住基ネットが終了?

 マイナンバーカードに関して、noteで問題提起の記事を書かれたサイボウズの青野さん。つい先日メディアでも以下の記事の取材を受けて色々とお話をされたようです。

 マイナンバーカードに関しては政府側の施策もあまり良くないところはあるため、サイボウズの青野さんも言いたいことが色々あったようですが、一番気になるところがありましたので、それをご紹介したいと思います。

ここまで来たマイナンバーカードを止めるというのは、極端な意見に聞こえるかもしれない。しかし、前例がある。『住民基本台帳ネットワーク』、通称「住基ネット」だ。2002年8月から始まり、2015年12月に終了した。スタート当初から不評で、13年あまり続いた制度だが、ほとんど利便性を感じることがなかった。総事業費は合計1兆円以上と言われている。

 この中に「住基ネットは不評で2015年12月に終了した」とされている部分があります。

 当時も同様に「住基ネットが終了した」と表現しているメディアの記事がありました。

 最近でも、Twitterなどで「住基ネット 終了」という検索キーワードで検索をかけると、いまだに「住基ネットが終了した件はどうなった?」などという書き込みを見ることがあります。特に最近は、先の記事にもあるとおり、2023年3月末までにマイナンバーカードを全国民に行き渡らせることを目指して普及を加速させるという政府の動きに対して、住基ネットが多額の血税を投じながら終了したのにも関わらず、また同様の仕組みのものを普及させるのか、という一般の人からの不満の声がある様です。

 ちょっと待ってください。住基ネットは終了なんかしていませんよ。

 住基ネットは、マイナンバーのシステムを支える重要な基盤の一つなんです。住民票が新規に登録された場合、住民基本台帳に新規に記録がされるわけですが、その際、自動的に11桁の「住民票コード」が付与されます。それを元に12桁のマイナンバーを作成します。よって、現在のマイナンバーの仕組みは住基ネットが存在しないと成り立たないことになります。どちらかといえば、住基ネットを内部に取り込んでバージョンアップしたものが「マイナンバー」のシステムと言えるかもしれません。

 裏方にまわったとはいえ、いまだに現役で稼働している住基ネットがなぜ終了したと思われてしまっているのかが分かりません。おそらくマイナンバー制度が始まった当時、ネガティブキャンペーンのためにメディアや市民団体などが住基ネットに多額の血税を投じながらも終了したという悪いイメージでマイナンバー制度の普及を阻止しようとしたのが、この誤解の始まりではないかと私は見ています。

 政府にはマイナンバーカードのICチップに色々な機能を載せる前に、一度、この辺りも含めて整理して国民に説明しても良いのではと考えています。そうしないと、また同様のネガティブキャンペーンで悪いイメージが先行して、普及が鈍化する可能性があるかもしれません。

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