見出し画像

鋭利なチクワ | 毎週ショートショートnote

腕がちくっとしたので見てみると、そこに蚊が止まっていた。
どうやら吸血の最中のようだ。

パチン。

問答無用で引っぱたき、蚊を成敗する。
刺された箇所を見るとそこには血がついていた。
…と思ってよく見たら、それは血ではなく「チ」だった。

「チ」の文字がそのまま腕に刺さっていた。

ナニコレ?!

虫眼鏡で拡大すると、
「チ」の最終画である鋭利な部分が刺さっているようだ。
さらに自分の体をよく見ると、足には「ク」、
手の甲には「ワ」の文字も刺さっていた。

これは…鋭利なチクワ?
俺はチクワに攻撃されているのか!?

前を見る。

ゆっくりと、
何かが私の顔を目掛けて飛んできている。

チクワの親玉…!?

目を凝らすと、それは鋭利な「ン」だった。

ン?

これは…

チクワではない。

ワクチンだ!

「やめろ~!ワクチンは自分の意志で接種させてくれ~!」

そう叫んだ瞬間目が覚めた。
どうやら夢だったようだ。

そういえば、今日は初めてのワクチン接種日だった。
緊張しすぎだ。落ち着け俺。

(410文字)


たらはかにさんの企画に参加させて頂いております。

お題はこちらです!

#小説 #ショートショート #毎週ショートショートnote #鋭利なチクワ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?