和雨 / Calming Rain

秘書時々文筆家、一時 Filmmaker/Dualer/Serious shopper…

和雨 / Calming Rain

秘書時々文筆家、一時 Filmmaker/Dualer/Serious shopper. 神奈川県生まれ。早稲田大学卒業。 これは、道具のためなら日帰り京都も日帰り台湾も厭わない365日寝ても覚めても暮らしの道具に取り憑かれた人間が至高の道具たちで日夜生活実験に勤しむ物語である。

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銅鍋の品格―クワイエット・ラグジュアリー

あの日、気圧された―― その実、こともなげにお店をあとにしたけれど、気圧されたのである。 4年ほどまえのあの日、私はひとり京都にいた。 京都のオフシーズンといわれる2月、ひもすがら狐雨のアンニュイな日で、二条城近くの交差点では、つかめそうでつかめない「低い虹」も認めた。 折しも、件のウイルスでまもなくゲートは封鎖されるといったところで、 外国人観光客が散見するも、ゆきがかり上移動を憚るムードを醸していた。  それでも日帰り京都を敢行したのには、それなりの理由があった。

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    • アレの爾後

      晩夏という言葉がひとり歩きしているらしい。 その実、ニセ晩夏が行き場をなくしているらしい。 およそ晩夏とは思えぬ暑さなのである。 ――夢を見た。 幾重にも層をなすレジ袋の雲がどんどんと海に落ちてゆく。 淡い群青色の海は、たちまち真白い海に様変わりした。傍観者然としてレジ袋製のさざ波に浮かぶ私は、まもなく岸に打ち上げられてしまったのだ。 なぁんだ、「プラスチックフリー」な時流に押し戻されただけか―― 今夏、わが家の台所の片隅にはレジ袋が幾重にも折り重なっていた。 順番に、

      • 計量カップの深淵に憧れる

        計量カップの深淵に憧れる。 その実、台所の景観を彩るアイコニックなアイテムのひとつである。それゆえ、計量カップという道具選びには、こと慎重を期すべきだ。 至高の道具たちで日夜生活実験に勤しむ者にとって、台所はいわば研究室。実験器具然とした佇まいのテルモハウザー、私の最適解だ。

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        • プロローグ― Right as rain

          否、偏愛の所業である。                  ── serious shopperよろしく、道具とは真剣に向き合う。 あれもこれもとアイテムを手に入れたいわけではない。 むしろその逆、Less is moreである。 実験には当然、失敗も失望もある。 あるいは、成功より失敗のほうが多いかもしれない。 心眼を大切に、日日研究はつづく…… THE ESSENTIALS普遍的で美しい。 汎用性があって、機能やデザインにむだがなく手入れが容易い。勝手のよい

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