645につけたいレンズの話 その3
不定期的に書いている「645につけたいレンズの話」。今回は前回のレンズを入手した後の話となる。ずっと続けていれば全部のレンズが手に入るんじゃないか?と思っている自分もいる。
前回から少々(2年)間が空いたが、その間僕はA150/3.5とともに様々なものを撮った。本当に一番使ったレンズだった。画角はいわゆる中望遠(35mm版フルサイズで言うと80mm前後)で使い勝手も良く、付けた際の見た目や持った際のバランスも最高だった。
……その幸せな時間は唐突に終わりを告げた。
ある雪の日に撮影に持ち出したのだが、その出先でフィルムが巻き上がらなくなってしまったのだ。電源は入るもののそこから先が動かない。慌てて町の写真屋さんに駆け込み、事情を説明して暗箱を貸してもらった。入っていたフィルムは救出できたが、フィルムバックや見えるギアに異常はなく、新しいフィルムを入れてもダメ。電池を替えてもダメ。いよいよどうしようもなくなり、写真屋さんに暗箱のお礼を言ってその日は帰宅することにした。これはその日に救出したフィルムの写真だ。
帰宅後色々考えて、今後も長く安心して使いたいのでオーバーホールも兼ねて修理に出すことにした。依頼先は工房52(アトリエコニー)さん。以前大阪のリコイメで高速が出ていないと指摘されていたので、ついでにそれも直してもらうことにした。
入院中は645で撮れないので、それならばとレンズを漁ることにした。現状55/2.8、150/3.5、200/4、80-160の4本がある。(中)望遠は間に合っているが、広角-標準側がやや不満であった。そんな折Twitterで「FA645 45-85がすごい」と言う話を耳にした。調べてみるとヨ◯バシカメラやカメラのキ◯ムラのサイトなどでも評判がいい。俄然試してみたくなった。
と言ったものの、645初代は所謂A世代であり、FA世代ではない。(FA世代は次世代の645N及び645N2が該当する) 色々調べてA45-85とFA45-85でレンズ枚数が同じなのは分かったが、構成まで同じかは分からなかった。作例や出物も少ないため、一度冷静に考えることにした。
ある日、いつものように中古カメラ屋サイトを行脚していると、偶然にも近くの店にA645 45-85が入荷していると分かった。しかも相場より2-3割程安く。これは一度お触りするしかないと思ったものの、今はカメラも無いしとダラダラしていたらすぐに売れてしまった。FAと違い人気もないだろうという僕の読みが甘かった。そこから数週探していたが一向に見つからず、今は縁が無かったと気長に待つモードに切り替えようとした矢先、東京のカメラ屋に1本入荷していたのを見つけた。しかも前のものよりも安い。流石に二度も逃げられるわけにはいかないと、即確保した。
届いたのがこちら、smc A 645 45-85/4.5である。レンズは綺麗だしフォーカスもズームも問題なし。ゴムグリップが緩いので、ここは両面テープで留めることにした。
150/3.5や200/4に対する80-160のようなバカデカさ、重さはなく、全然振り回せそうな印象を受けた。画角に関してはKPで20-40、MXで28-50を使っていた(後者は手放したが)こともあるので、おそらく問題なく使えると思う。
余談だが、PENTAX645システムは1984年に発売が開始されるが、このsmc AA645 45-85は1990年のカタログにすら記載がない。なお645NとFA645レンズが発売された1997年には同時にFA版の45-85が発売されている。つまりA版は7年弱しか販売されていない、ちょっとレア?なレンズである。
説明書等は以下のサイトより閲覧・ダウンロードができる。
ここからは僕の邪推だ。このA45-85は、FA用に開発されたレンズ構成を遡って流用する形でAレンズとして販売されたのではないか?というものだ。別の例だが、旭光学はKマウントのsmc A 28/2.8を販売する前に、smc M 28/2.8を同一名称のままA版のレンズ構成に変えて販売していたという話がある。(便宜上前期型/後期型と呼称され、前面リングの塗装色で見分けが可能である。写りに関しては、絞り開放時の周辺減光などが改善されている。) 僕自身前期型のM28/2.8を所持しているが、後期型も比較したくなって長らくそれとなく探している。
尤もこのレンズに関してはただの思い付きだ。カタログを読み込んだわけでも当時のカメラ雑誌を見たわけでも分解したわけでもなく、ましてや旭光学の中の人に話を聞いたわけでもない。こんなことがあったら面白いかもな、程度のものである。念のため。何か関連の資料をお持ち、ご存じの方が居られたら教えてくださるとありがたいです。
さて、645が帰ってきたら試写も兼ねてどこかに撮りに行くとするか。幸い今年のゴールデンウィークはちょっと余裕がある。新緑の山に持ち出すなんてのもいいかもしれないな。
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