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彦星誘拐 | 毎週ショートショートnote

彦星はギャンブル中毒だった。

『ええい、もう一枚!もう一枚!』

夜空から減っていく天の川の星は、
彦星が賭けに使い1枚ずつすり減らした結果だ。

「母ちゃん、今日も星が少ないね」
「街の光が多いと、星は見えにくくなるのよ」

人間界の会話が聞こえて彦星は焦った。

(街の光は関係ない、俺が賭けに負けているせいだ…)

いよいよ罪が発覚することを恐れた彦星は、恋人の織姫に持ち掛けた。

『織姫、君を誘拐したことにして身代星を稼がないか』

彦星に尽くしていた織姫は、言われるがまま狂言誘拐の共犯となった。
しかし悪事はすぐにバレる。
宇宙警察に捕まり、彦星は向こう何千年を牢獄で暮らすことに。

彦星が罪を被ることで投獄を免れた織姫は、
年に一度だけ面会を行うことが許され、
彦星に指定された7月7日に会いに行った。

終了間際に織姫は彦星に尋ねた。

『なぜこの日を選ばれたのですか?』

『7はラッキーナンバー。ギャンブラーなら当たり前だろ?』

織姫は呆れ果ててしまった。

(410文字)


たらはかにさんの企画に参加させて頂いております。

#小説 #ショートショート #毎週ショートショートnote #彦星誘拐





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