ミラーレスに移行中にフォトグラファーが思ったこと(キヤノンの場合)

遅ればせながらミラーレスへの移行を始めて8ヶ月が経った。この2週間ほどの間に普段とは違う、少々バタバタするような撮影があったので、この機会に気づいたことをまとめておこうと思う。


ミラーレスに移行しようと思った理由

移行を考え始めたのはかなり前になるけれど、いろいろあって踏み切れなかった。理由は主に二つ。まず筆者の使うキヤノンから納得いくようなミラーレスカメラとレンズが出ていなかったこと。もう一つはパンデミックの影響を受けて経済的な見通しが立たなかったことだ。

しかし当時筆者の使っていた5Dマーク3の修理期間が終わることから、買い替えを考える必要が出てきた。日本の事情は知らないが、筆者に住む地域では修理期間が過ぎると修理を受け付けてもらえない。そこで業者を探す必要が出てくるのだが、これが難しい。以前には安くない見積もり料を払ったものの、修理できないことがわかっただけ、と言うこともあった。また部品の購入に何度か利用した業者が廃業していたり、入れ替わりも激しい。何が言いたいかというと、ここのキヤノンに限って言えば、修理期間が終了する前に買い替えた方が結局安くつくかも、と言うことだ。

移行先をキヤノンにした理由

ミラーレスについて言えばソニーの方が先を走っている。正直なところソニーも真剣に検討した。報道機関で言えばAP通信がソニーを全面採用しているし、自分の使いたいレンズもほぼ出そろっている。こちらのキヤノンのプロサービスが課金メンバーシップに移行することもあり、ソニーが魅力的に思えた。しかし予算があまりない身としては、しばらくはアダプターを使ってキヤノンEFレンズを使わなければいけない。となるとサードパーティーのものを使うことになる。もし不具合があった場合にはソニーとキヤノン、そしてアダプターの製造会社に確認をしなければならないかもしれない。そんなことを考えると、段階的移行しかできない自分の場合、カメラ、レンズ、アダプターまで一社で完結するキヤノンしかなかった。

機種をめぐるエトセトラ

キヤノンがR5という5Dを継承するかのような機種を発表するという時は期待したものだ。しかし自分の期待とキヤノンのR5にかける思いはかけ離れていることにすぐ気付く。高画素ながらスポーツにも使える連写性能は良いのだが、価格も高い。6Dが出てから5Dシリーズの位置付けも徐々に変化してきたのだろう。ミラーレスへの移行で「5」もクラスを上げた感があり、キヤノンも今ではR6シリーズを「ニュースタンダード」としているようだ。しかし5D3からR6ではわずかながらでも画素数が減ることに少々抵抗があり、R6マーク2まで待つことになった。ソニーのα7マーク4が画素数で上回るうえ価格も安いが、細かいことを言っていてはいつまで経っても移行できない。R6マーク2でミラーレスを始めることにした。

実際に使ってみて

まず触ってみての感じはボディが小さいのは歓迎だが、アダプターをつけてEFレンズ、特に重いLレンズをつけるとバランスが悪い。慣れの問題かもしれないが、RFレンズが欲しくなる一瞬だ。
 カメラをいじってみると、設定項目の多さに驚く。AFや露出関連だけでも設定が大変だが、現場でパニックにならないよう、できるだけ5D3で使っていた設定に近づけた。露出シミュレーションは使わず、露出はファインダー内に表示される露出計を目安にすることにした。AFはマルチコントローラーでスポット1点AFする場所を選び、サーボで追跡する。瞳検出などカメラが被写体を判断する類の設定は試行錯誤の末、全て外すことにした。正確な理由は分からないがピントを外したコマが結構あり、明暗差がある場合、明るいものに引きずられるように感じたからだ。露出はマニュアルモード、連写は一番遅い設定にとりあえずしておく。
 AFに関して言えば、5D3と比較にならないほど、ファインダー内の全面でAFポイントが選べるので構図の自由度が大きい。被写体の自動認知的な機能を外しておけば、AFポイントのピント精度は高い。しかし一旦大きくピントを外してしまうと、再度合焦するまで時間がかかる印象。暗部などピントが合いにくいシチュエーションはあり、自分には慣れが必要に感じた。
 露出シミュレーションは使っていないので、フラッシュ撮影でも5D3の時と特に変化はない。ただメカニカルシャッターの場合、フラッシュ同調が相変わらず200分の1なのは正直なんとかして欲しかった。
 それからホットシューについている黒いプラスチックのシューカバーはきっとなくすと思ってパーマセルで固定、フラッシュやトリガーをつけるために外す時は決まった場所に保管していたのだが、普段やらないバタバタ撮影が終わった後、紛失していることに気づいた。ネットでキヤノンの純正が売っていたので購入したが、結構高価だった。日本の倍程度か。R5やR6はそもそも付属していないらしいので、雨や砂などに気をつければなくても大丈夫かもしれない。
 ビデオは少し撮影してみたものの、まだいろいろいじっていないのでまた別の機会にレビューしてみたい。

まとめ

先日カメラを2台使ったほうが良さそうな撮影があったので、6Dにレンズをつけて持ってみたが、大きさに驚いた。5D3を使っていた頃は小さいカメラだと思っていたが、ミラーレスを比べるとやはり大きい。R6の電子ファインダーに慣れてしまうと、6Dの光学ファインダーが見にくく感じてしまった。
 やはりミラーレスの小ささ、軽さ、ピントの正確さなどは一度移行を始めてしまうと後戻りはできないように感じる。RFレンズも広角系を中心にEFレンズよりも小さく軽いものがあり、修理期間の終わるものから徐々に入れ替えていかざるを得ないだろう。
 まずは6Dを入れ替えなければいけないが、何にするべきか。同時に使うことを考えればR6マーク2一択だが、高価だし、そうそう同時に使うこともない。さらに軽くて価格も少し安いR8も魅力的だ。しかし、SDカードスロットがシングルなのは仕方ないにしても、バッテリーが共通でないのは痛い。R6マーク3が出るまで待つとしたら、いくら位になるだろう。R5マーク2はそろそろかもしれないが、高価でオーバースペックの可能性が高い。
 現実はしばらく現状維持というところか。

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