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「むかし試した古典技法の話」Vol.9-ドライコロジオンの作り方7- by K

こんにちは、カロワークスのKです。
2021年最初のカロワークスnote投稿になります。
かつてない年末年始を迎え、未だ不安な生活が続いておりますが、皆様にとって良い年であることをお祈りしております。どうぞ今年もよろしくお願い申し上げます。


一年近く続けてきたドライコロジオン製作法についての記事もいよいよ終盤になります。
今回は現像処理についてお話しさせて頂きます。


現像工程で用意するものは、現像液A・現像液B・熱した蒸留水(50℃程度)・常温の蒸留水・定着液 となります。

●現像液A
ピロガロール…39.4 g
アルコール…250 ml

●現像液B
硝酸銀…4.38 g
クエン酸…4.38 g
蒸留水…100 ml

※これら現像液は必ず作った後1日は置いてから使用してください。
作成後すぐは現像液が活発な状態なため、極端に露光不足のプレートでない限り失敗してしまいます。落ち着かせてから使用しましょう。
それと同時に、作成から1ヶ月以上経過したものは使用を控えるか、量が残っているようであれば新しく作成した現像液を補充して使用するとよいでしょう。

蒸留水100 mlに対し現像液A 2.5 ml、現像液B 8 mlを攪拌して現像液とします。
被写体にシャドウ部が多い、露光不足等をあらかじめ知り得ている場合は、A液を3〜3.5 mlに増やしても良いでしょう。
AとBは混ぜると黒化していくので、プレートにかける直前に混ぜます。
あらかじめ蒸留水にA液を混ぜ、後からB液を混ぜる準備をしておきましょう。

まず蒸留水で洗ったバットにプレートを置き、ムラにならないよう熱した蒸留水を注ぎます。
1分程度浸した後、(この間に現像液を混ぜるとよいでしょう)熱が冷めないうちに別のバットに移し、用意した現像液を満遍なく2/3ほどかけて攪拌します。
もし直後に現像が始まり表面に変化が現れたらそのまま、もし像がすぐに出てこない場合は残りの半分をかけ、攪拌します。
このとき、シャドウ部が多い、または露光不足の被写体の場合現像が遅く、それに合わせているとハイライト部の現像が進んで徐々にトーンが失われてしまいます。
ハイライト部の変化に注意しながら、A液をスポイトで少量取り、液に混ぜながらシャドウ部を中心にかけるとよいでしょう。この時直接液が画像面にかからないように注意します。
ハイライト部には現像液が多く回らないようにすると、シャドウ部も急速に現像され、ハイライト部も濃さを保ったまま現像が可能です。
また、露光時間が長い場合は、B液を少量加えると空が明るくなりすぎるのを抑制できるため、画面の調子を整えることができます。
現像時間は像の出方によるため明確な時間は定められません。よく板の状態を確認しながら行いましょう。
ハイライト部がこの時点で最高濃度手前であり、シャドウ部も出ていればすぐに蒸留水をはった別のバットに移します。
この時点でハイライト部が最高濃度に達してしまうと、現像が進んで結果ハイライトがトーンダウンするため、早めにあげ、水洗します。
撮影後はなるべく早く現像すると良いでしょう。

参考文献である The Dry Collodion Process には撮影した日の夕方に現像することが望ましいとありますが、制作では不可能であることが多かったため、大体撮影から最低1日は置いてからの現像となりました。
しかし現像液をある程度足すことで促進され、問題なく現像が行えたため制作を行う場合は参考にしてください。

次回でついにドライコロジオン制作が完了となります。
定着〜完成までの解説ののち、ドライコロジオン制作の総括記事としたいと思います。
それではまた次回もよろしくお願いいたします。


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