8/12 ブライトン vs ルートンタウン


プレミア開幕戦のブライトンvsルートンタウンは4-1でブライトン勝利に終わった。ルートンタウンのシステムに対して、ブライトンが配置を修正したことで、安定してボール保持→チャンスメイクできたことが勝敗を分けた。

ブライトンが一つのビルドアップ方法だけでなく、複数のオプションを持っていることが分かる試合だった。

ルートンタウンの可変システム

ルートンタウンの基本システムは中盤横並びの3-5-2。守備時には5-3-2でセットし、引いて守る。
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この配置でボールを取ると、両ウイングバックがスピード感を持って前に上がり、2トップの高さと強さを使いながらロングカウンターを狙う。ブライトンのサイドバックの位置はカウンター時にはスペースとなっていることが多い為、何回か効果的な攻撃となっていた。
面白いと感じたのが、ゴールキックなどの遅攻のビルドアップ時は4-3-3で配置を取ることだ。
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ビルドアップ自体には規則性はあまり感じられず、遅攻からチャンスになった場面は少なかった。対ブライトンで作ったのなら、中盤の数的優位の創出が目的か。
ルートンタウンの攻撃のキーになるのはサイドのスピードと2トップの高さと強さ、そしてセットプレーなのではないかと感じた。
自陣からのビルドアップよりも相手がバランスを崩した状態のロングカウンターの攻撃が脅威。


ブライトンの配置修正


ブライトンは昨シーズン同様GKからのビルドアップを遂行。マクアリスターとカイセドが抜けてどうなるかと思ったが、配置とビルドアップ方法を明確に持っている為、想像以上に2人の穴を感じなかった。やはり戦術が明確になっていて、再現性の高いサッカーをするチームは誰が入っても同じようなサッカーができる傾向が強い。

前半のブライトンのビルドアップ時の配置は、2-3-5。2は2センターバック。3には両サイドバックとマフムートダフートが入っていた。流れの中でサイドバックが前線まで行った時はウェルベックやグロスが落ちて3の場所に入る。「誰がどこに」を決めるというよりは、「どこに」だけを決めていて、周りの選手の配置を見て、適宜その場所を色々な選手が埋める感じ。
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2センターバックから3とのパス交換で相手を中央に寄せて、5の両サイドに効果的にパスを入れる。サイドにボールが入ると、相手ディフェンスは幅を使って守るために中央(逆サイドも)にスペースができる。サイドでのドリブル突破やチャネルラン、中盤経由で逆サイド展開などでゴールまで迫る。というのが、ブライトンのやりたいサッカーではないかと思う。キーになるのは「いかに自分たちが使いたいスペースを使うために、相手を動かせるか」であると思う。
しかし、前半ブライトンは上手くボールを動かせなかった。原因はルートンタウンの守備配置にあると思う。先述の通り、ルートンタウンは守備時5-3-2で守る。ブライトンのビルドアップの配置と全く重なる配置である。その為、ブライトンの2-3でパス交換がやりにくい。そしてサイドにボールが入ったとしても、5バックのウイングバックがマークについていて、残り4人のディフェンスが存在。普段のブライトンのビルドアップではなかなかルートタウンの守備は崩れにくい状況となっていた。
それでも裏のボールを使いながら、個人能力を使いながら先制点を取ったのは流石である。

5-3-2でセットする守備でできてしまうスペースは攻撃側のサイドバックに当たるスペースである。ここでフリーでボールを運ぶと3のサイドか5のウイングバックが引き出される。すると中央か大外のサイドが空く。ここを突いていくと攻撃は組み立てやすいと個人的には考えている。ブライトンは2-3にすることで、空いているスペースを使うことができなかった。

後半、ブライトンは明らかにビルドアップの配置を変える。(解説の鄭大世さんと槙野さんは何も変わっていないと言っていたが、、、)
左右のサイドバックがサイドを広く取ることが多くなった。(ほとんどそうだった気がする)そして特にエストゥピニャンのところでフリーでボールを持つことができるようになった。落ち着かせる場所(プレスの逃げ道)ができたので、後半はよりボールを保持する展開が多くなった。サイドバックが広く開くことでサイドハーフがうちに入る展開も前半より多くなり、三笘の1対1の展開は減少したが、チームとしては上手くいくようになった。2-3でビルドアップをしていた中央部分は2-1+1+αのような形になった。2センターバックとマフムートダフートは固定で位置して、マークつかれてはめられそうになると、グロスが落ちてサポートに入る。さらにジョアンペドロとウェルベックの片方が落ちて2-3を一時的に作る場面もあった。
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これに対し、ルートンタウンも80分あたりから4-4-2にして、ブライトンの両サイドバックに人を配置するように守備の仕方を変更。しかし、その分最終ラインと中央のラインにスペースが生まれやすい。そういったリスクを回避するためかはわからないが、結局最終的には5-3-2に戻して試合終了。

ハーフタイムでのブライトンの戦術変更が効果的だった印象。複数のビルドアップオプションを持つことの重要性を改めて感じた試合だった。

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