夜からの手紙 | 毎週ショートショートnote

「愛しています。結婚して下さい」

ポストにラブレターが投函されていた。

夜空が描かれた便箋に淡く書かれた短い文。差出人を見ると『夜』だって。

部屋に戻り夜空を見上げると、
一部が四角く切り取られていて、
そこだけくり抜かれたように白抜きになっていた。

まさかこの便箋、夜空を切り取って作ったの⁉︎

すぐに返事を書いた。

「夜さん、気持ちは嬉しいけど、夜空が欠けると困ります、直して下さい」

３日後、また手紙が届いた。

『私は月です。この度は夜がご迷惑をおかけしました。夜は恋をするとすぐに空を切り取り便箋に認めてしまいます。本日中に直しますので、月を見てて下さい』

満月の夜、月を眺めていると、突然逆さ兎がくるくると後転して夜に飛び出した。

そして欠けた部分に新しい夜空を貼り付けると、四隅を木づちで打ち付けた。
打ち付けた場所に煌びやかな４つの星が誕生した。

兎は前転で月の場所へ戻ると、
逆さを向いて月と一体化した。

星って…こうして産まれるのね。

(410文字)

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