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看護師、やめます。

平成元年に看護師の資格をとって、33年が過ぎました。途中、専業主婦だった期間を除けば、約20年このお仕事をしてきたことになります。

20年。

本当に、よく続いたなあ、と思います。
人見知りであがり症で不器用で、学生の頃は受け持ちの患者さんと満足にお話をする事が出来ず手技的なミスも多く、何度か退学になりかけ一度は寮から家に帰されたりした私が。就職する時にはどこの病棟からも受け入れてもらえず、みかねた外来の婦長さんに救っていただいてどうにかお仕事をさせてもらえることになった(らしい)私が。

でも。

元々、看護師になりたかったのは、私ではなく母でした。
私自身はIT系の学校に行きたくて、高校3年生の進路決定直前までそのための勉強をしていましたが、夢は叶いませんでした。
4人いる子供のうち、たった一人の女の子にその夢を託そうと思った母を責めるつもりはありません。我が家が決して裕福ではなく、大学やIT系の専門学校に行くのは経済的に無理だという事も分かっていました。
結果論ではあるけれど、この資格を持っていて良かった、ありがたかったと思っています。子供二人を私立の高校と専門学校にそれぞれ通わせることが出来たのも、パートナーをなくしてからそれほど生活のレベルを落とさずに暮らしていけたのも、看護師という資格のおかげです。

そういう意味では、母には本当に感謝しています。

でも。

苦手なことを頑張って克服するのは大事なことだと思っていました。
看護師の仕事は素晴らしい仕事で、自分みたいなものでもその一端に関われるなら、それはすごいことなんだと、そう思っていました。

でも。

20年働いても、私の「苦手」は結局消えることがありませんでした。
頑張って克服してきたと思っていた人と話すのが怖いという気持ちは、コップに水滴を落とすみたいに少しずつ溜まっていって、20年も経った今になって一杯になってしまったのかもしれません。
普段の私なら、ここで思い悩んで沈んでしまったり、ストレス発散だとばかりに暴飲暴食に走ってしまうところです。
ところが、今回は違っていました。

もう、頑張らなくてもいいんじゃないかな。

どうしてそう思ったのか、未だによくわかりません。ただ、本当にスッと憑物が落ちるような、すっきりした気持ちになったのは確かです。
辞めてどうするとか、生活のこととか、考えなくてはいけないことはこれから多々あるだろうけど、とにかく精神的に楽になろう、そう思いました。

決めた。
お母さん看護師辞めます。

子供部屋のドアを叩いて、それぞれに私の決心を伝えました。それが去年の11月末のことです。急な話だったのに、二人ともお母さんの好きにするのがいいよと言ってくれて、とても嬉しかったです。
12月の初めには退職願を提出しました。のんびり屋の私にしてはあり得ない速さです。ありがたいことに、思ったより早く代わりの人も見つかりました。仕事の中身はともかく、誰かが退職するたびに自分が穴を埋めてきたシフトがどうなってしまうのかが心配だったので、これで一安心です。

3月いっぱいで退職して、そのあとのことはまだ具体的には何も決めていません。ただ、もう人と向き合うお仕事はあまりしたくないと思っています。どんなお仕事があるのか、そもそも希望通りのことが出来るのか、不安がないわけではありませんが、焦らずじっくり見つけていきたいと思っています。

退職まで、あと58日です。


※投稿後に加筆修正しました

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