。
皆さん緊張していながらも、すごく良かったです!!
アラフォーのおじさま集団が一丸となって、新しい事にチャレンジしてやり切っている様に、ただただ感動。
幾つになっても挑戦し続ける皆さんの熱意には敬服です。
心が熱くなり続けた20分間でした。
何よりも夫が喜んでいたのは、一番熱を込めて書いた「一生Do The Show!」という楽曲が素晴らしいと、藤村さん、嬉野さんをはじめ、皆さんが褒めて下さった事でした。
藤村さんには
「ケニー、もっと曲を書きなさい。期待しているから!!」
と言って下さったそうで
あんなに大好きでずっと見ていた、憧れの番組を作った方からの絶賛の声。
20年以上続けてきた音楽活動の、一つの結果を出せたようです。
水曜音画久団の二日間に渡る出演は、結果的に大成功に終わりました。
藤村さんTシャツも、ご本人とても気に入って下さったようで、嬉しかったです。
奇跡というのは、いつだって人が運んできてくれますよね。
人と人が混ざり合って化学反応が起こり、奇跡が起きる。
そして、それには
挑戦し続ける事
夢を持ち続ける事
希望を持ち続ける事
そのように行動をしている人たちを見ていると、感動して元気が出ます。
今回呼んでくださったパパ友のNさんはまさにそんな方で。
素晴らしいものを見させていただきました。
本当にありがとうございました。
最後は大好きな詩で、夢が叶った夫の話を終わりにしたいと思います。
希望というものは
本当に大事なもだから
絶対に無くしてはだめ。
指先のほんのひとつまみの塩が
料理の味をすっかり決めてしまうだろ?
希望はその塩なんだ