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俳句マガジン 「ランタン」

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小生の処女句「ランタンはゆつくり灯る秋の雨」より。これから俳句を始める人や、句作に悩んでしまった人たちの、道を少しでも照らせたらと思う。
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#私の作品紹介

【企画応募】俳句連作5句「グリフィン」

日を求む村にグリフィン来たりけり王を討たん向日葵の中勇者行くグリフィンの翔ぶ自由とは勝ち取るもの地に堕ちて猶グリフィンの咆哮すグリフィンの眠りし大地麦は満つ 亀山こうき ↓こちらの企画に参加しています。

3分名句紹介エッセー 俳句スポーツ説という説

 正岡子規は野球をこよなく愛していたというが、野球と俳句はよく似ていると思う。  つまりこういうことだ。俳人はバッターで、ピッチャーは小生たちが生きている世界そのもの。ピッチャーは季節やシーンに応じて、実に多種多様なボール(季語)を投げこんでくる。打者たる我々はそれらに対応をして、逐次バットを振ってボールをはじき返そうとする。はじき返せることもあれば、空振りすることもある。  ピッチャーはいつだって、打者にむかってボールを投げている。しかし、市井の人々は、日々の生活の忙し

「第1回アポロ杯」夏の俳句5句

アポロさんが俳句の大会をnote上で開催されている。小生も参加のお誘い頂いたので、夏の俳句5句をここに提出する。楽しい句が多く投句されているようなので、小生もそれにならって楽し気な(?)句を作ってみた。 説教を受くため帰省してをりぬ裸子のぶらぶら歩く実家かなローンあと三十年や胡瓜揉む荷物番押し付けられて海の家カップルの痴話喧嘩聞くかき氷 8月9日 (月曜日) まで募集しているとのことなので、興味のある人は是非投句してみてほしい。 私信 アポロさん。俳句関連でお手伝いでき

俳句 20句(裏代表)

 新人賞応募のために、ここ1か月でつくった句を数えたら108句あった。煩悩だらけの小生に相応しい数である。賞に出すA代表と呼ぶべき20句以外から、出来はともかく、個人的になんか気に入った20句をここに選抜した。いわば裏代表である。完璧に個人の趣向や思い入れで選んでいて、推敲が甘かったり、「これ俳句?」みたいなものもあるがご容赦願いたい。 嬰児の前髪めける蕨かな 仮病して暮春の海に抱かれたり 段ボール崩れて春の海近し 菜の花や子に囲まるる曲芸師  春炬燵どの遺影にも猫

連作20句 夏の夜

 小生が参加している俳句同人「ペガサス」の名物企画、錬成20句に提出したものを以下に記す。20句全て、季語は「夏の夜」という縛りを課した。ご感想賜れれば幸いである。 夏の夜の祖母のピアノの薄埃 夏の夜の祖母の愛したドビュッシー 本棚に数多の楽譜夏の夜 ぼろぼろの楽譜が一つ夏の夜 夏の夜や楽譜の裏に男の名 夏の夜の隠されていた古き文 コーヒーの雫の波紋夏の夜 筆跡の細く震えて夏の夜 まるで遺書めく恋文だ夏の夜 昔男あり夏夜に記す恋の文 夏の

俳句 啄木忌1句とアリス『チャンピオン』より連作8句

銀行のATMは長蛇の列。小生もその列に加わり、noteを読んで時間をつぶす。lylinさんの記事で4月14日は啄木忌だったことを知る。 記帳すれど何も変わらず啄木忌 その後、久しぶりにアリスの『チャンピオン』を聴く。「ライラライラ」叫びたくなった衝動を俳句にぶつけ、小生初の連作とす。 ミット打つ音の軽さや遠き雷 負けるため走る卯の花腐しなる 夾竹桃昔の女に出会いけり 控室のベンチの上のスイートピー 白南風や老いし王者の入場す 白服の君を見つけてゴング鳴る 万