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【息ぬき音楽エッセイvol.15】Let’s Eat Grandmaと幼さ by 村松社長

みなさまこんにちは。カロワークスの村松社長です。
梅雨明けのニュースとともに、夏らしいお天気が続いていますね。
東京では今週からとあるスポーツの祭典が始まりますが、社長のnoteは今回も全く社会情勢に関係ない話題をお届けいたします。「息ぬき」ってそういうものですよね…!(開き直り)

今回ご紹介するのはイギリス出身・Jenny HollingsworthさんとRosa Waltonさんのデュオ、Let’s Eat Grandmaです。
Let’s Eat Grandma(おばあちゃんを食べよう)。一度聞いたら忘れられないネーミングですが、実はこれ、カンマの位置だけで意味がガラッと変わってしまうという有名なフレーズらしいです。(”punctuation saves lives=カンマが命を救う”という言葉とともによく使われます。笑)
「Let’s eat grandma」と「Let’s eat, grandma」。確かにね…。

このお二人、1枚目のアルバムをリリースした2016年当時は、16歳と17歳でした。
正直アルバムとしては若干とっ散らかった印象で、リリース直後は賛否両論あったのですが、同じ年にKEXPでおこなったこちらのライブパフォーマンスで、社長も含め評価が爆上がり。

ぜんぶ自分らで演奏してたんかーい!

ベッドルームポップの進化系とでも言ったら良いんでしょうか。二人の幼い声質からは予想できなかったちょっと鬼気迫るパフォーマンスは、無垢や純粋さの中の残酷さや恐ろしさを感じさせてとても好きです。
「Let’s Eat Grandma」という名前も、言葉遊びをしていて偶然恐ろしい文章ができてしまった 、あの突然背筋が凍るような感じをうまく表しているような気がいたします。

当時の二人を見ていて、自分にとっての「幼さ」って何だろう?と改めて考えました。
前回、岡村靖幸さんの魅力について”大人と子どものあいだにある切なさ”と表現しましたが、みなさんは「幼さ」をどんなところに感じますか?
そしてその「幼さ」は、持ち続けた方が良いものですか?それとも一刻も早く手放した方が良いものでしょうか?

先ほども言ったとおり、社長にとって「幼さ」は「残酷さ」「恐ろしさ」と切っても切れない関係にある言葉です。
10代の若さでデビューするアーティストはたくさんいますが、”早熟な天才”ということだけでなく、幼さの後ろにある残酷さまで体現しているアーティストは少ない気がするんですよね。

Let’s Eat Grandmaはその後2018年に2枚目のアルバムをリリースしました。
とっ散らかった感じもなくなり、サウンド的にもかなりメジャー感が出て「大人になったね…」としみじみしちゃいましたよ。
ためしに先行シングルとしてリリースされたこの曲を聴いてみてください。

Let's Eat Grandma - Hot Pink

この曲は、ピンクという色に対するジェンダーイメージに疑問を投げかけるものだそうで、テーマも大人…!

彼女たちのサウンドがメジャー感に溢れたものになったのは、Sophieさんがプロデュースを務めたことも大きな理由でしょうか。

そして今回Let’s Eat Grandmaを取り上げようと思ったのも、Sophieさんに哀悼の意を述べたかったからなのです。
彼女は2020年の1月、アテネにある自宅のベランダから満月を見ようとして、転落死してしまいました。

「月を見ようとする」というある意味”幼い”行為が産んだ、残酷な結末。知った時は言葉も出ませんでした。ご冥福をお祈りいたします。

*Sophieさんがどんなアーティストだったかは、この記事をぜひ…。

息ぬきにしては重い内容になってしまいましたが、今回はこの辺で。
ではまた次回!

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