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【カンボジアニュース】特殊詐欺犯19人事件のまとめと考察

以下の内容は、メディアによる報道を中心に公開情報を纏め、少しばかり私見を加えたものです。ちょっと長いですが、まずはこれまでの経緯をご紹介します。

まずはことの発端です。日本のメディアが取り上げる前の段階、1月の時点で一部ではこのような報道がなされていました。報道によると、初動捜査では違法行為が確認されなかったとして、逮捕も勾留もされていませんでした。

時を同じくして、1月下旬に外務省は以下のような発信で警鐘を鳴らしました。

また、時を同じくして、シアヌークビルで、今回の特殊詐欺事件の容疑者も含め日本人がよく通っていたと言われるガールズバーが火事になりました。関連性は不明です。

4月7日に読売新聞が報道したことをきっかけに、日本のメディア各社がカンボジアにおいて報道を始めました。本来は11日に移送が行われた後に警察発表とともに報道されるはずで、このフライングは驚きでした。初期の報道まとめはこちらです。

その後、日本への送還前までの報道まとめはこちらです。

送還後のニュースについては、日本にいらっしゃる方の方が詳しいと思われますので、報道のまとめは作っていません。他方、送還が行われたことで万が一にも発言が誤解されたり、捜査にご迷惑をかけることがなくなりましたので、ここで個人的な観察を少しだけ書いてみたいと思います。

まずはこちらの記事です。容疑者の身柄引き渡しに協力をしてくれた国家警察の出入国管理総局への日本大使館からの車両の寄贈です。大使館の配慮が窺えます。

さて、ここからが本題です。日本の報道では19人の大半は軟禁状態だったとの報道がされています。実態としては、ホテルのペントハウス的な隠れた場所に机やパソコンを入れて事務所を構え、毎日そこに籠っていたと推察されます。そういった様子を毎日見ていたはずのホテルの従業員ですが、口を揃えて普通の旅行者だったとインタビューに答えています。宿泊していた各部屋から朝降りてきて、レストランでの朝食後にぞろぞろと階段を上り、屋上から入る目立たない部屋で、観光もせずにプールにも海にも入らずに、20人近い日本人が籠って電話をかけていた。毎日、そんな状態が続いていたのに「プールに入ったり普通の観光客だと思ってました」とコメントし、一括のグループでの支払いだったにもかかわらず、「グループでのチェックインではなかった」とグループの存在を気づかなかったふりをするホテル従業員には違和感を感じます。

テレビ朝日報道から引用

商業省の登記簿によると、当初からホテルのオーナーは中国人男性のようです。しかしホテル従業員によると、以前は日本人がオーナーで、最近カンボジア人に変わったと話しています。今回の事件との関係性は不明ですが、登記上のオーナーの中国人男性は、カンボジア国内で日本人と連名で別会社も所有していました。これらの人物への聞き取りや捜査は行われているのでしょうか。

商業省登記データによるホテルのオーナー
商業省登記データによるホテルの事務所登録

最初の摘発(未遂)の後、犯行グループはなぜ逃げなかったのかも興味深いところです。当局から移動を禁止され、事実上の軟禁状態にあったのでしょうか。それとも誰かが安全を保証していたのでしょうか。

また、そもそも主犯格と言われる工藤会系の男に語学力その他、自ら特殊詐欺拠点を作る能力があったかは疑わしいものがあります。短期間での拠点設営をサポートした、また安全を保証したカンボジアでの受け皿となる組織の存在が疑われます。

誰が拠点のホテルを準備したのか、どこの会社の雇用証明でビザをとっていたのか、特殊詐欺の拠点を短期間で整備するためにサポートをした現地在住の日本人による組織とはどのようなものなのか。実態の究明が望まれます。今回摘発された19人以外にも、カンボジアには複数の特殊詐欺拠点があると言われています。

錯綜している公開情報を纏めると、1回目は1月24日に踏み込んだが違法性がなかったとして拘留していないように思われます。2回目は報道によっては26日とも言われていますが、この時には既に国家警察の中央警備局が指揮をとっていたもようです。州警察による引き渡しも、刑事局や入国管理局ではなく中央警備局に対して行われています。

フジテレビ報道より引用

当初一部プレス向け発表においては、全員が観光ビザと強調されていましたが、カンボジアの観光ビザの有効期限は1ヵ月で、延長は1回に限り1ヵ月だけ延長できるはずです。長期滞在していたからにはビジネスビザを保有していたはずですが、その取得の際に、どこから在職証明を得ていたのでしょうか。入国管理総局のビザ申請情報を確認すれば、容易に反社フロント企業を見つけることができるのではないでしょうか。

テレビ朝日報道より引用

今回の事案は刑事犯罪ですから、所管は国家警察の刑事局のはずです。24日の最初の摘発(未遂)の詳細については報道されていませんが、その後行われた実際の拘束においては、中央警備局が担当したことが明らかになっています。日本では公安局に該当する組織が出て来たのはなぜなのでしょう。そして刑事局が担当しなかったのはなぜなのか、興味深いところです。

以上、あくまでも一般人が公開情報から推察したものです。正確性については保証致しかねますが、ご笑覧ください。両国の捜査当局はじめ関係者に感謝するとともに、更なる捜査と摘発を期待したいところです。

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